AI美空ひばりは死者への冒涜なのか?
AI美空ひばり考察~「死者への冒涜」の言葉の重みを知っていますか?
っていう文章を読んで、「ああ、そういえば、そんなのがあったかね?」ってことを思いましたが、紅白にも美空ひばりにも興味がないため見てませんでした。
で、見てみた。
キモッッッッッw
いくらなんでもキモ過ぎるだろ。
失敗した蝋人形館の人形劇って感じです。とにかくキモい。
が、歌はそこそこいいじゃん。
どうやってやったのかは知りませんが、「美空ひばりの新曲」としては、何も問題なく聞ける。
ただ、歌の途中に「お久しぶりです」とかって喋らせるのはどうなんでしょう?微妙。
個人的にはね、「倫理的な問題」とか、「死者への冒涜」とかっていうたいそうなことは思いませんでしたね。思ったのは「キモい」ってことだけ。
これね、「美空ひばり」というものをどう捉えるか?によってだいぶ変わる話だと思うんですね。
先日、同じくCGでの映画の出演で復活した「男はつらいよ」の寅さんには、「倫理的な問題」なんて言葉は一切出ませんが、あれは完全に「役」であるからですね。
渥美清を復活させるのではなく、「男はつらいよ」の寅さんを復活させるだけだから、倫理もクソもない。
ただ、美空ひばりに対してそういうキャラクターとしての感覚を持っている人もいるだろうし、彼女は「シンガーソングライター」ではなかったので、誰かの作った曲と詩を歌わせることにも抵抗が少ないタイプでもあるでしょう。
例えば、これが、シンガーソングライターであり、発言にもメッセージ性の強いタイプである忌野清志郎なんかをAIで復活させて誰かの作った曲で歌わせたら、比べ物にならないくらいのクレームがついたと思います。
リンク先の文章を書いた人はこう言ってます。
しかし、唯一無二である美空ひばりさんの歌声を借りて新曲をリリースした取り組みに対して「故人の尊厳を損なう行為である」と批判が上がっています。
僕は思うのです。
故人は否定も肯定もできないのに、どうして一概に「故人の尊厳を損なう」と言えるのでしょう。
もしもひばりさんが「私の音声を活用した音源のリリースを禁ずる」といった遺言を書いているなら、話は別です。あるいは、反対に「私の歌声が不死鳥のごとく復活した!すばらしい!」と称賛するかもしれない。
「ひばりさんなら、こう言うだろう」
「いや、そんなこと言うはずがない」
「AIが歌声を真似るなんて、ひばりさんは望まない」
そんなふうに片付けてしまうのは簡単です。
ただし、それらはすべて、遺された者の憶測に過ぎません。先進技術の是非を議論する上で、故人の意志を代弁するような批判は、あまりにナンセンス。
故人はYESもNOも言えないのが大前提なのです。
うん。
個人はYESもNOも言えない。
だからこそ、「何もしない」という選択を取るのがベターだと思うわけですね。
個人の意志がない以上、「歓迎する可能性だってある!」ってことだけを主張して進めるのって、相当な暴論だと思います。
これがね、「未発表の楽曲が見つかった」とか、「未発表の原稿が見つかった」とかだったら、公表されても特別な違和感はないんですよ。
「出したい・出したくない」は別として、本人が生み出したものだから。
ただ、今回は、本人が生み出したもの・作り出したものでもなく、生前の声と動きをパクって再現した「本人の意志も許可も確認していない全く新たな楽曲の公開」って意味では微妙です。
私はミスチルのファンですが、30年後、ミスチルの桜井さんが亡くなった後に同じようなことをされたら、絶対に不快感を覚えるだろうなあ・・・、ってことを想像してました。
ミスチルっぽい楽曲を作って、声と動きだけを見事に再現したとしても、それはやっぱり冒涜だよ。
まして、誰かが作ったそれっぽいセリフを喋らされたりしたらドン引きです。
でも、寅さんとかドラえもんとかルパン三世みたいな感じで美空ひばりを捉えるのならば、アリになるのでしょう。キャラクターだから。
「キャラクターを復活させるのか?アーティスト(人格)を復活させるのか?」
そのどちらだと捉えるかで変わってくる問題なんじゃないかと思いました。