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♯30 日常で世界を変える(藤枝編)10月10日

 昨日、近藤の話を聞いて俺も楽になった。これから何をするかは大体決まった。あとは、残りの時間で休みを満喫することに切り替えた。どっちにしろ休める時間は限られている。だったら、こんなところにいても仕方がない。一人で何かできないかと考え始めた。

 ー10月9日ー

 近藤「いくら出したら来てくれる?」

 少し考えた後に口を開いた。

 俺 「報酬じゃないよ」
 近藤「じゃあ、どうしたら来てくれる?」
 俺 「条件なんてないよ」

 近藤をバッサリきりすてた。

 近藤「何で決めるんだ?」
 俺 「そりゃあ、魅力的なものさ」

 よくわからない俺の言葉に、近藤はピンときていたみたいだった。

 近藤「それは、やりがいみたいなんもんか?」
 俺 「そういうことだな」

 キレイに俺の言いたいことを言語化してくれた。

 近藤「やりがいかぁ。たしかに俺といてもやりがいをもつことができるかは怪しいな」
 俺 「別にお前といないからと言ってやりがいがもてるわけではない。でも、、、、、」

 古屋たちの会社にかけてみたいという思いも強かった。

 近藤「わかるよ。その気持ち。俺も前の会社待遇よかったんだ。それでも、現状に満足できなくてやめたんだ」

 そりゃあ、大手企業に入った近藤も悩めることだろうな。

 俺 「だよな。近藤は、何をするの?」
 近藤「フリーランスで自分を試したくて」
 俺 「フリーランスだったら、俺もいらないじゃないか」

 少し目線を下げた。

 近藤「違うよ。フリーランスって言っても結局一人で仕事はできないんだよ」
 俺 「どういうこと?」
 近藤「フリーランスって一人でやっているように思うけど実際は違うんだよ」

 フリーランスを知らないから、なんとも言えない。けど、そういう働き方を近藤はしたいんだな。

 俺 「でも、お前の志は尊敬するよ」 
 近藤「まぁ、俺も野球しかしてきてないからな」
 俺 「そうなの?」

 この後、近藤は大学で野球をしてきたことを話し始めた。大学1年生の頃から、4年生に混じって試合に出ていたそうだ。2年生の頃にベストナイン、3年生の頃に首位打者。4年生の頃には、首位打者、盗塁、ベストナインの3冠を達成し社会人野球からもスカウトが来ていたほどだった。それでも、上には上がいると実感し野球を辞めることになった。

 近藤「だから、野球は向いていないって今でも思うよ」
 俺 「お前が思うってよっぽどだな」

 それだけ、世間は広いということなのだろうな。

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