♯36 日常で世界を変える(藤枝編)10月16日
昨日は散々だった。居酒屋で仲良くなった中川が途中で寝たこともあり、中川をおぶりながら、自宅まで連れて帰った。そこから、居酒屋に自転車を取りに帰りその近くでテントをはり寝たのだった。最悪の寝起きだったが、世の中にはいろんな人がいるんだと改めて思うきっかけにもなった。この前あった社長からもまだ若いんだからいろんな経験をしてほしいと言われていた。気持ちは理解できるが、やっぱり楽しいことがしたい。そう思ってしまうのはよくないのか?
今日は、自転車から少し離れて歩いてここら辺を詮索することにした。ゆっくりゆっくり歩みを進めて行くがあまり人が見当たらない。さすが田舎というのか。今回はスマホを使わずに歩くことに決めていた。ここら辺には、田んぼがたくさんある。稲が刈られたこの田んぼはポッカリ穴があいた心のようだった。道の脇には、古びた木の柵が所々に残っている。なかなか対応ができないのだろうか?さらに、そこに絡まるツタが広がっている。無造作に伸びていくのをみるといかに人がいないのかを想像させてしまう。空を見上げると、青いキャンバスに白い雲がポツンと浮いている。とても綺麗だ。今から自転車で通れば、もう一回ここを見れるかもしれない。でも、ここからどうするか迷っていた。
歩きながら、悠久の時を刻んでいる場合ではない。前方から学生の声が聞こえてくる。だんだん近づいて行く。遠くから聞こえる子どもたちの声に耳を傾けると、彼らは何か遊んでいるみたいだった。おそらく、おにごっこをしているのだろう。タッチしたかしてないかをずっと話し合っている。笑い声が風に乗って、俺の耳へと運んでくれる。田舎の風景は、これまでいた記憶をかきかえさせてくれる。これまでいた日常の喧騒から離れることで、新たな一歩を踏み出せる。
この景色を1ヶ月にはもう忘れているのかもしれない。そんな時、ちゃんと刻めれるようにしたかった。この一瞬一瞬、1秒1秒。苦しい時にまだやれると自分自身思いたい。そんな人生を歩むことに生きることの幸せを感じる。すると、目の前には古い家々が目に入ってきた。木造の家は、長い年月ずっと建っているんだろう。がしっりとした木造建築なんだような。たっているだけでこんなに存在感を放つなんて凄い。おそらく、かつて賑やかだったであろう家なんだろうなと思う。この家の先は海辺だ。そろそろ引き返すか。なんとなく、どうなるかは想像できた。