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現役を引退して思うこと

2024シーズンで現役を引退し、これからはサッカー選手ではなく、ブラウブリッツ秋田のフロントスタッフとしての生活が始まります。

サッカー選手という職業は、誰しもがいつか引退をしなければいけない職業で(三浦知良選手などの一部の神様をのぞいて)、引退というのはサッカー選手の誰しもが通らなければならない人生の歩みです。

現役引退というのは、間違いなくサッカー選手の人生のおいて大きな岐路です。

幼い頃から今までずっとサッカーをしてきて、人生の大半をサッカーが占めていた生活から、サッカーが取り除かれるわけですから、人それぞれ違いはあると思いますが、生活や心の大半は空の状態になると思います。

携帯電話の中ですごい容量のあるものを削除したら、GB数がすごく減ったような感覚ですかね?(例えが下手だったら申し訳ありません)

プロサッカー選手になるには、常に上手くなることを考えて、家族の期待を背負って、ライバルと競い合って、サッカー漬けの毎日を送って、セレクションで優劣を決められ、強いチームや学校に入って、試合で結果を残して、そして運良くプロのスカウトの目に止まって…

でもこのような道のりを通れるのは、本当にほんの一握りです。

そしてプロとして生きるためには、ほんの一握りの選手たちがたくさんいる中で競争していかなければいけないので、当然プロになるまで以上にサッカーに打ち込まないと生き残れない本当に厳しい世界です。

そのクラブで試合に出れないと、選手としての価値はどんどん落ちていき、気がついたら戦力として必要としてくれるクラブがなく、そのまま現役を引退せざるを得ない、という選手も少なくありません。

そうならないために現役中は周りの選手よりもサッカーに打ち込み、サッカーのことを常に考え、ほぼすべての時間や労力をサッカーに注ぎ込んで、やっと選手はピッチに立つことができます。

そして現役引退後は、自分のほぼ全てを捧げてきたプロサッカー選手という自分にとって一番大きな武器を捨て、自分に残されたもので新しい世界で勝負をしていかなければなりません。

しかもサッカーに全て打ち込んできた人生より、サッカー選手を引退した後の残された人生の方が長いですから、これからの方が大切な人生が始まります。

残されたものとは具体的には何が挙げられるか考えると、これまでに得た経験や知識、コツコツと勉強して取得した資格、今まで培ってきた人間性、たくさんの出会いと別れを繰り返して築いてきた人間関係など、様々なものが挙げられます。

「引退までサッカーのことしか考えず、サッカーしかしてこなかった」という言葉は側から聞いたら、「この人はサッカー一筋で本当に頑張ってきたんだな」と感動してもらえるかもしれませんが、現役中にできることは本当にたくさんあって、この部分が引退後に他の選手との人生に差が生まれてきます。

かと言って、サッカー以外のことに重きを置き過ぎて、サッカーに対して疎かになってしまうのは、サッカー選手として本末転倒です。

もちろんTOP OF TOPで結果を残し続けて、サッカー以外のことを何も勉強しなくても、現役を引退してからも自然と仕事が舞い込んできて生活に困らない選手も中にはいますが、それはサッカー選手のほんの数%に過ぎません。

では、現役中にどういうことを意識したら、現役引退後でも自分に残されたものを豊かにできるのかというと、それは「これまで自分と自分の周りに投資したものがそのまま自分自身に還元される」ということです。

これはサッカー選手だからということではなく、自然の摂理だと思います。

どういうことかというと、一番分かりやすい例えを挙げます。

午前中に練習をして、午後がフリーでパーソナルトレーナーと一緒に身体動作の改善のトレーニングを行ったとしましょう。

自分のパフォーマンス向上のために自分に投資をしています。

それを続けていくことによって、パフォーマンスが向上し、試合で結果を残せるようになり、レギュラーになり、ビッグクラブからオファーが届き、日本代表になり、海外に挑戦して、W杯に出場して……

そして自分の周りでは、ファン・サポーターの数が増えたり、物品提供をしてくれる企業が現れたり、個人スポンサーが付いてくれたり、テレビ局から出演オファーが来たり、その流れからこれまで出会えることのなかった様々な業種の人たちと出会えたり……

こんなにとんとん拍子で上手くいくことは本当に難しいですが、練習後にパーソナルトレーナーとのトレーニングに投資をすることによって、自分自身に還元されることだけでなく、その周りでも還元されたものがたくさんのものに影響を与えて、その相乗効果がぐるぐると巡り巡ってまた自分に還元される、という流れです。

そして後に現役引退をしても、選手として実績を残したことによって、フロント・コーチ・スカウトなどの道のほか、個人スポンサー企業との付き合いでそのまま就職できたり、テレビ出演をきっかけにタレント活動ができたり、様々な道が自然と用意されます。

プロサッカー選手という武器を失ったとしても、自分に投資をしたことによって巡り巡って還元されたものが、様々な武器や能力に変わり自然と備わっていることに状態になります。

もう一つの例として、午後はフリーだから夜に飲み会に参加したとします。

この投資によって、出会いが増える、ストレスが軽減する、サッカーを頑張る活力を得るなどのメリットのほか、コンディションが悪くなる、筋肉の質が落ちる恐れがある、などデメリットもたくさんあります。

飲み会が良い悪いではなく、自分に投資したものがそのまま還元されるという点では、飲み会という投資で得られる還元は、その飲み会で出会った人と結婚するかもしれませんし、たまたま大企業の社長と乾杯することになって、普通なら出会えない出会いがあったり、パーソナルトレーニングとは全く異なる還元となるということです。

投資に良し悪しがあるのではなく、還元されるものが変わってきます、ということを伝えたいです。

だから現在、現役のサッカー選手たちには将来を見据えて自分に投資をして、いつか引退した時にその投資した分が自分に大きく還元されるように選手生活を過ごしてほしいなと思います。

では、今の蜂須賀孝治には何が残っているのか?と問われた時に、パッと考えつくのは人との出会いです。

ケツメイシさんの「出会いは成長の種」いう曲が昔から大好きで、人と人との出会いには必ず意味があって、出会いすべてが偶然ではなく必然であり、出会いによって人は成長していく、という曲です。

まさにその通りだと思っていて、これまでの出会ってきた家族・友達・後輩・先輩・同級生・チームメイト・監督・コーチ・フロントスタッフ・ボランティアスタッフ・学校の先生・よく行くお店の店員さん・ファン・サポーター・スポンサー……

挙げたらキリがありませんが、その出会いを大切にして、この出会いにはどのような意味を神様が与えようとしてくれてるのか、ということをずっと心に持って過ごしてきました。

人との出会いというのは、直接的に自分に投資をして還元された訳ではないのですが、様々な本を読んだり、今までの人生経験から得られた思考なので、投資が巡り巡って還元されたものなのかなと思っています。

出会いやその瞬間を大切にしたいという思いからか、率先して集合写真を撮ることを促したり、ご飯を一緒に食べた人とは食べ終わったら必ず写真を撮りたくなって、みんなから「写真おじさん」とよくいじられてます。笑

SNSでコメントをいただいてもそれも一つの出会いですから、できる限りコメントを返させていただきますし、悪いことを言われても「こう見られてるのか、改善していかないと!」って教えていただいていた気がします。

車で後ろから煽られることが結構あるのですが(運転がマイペースで申し訳ありません…)、「急がないように少し早く準備するのは大切だ」と思ったり、車から大きな家具を出そうとしてる時に手伝ってくれた見知らぬおじさんが「困った時はお互い様だよ」とおっしゃってくれて(正直、その場で泣きそうでした…)、「今度そういう状況に出会したら真っ先に助けよう」と思ったり、ふとしたことが全て出会いなんだなぁとつくづく思っています。

出会いに大小はなく、全てに意味があります。

改めまして、現役引退後の自分に残された大きなものは、人との出会い、そしてそれに伴う大きな繋がりだと思っているので、今までの出会いを大切にしつつ、これからもたくさんの人たちと出会って、新しい出会いも大切にして、その意味をたくさん学んで、生活していきたいと思います。

フロントスタッフとなったことで、これまで出会うことのなかった人たちと出会えるチャンスがたくさあると思うので、すごくワクワクしていますし、これまでより一層その出会いを大切にしていきたいと思います。

みなさん、蜂須賀孝治と出会ってくれて、本当にありがとうございます!!!

これからも末永くよろしくお願いします。


長くなり過ぎてしまって申し訳ありません。

最後まで読んでいただき、本当にありがとうございました!

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蜂須賀孝治
読む価値があると思っていただけるように、そして読む前と読んだ後で心境に少しでも良い変化をもたらすことができるように、記事を書いていきます。