認知世界の成り立ち
私たちが生きている現実世界が、物理空間と情報空間が共存している「認知世界」であることをご存じでしょうか?
物理空間は、五感で感じ取れる、物質的な三次元世界であるのに対し、情報空間は、抽象的で目には見えない空想上の世界です。ときに、現実世界は、情報空間の映像が物理空間に映し出された、いわばバーチャルリアリティーのような側面があります。
また、現実世界は、下の図が示すように、認知できる情報の階層構造が存在し、抽象度の大小によって情報空間と物理空間が分かれています。このことから、物理空間は情報空間の一部といえます。
益々、情報化が進んでいく中で、どのように一つのモノゴトを認知するかは、生きるうえで自由度に大きく関わることです。
そこで、柴犬・パグを例に、情報の取り扱い方をみてみましょう。
柴犬・パグの共通項は「犬」です。次に、犬と猫の共通項は「動物」、と
それぞれの層の共通項を結びつけていきます。こうした行為を、『抽象度を上げる』といい、それにより、情報量が最大公約数的に集約されます。
抽象度が低い物理空間に行くほど情報量が増え、抽象度の高い情報空間に行くほど、情報量が減っていきます。
情報の抽象度を上げることのメリットとして、頭が整理され、高い視座で物理空間の現象を捉えやすくなる点にあります。
このように、認知世界では、抽象度の高い情報空間の変化が、抽象度の低い物理空間に影響を与えるという法則が働いています。
これは、物理空間の変化が起こる前に、先行して情報空間で何らかの変化が生じていることを意味します。それを端的に示したものが、下の図です。
認知世界では、情報空間と物理空間が、まるで写し鏡のような関係として成立しています。このことは、先ほども述べた、現実世界は、情報空間が物理空間に投影された世界ということと関連します。
当然、体と心も、物理空間と情報空間の法則が適応されます。たとえば、身体の症状として、肩こりがあります。肩こりを単に物理現象として見ると、「肩に関わる筋肉への血流の停滞」と説明できます。
一方、ストレスなどの精神的要因から、筋肉が拘縮し、その結果、血流の停滞が起こった症状としても捉えられます。この精神的要因は、情報空間の記憶の中に存在しています。
頑固な肩こりになるほど、過去に不快な体験が、“黒歴史”として記憶として残っている場合があります。その記憶を放置したままだと、ネガティブエネルギーが停滞し、脳の神経回路の伝達が悪くなってしまいます。このような状態を、私は「記憶のもつれ」、あるいは「誤作動記憶」などと呼んでいます。
このとき、「黒歴史は、何に気づくために、必要だったのか?」「黒歴史は、自分にとって、どんな意味があるのか?」といった問いに答えることで、黒歴史の意味づけ・解釈が変容していきます。
そして、誤作動記憶が解除されると、ストレスも軽減し、その結果、血流が改善し、肩こりが解消していきます。
現実の物理空間で体験した、情報空間中の誤作動記憶を編集することで、人生を再生する転換点になり得ます。
具体的な誤作動記憶の編集の仕方について、第2章以降に説明することとして、その前に、記憶とはどういうものか、一度、整理してみましょう。