塾講師というアルバイト

何気なく初めた塾講師というアルバイトが良かった。

大学生になってから、飲食、清掃、コンビニ、倉庫、パチンコ、鉄道員など、様々なバイトをしてきた。
多くの経験が人生の豊かさにつながると思ったし、自分の適性を知りたかったからだ。
しかしどのバイトでも時間の経過ばかり気にしていた。「この1時間働けば千円もらえる。」ーーやりたくないことを時間を犠牲にしてただ取り組んできた。
ずっと疑問に感じていた。大学を卒業したら嫌でも働くことになる。
一番大切にしたいこの瞬間に低賃金で労働をして時間を無駄にするのは勿体無い。もっと自分の成長のためにできることはないのか。

とはいえ、働かなかったらお金がないので生活できないし、大学生らしいこともできない。

そんな中でぼんやり考えていた塾講師のアルバイトを始めた。
自分は受験に本気で取り組んだ人間ではないのでずっと敬遠していた。
ただ、未経験のバイトがあと塾講師くらいだったので軽い興味で始めた。

塾講師ってどんなバイト?

働いてまず実感したのは「責任の重さ」だった。
これまでは、最低限やるべきことをやって時間の経過を待てばお金が貰えていた。
塾講師も適当にやることは可能だ。
ただ生徒にとっては将来の進路、この先の人生が決まる重要な局面にいる。
その過程で小遣い稼ぎのためになんとなくで接していいのだろうか。
これまでのバイトとは違う。本気で取り組むと決めた。

業務内容は、勉強を教えること。当たり前だ。
しかしさらに大切で主軸になる業務があることを知った。

それはマインドセット。

勉強は多くの人にとって、嫌なことに向き合うということ。まず勉強に向かう気持ちを作ってあげなければならない。

例えば、

・生徒の考えや感情を受け入れる。
・自分ならできると励ます。
・計画を立ててクリアする経験で自己肯定感を高める。

などなど。

生徒自身が主体的にならなければ、いくら勉強をわかりやすく教えてもなんの意味もない。
教務よりコーチングやマネジメントの方がよっぽど大切だと知った。

塾講師の良さ

これまでの自分は人と関わることを嫌ってきた。他人の成長に時間を割くよりも自分の勉強に時間を使った方が有意義だと考えいていた。
しかし、人に教えることこそ一番の学びになると知った。

自分が変わる

人に教えることで自分も変わった。
生徒に励ましの言葉をかけることは自分に言い聞かせていることにもなるのだと思う。内面がポジティブになった。
また、教育者の立場として「理想の先生でありたい」というプライドが生まれた。
あいつらが頑張ってて俺が頑張れないはずないよな。
あいつらに頑張れって言ってるのに俺がやれないわけないよな。
という気持ちが芽生えた。
日常生活の些細なことも頑張れるようになった。

学ぶことが多い

自分が先生ではなく生徒ではないかと思うことばかりだ。
生徒と接する中で常に新たな発見がある。
自身のノンバーバルや声かけの内容一つで生徒の動きが変わる。

自分が伝えたいことを一方的に伝えても刺さらない。
相手の話を聞いた上で相手にとって一番重要なことを伝えるようにしたら上手くいった。

PDCAサイクルを回すこの過程が、今のバイトに限らず、これからの人生で対人関係を円滑にするための経験値になっている。

他者貢献

なんと言っても生徒から感謝される。その瞬間が嬉しい。
これまで幸せは自己完結してると思っていた。自分が何かを達成することで幸福を得ていた。
他人から感謝された時これまでにない幸福を感じた。


アルバイトは結局、楽よりも忙しい方がおもろい。本気でやった方がおもろい。
これはバイトだけではない。


人を導ける人間になりたい。

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