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自我を明らかにする3つの視点(3)

(3)人格形成からみる自我

自我は、右図が示すように、年齢を重ねると共に、周りに気性、習慣的人格、社会的人格へと同心円状で広がっていくイメージとして捉えることもできます。
 
気質=生まれ持った存在の本質
気性=幼少期、家庭で培われる性質
習慣的人格=学齢期に培われる人格
社会的人格=社会で培われる人格


生まれながら、誰とも人間関係を築ける社交的な人もいれば、その反対に、引っ込み思案、集団行動が苦手で、自分の世界に没頭するのが、気が楽な人がいます。これは、自我の気質によるものです。

パーソナリティーの訳語である人格は、その語源が「ペルソナ(仮面)」とされ、「私は~らしく振る舞う」というように、社会生活に適応するために後天的に身に付けた、いわば「よそいきの顔(人格)」です。
 
また、人格に含まれる要素には、「個性」「性格」「(他者から見た)その人らしさ」「外見」「嗜好」「身分」「地位」などがあり、どれも自我の成長と共に獲得したものです。気質が自我の本体だとすると、人格は、まさに自我を覆っている「仮面」と言えましょう。


私たちは、4つの層それぞれに、異なる「想い」を持ち合わせながら、社会生活を送っています。
 
社会的・習慣的人格の想いは、「建前」「本音」です。
 
建前は、「正論だけど、どこか取り繕った想いや理屈」、本音は、「正直さも感じるけれど、人前で口に出せないはばかりや後ろめたさが含まれた想い」として捉えられています。建前・本音は、顕在意識レベルで、体面を気にしている想いが含まれています。
 
建前・本音の想いの下には、気性があります。
 
気性は、主に6~7歳までの幼少期に培われた「自己認識・信念・価値観」を基に形成された、潜在意識領域の想いです。それだけに、普段はなかなか意識に及びませんが、絶えず、建前・本音に影響を与え続けています。
 

そして、気性の奥にある気質で、後天的な建前・本音に影響されない、根源的願い=魂願とも言える「本心」が存在します。「本心」に気づくには『未完了の感情』を消化することが大切な作業です。
 
なぜなら、『未完了の感情』を消化しないままだと、ネガティブエネルギーが自我全体に広がって、真ん中の本心に気づきにくくなってしまうからです。


 
本心が不明確なままだと、外側の社会的条件に適応している「仮の自分」を、「本当の自分」と勘違いしやすくなります。そうなると、心のどこかで、「自分が自分でない」という違和感を覚えるようになりかねません。
だからこそ、ネガティブな感情を感じたら、まずは、避けずに受け入れたうえで、「本当はどうしたいか」という本心をシンプルに表現することが大切になってきます。
 
そこで、私自身のこの書籍の制作に対する想いを例に、4つの層の想い方と前提の違いを見てみましょう。それぞれの層に、様々な想いが重なり合って、分け難い部分もありますが、想いの違いを分かりやすくするため、誇張して表現していることをご了承ください。

<表層の想い>
建前:中心力は大事、だから書籍を制作しているんだ。
本音:凄いって思われたい。稼ぎたい。注目されたい。

<深層の想い>
自己認識:「注目されない私は価値が無い」と
「注目されなくても私の価値とは関係が無い」との葛藤
信念:「活動を広めるには、注目されなければならない」と
「2・8の法則で言えば、2割の人にでも注目されればいい」との葛藤
価値観:「売れるために注目されることはいいことだ」と
「売れても売れなくても関係ない。自分がやりたいからやる」との葛藤

<根源の想い>
本心:自分の存在価値を発揮して生きるうえで、中心力が一番大事。まず、自分の中心とつながり、周りにもその価値を分かち合いたい。

古い自我を編集するうえで、時間の流れを一時停止するように、“今ここの0”に戻し、建前、本音、自己認識・信念・価値観・本心を、丁寧に洗い出すことは、存在価値を発掘するうえで、大切な作業です。

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