デビュー戦、決着!!~『ピークアウト』第16話感想~
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■前回のアスラズ城丸は!!
よもやよもやの展開でMピーク開幕第2試合にして初登板となったユキト。対する相手は早森・小堀・勝本のベテラン選手3人だが、控室ではユキトの挨拶に全員そっけない態度。
そしてついに始まるユキトのデビュー戦。起家のユキトは周囲の理牌の早さに動揺し、慌てて第1打を切るが……なんと第1ツモを取り忘れており少牌。最初の最初でとんでもないミスを犯してしまう。
記念すべき大舞台で、開幕から恥を晒すこととなってしまったユキト。普通ならメンタルが崩壊しても仕方ないシチュエーションだが、当のユキトはまさかの逆ギレ。悪く言えば投げやり、良く言えばアグレッシブな打ち回しでアガリに向かい始める。
心の幼さゆえのブチ切れ麻雀ながら、攻めに振り切ったユキトは小堀から放たれる親リーチへの一発放銃を回避。それどころかテンパイまでこぎつけ、会心の満貫ツモを決めるのであった──。
■ミステリアス・キャット早森
『満貫のアガリを決めたのは今夜がMピークデビュー戦の城丸雪兎!!』
『チームメイトが見守る控え室に勝って笑顔で戻りたい!!』
『おっと小さくガッツポーズ!』
いきなり大ポカをやらかしはしたものの、手ごたえを感じるアガリをモノにしたユキト。しかしそんな彼のガッツポーズにも、同卓する3人はどこ吹く風。このメンツには試合開始前からスルーされっぱなしのユキトである、ここは何が何でも存在感を示したい。
東4局、ユキトはまたも早々に仕掛けて2副露。そこに親番の勝本からリーチがかかるが、リーチ宣言牌をポンして競り合いに行くユキト。とはいえ、手はタンヤオのみ、1000点のカン4萬待ち。親の現物待ちとはいえ、親リーチに立ち向かうには少々心もとない。
しかし、ここで早森から4萬が打たれ、ユキトはあっさり和了。オリ打ちがたまたま刺さっただけか? それとも狙った差し込みか? 麻雀界のラスボス・高原の目をもってしても早森の意図は計り知れない。
……とはいえ、幸いにして我々読者は早森の考えをモノローグとして知ることができる。それではここで改めて、早森が打4萬に至った思考ルーチンを見ていこう。
(それより親の勝本がヒゲアザラシのような顔をしておる)
(ヤツがあの顔になる時はたいがい勝負手だ)
(ただあやつ いつもあの顔だけどな)
……。
……いやわかんねーわコレ。
勿論、このくだりの前にユキトの手牌を推理してるからには考えなしの一打ではないことは確か……なのだけど、常にヒゲアザラシフェイスの勝本さんが勝負手だということを看破したのかは謎に包まれたまま……さすが早姉ぇ、ミステリアスすぎる女雀士である。
■俺の必殺!!
局は進んで南場、ユキトの親番に。不甲斐ない結果に終わった東場のイメージを払拭するためにも、ここでバシッと決めておきたい所である。
……が、先制リーチは早森。さらに小堀から追っかけリーチもかかり、あえなくオリに回らされるユキト。結果は小堀がツモって裏ドラを載せ、ユキトは東場に続き本日2度目のハネ満親かぶりとなってしまった。
とはいえ、点数状況はトップ目の早森で3万点、その下にユキト、小堀が2万点台後半で続きほぼダンゴ状態。まだまだユキトもトップが狙える位置だ。……というより、開幕から少牌をしてしまったチョンボ野郎の印象をどうにかして塗り替えなければ、控え室にも帰れない。大河さんの様にデビュー戦をラス回避で良しとできないユキト、自然と打牌にも力が籠るが……。
「ロン」
無情にも小堀の3900点に打ちこんでしまう。先ほどはまったく面白くなさそうにハネ満をアガった小堀、今度もユキトを一瞥すらしない。
ここまでどうも同卓している先輩プロ3人から相手にされていないと感じているユキト。確かに実力も踏んだ場数も彼らの方が断然上、それでも、そんな強者が相手だからこそ、自分を認めてもらいたい。そんな想いが、ユキトの胸に去来する。
南3局、ユキトにタンヤオドラ1のテンパイが入る。しかし4筒を切ってのカン7筒待ち即リーチはどうもモロひっかけが臭ってしまう……。Mピークの舞台で戦い抜いてきた猛者たちに城丸雪兎ここにありと知らしめるためにも、ここはもう一工夫したいところ。
よってユキトはこの手を即リーチとせず、2巡回してツモってきた2萬でカラ切りリーチを敢行。それはまるで、小動物が捕食者の追跡を振り切るためにニセの足跡を残すバックトラックの如き、ユキトの得意技──
(雪兎空切りトラップリーチだあ!!)
主人公の必殺リーチがここでお目見え!! 熱い!!
いやぁ、『麒麟児』シリーズでは主人公の鈴司がガチガチのデジタル派ということもあってか、こういった必殺技展開はあまり見られなかったもんで。『ピークアウト』のこういう展開はなんか新鮮で楽しい!! そういえば賀瀬さんは第1試合目でとうとう「金棒リーチ」出せずじまいだったな……。
ユキトの雪兎リーチを受けた勝本、ここで7筒が出る形でテンパイ。素直に打てば一発放銃も当然といったシチュエーションだが、ここはIQ220を誇る「軍神」勝本健三である。早い巡目で河に1萬・3萬を並べておきながら最終手出しが2萬である切り順の違和感に気付き、ユキトの空切りリーチを看破。通っていない3筒を切って7筒をビタ止め!!
一工夫が逆に仇となったユキト。ほな必殺リーチちゃうか……(「必殺リーチ」といったのは俺だけどさ)回し打って再びテンパイを入れた勝本のリーチに自身が一発で放銃することになり、一気にラス目へ。諦めずになんとか食い下がろうとするも、勝本の12000、早森の12300に連続放銃して無事轟沈。ダントツのラス目でデビュー戦を終えた。
■激闘の後は…
Mピークの大舞台で、スターへの華々しい第一歩となるはずだったユキトのデビュー戦。蓋を開けてみればチョンボから始まり、散々放銃してラスという最悪の結果で終えることとなってしまった。
どんな顔でアスラズの皆に会えばいいのか……重い足取りで控え室に向かうユキトに、勝本さんが声を掛ける。
「ごめん! キミが少牌した時 ツモ忘れ教えてあげられなくて」
意外!! ユキトは同卓者全員からスルーされていたかと思っていたが、実際は勝本さんも気付いていたけど水飲んでて止められなかったというのが真相であった。なお早森さんは喉を鳴らして教えてあげるというネコなりの気遣いをしていた模様。早姉ぇ、残念ながらそいつウサギなんす……。
一方で3万点を持ちながら3着という不本意な結果に終わってしまった小堀さんは、ユキトへの悪意を隠そうともせず文句タラタラ。これには流石のユキトも一瞬カチンときたものの……。
「次の出番までしっかり勉強してこいよ 素人丸出しクン」
しろうとまるだし、略してしろまる。小堀さんなりに愛(?)のある「お前の名前、ちゃんと覚えてるからな」弄りであると気付くユキト。口は悪いがちゃんと良い先輩である。
ところで勝本さんも気になっていたのが、実らずに終わったユキトの雪兎リーチ。
「城丸くんさ 南3局のリーチ何待ちだったの?」
ユキトから待ちがカン7筒だったと聞いて何やら納得した様子の勝本さん。聞けばユキトの麻雀については対局映像やネット麻雀の牌譜を洗いざらいチェックし、既に研究済みだったという。
ぽっと出の新人に対して、そこまでの労力を割いていたのか? にわかには信じられないユキトだが、勝本さんは頼もしい笑みでこう返す。
「対戦相手は誰だって 絶対倒して帰りたいライバルだからね」
なんてことはない。このデビュー戦、ユキトは「無名の新人」だと軽んじられていたわけではなく、ちゃんと「Mピークのライバル」として迎えられていたのである。早姉ぇだけは「シャコ派の若造」だと思っている可能性がある
そしてアスラズ控え室。落ち込んでいるであろうユキトにあまり厳しいことは言わないであげよう、というヒナたんの心遣いから、今夜ばかりは明るく出迎えることにしたアスラズの面々。いざ、帰ってきたユキトの顔は……
「ただいまー♡」
勝本さんに認められてた嬉しさでデレデレであった。
「なに笑ってんだテメエ!!」
「私の稼いだポイント返してーっ!!」
「アンタしばらく試合出さないわよ!!」
「明るく迎えてあげる」というのはどこへやら、怒声罵声で騒然となるアスラズ控え室!! いったいこれからどうなってしまうのか!?
……いや、この最後の控え室のコマがマジで最高。三者三様のキレ方をするマツ・ヒナたん・不二子さんと、1人だけ「おーおー、クッソひどかったけどまぁよく頑張ったじゃん?」みたいなニヤニヤ顔で見守ってるタカちゃんというリアクションのギャップが本当によくて、今はどこかチグハグだけど「絶対こいつら良いチームになるじゃん……」と思わせてくれる。
新生アスラズもこんなチームになるといいね!!
■次回の『ピークアウト』は!!
おい!!!!!! 西川さんのこと内川っていうのやめろよ!!!!!!!!
……???
さて、キンマ最新号読むぞー!!