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推しの結婚と出会いがない理由をコロナだからと言い訳に出来ない

コロナ禍に推しが結婚した。
しかもInstagramにウエディングフォトを載せての報告だった。まさに青天の霹靂。たしかに推しはずっと前から早く結婚したいと言っていた。それは私が推す前から言っていたし、一般的に結婚を意識するには十分な年齢だ。過去に週刊誌に撮られた時、こんなに魅力ある人だからいつかは撮られると覚悟していた。だけど、記事を読んで私は愕然とした。なぜなら思い描いていた相手と違っていたし、推しがさんざんメディアで言っていた好きなタイプとかけ離れていたからだ。何でこの人なの?どうして?どうせデマでしょ?もしかして話題作りに撮られたの?いや、もしかしたら本当はずっと支えてきた人だったりするのかもと頭の中で自問自答した。考えたところでなるようにしかならないし、まだ結婚するかは分からない。私は、グッズを買ったり、LIVEに行ったり、舞台を観に行ったり、その時にプレゼントと手紙をあげたり、推しの縁の土地に行ってみたり、お渡し会で初めて推しを至近距離で会えた時は嬉しくて、数秒話しただけですごく緊張したし、推しが掲載している雑誌や新聞を調べては購入し、記事を切り抜いてファイリングしたり、こんなに楽しく過ごせるのは間違いなく推しのおかげだ。だから、人を幸せにしている人は特に幸せになって欲しいし、これからも推していこうと近い将来への覚悟をしようと思っていた。その頃にはさすがに私も結婚して、推しの結婚発表がされた時は微笑ましく思っているだろうと。
ところが現実はそうではなかった。
結婚自体はたしかに喜ばしい事だ。お相手もとても素敵な女性でお似合いだと思った。その日は“電撃結婚”とTwitterのトレンドにもなるくらい話題になった。なのになぜだろう、デマなのではないかと思いたかった。

結婚発表の翌日、同僚からは「大丈夫ですか?」と心配された。私は咄嗟に「もしかして心配してくれたの?ありがとう!もう全然平気!むしろいい人捕まえてよくやったって感じw」とショックなんて一切してないと言わんばかりに明るく振る舞って、胸に棘が刺さった様な感覚に気づかないふりをしていた。一人になったタイミングで、つい、スマホで推しやお相手の結婚報告の投稿に対してのいいねの数や、共演した芸能人からのコメントを読んで、たくさんの人から祝福されているのがよく分かった。推しの結婚について検索し、インタビュー記事を読み漁る。すると、なれそめやお付き合いの期間、結婚の決め手など出るわ出るわ。でも何故だろう。かつての推しに抱いていた熱量が水蒸気のように抜けていく感覚があった。その抜け出た熱量の代わりにをじっとりとしたものが蓄積されていく。推しは私にたくさん幸せをくれたのにどうして?何でこんなに素直に喜べなくなってるの?推しがキラキラしていたのはお相手の存在があったからかもしれないことがモヤモヤしているの?推しの結婚は祝うべきだと思っていたのに。本当にそう思っていたのか?昔Twitterで、「推しの結婚について何で心から祝えないのか?理由は、推しが私の人生にはたくさん関わってきたのに、推しの人生に私が関わっていないから」と言うのを見かけたことがある。じゃあ私も同僚にあんなに明るく振る舞ったのも、これ以上推しの結婚の話は聞きたくなくてした事だったの?誰かのものになった事がそんなに嫌だったの?今を思えば、私が先に結婚していたら微笑ましく思えるだなんて何様な考えだったんだろうと少し恥ずかしく感じる。それくらい私は推しの事が好きだったのだ。「いい年してリアコだったなんて夢見すぎ、現実見なよ」、「推しと結婚出来るとでも思っていたの?」って言われたらどうしようと、怖くて誰にも打ち明けられなかった。

あんなに毎日検索してまで見ていたのにすっかり気持ちが冷めてしまい、しばらくは推しの事も調べたりテレビ観ようとしなかったし、グッズを買うことが少なくなった。
光が強ければその分陰は濃くなる。あのキラキラ太陽みたいな推しに憧れて大好きだったのに、今やそのキラキラが陰キャの私にはどうにも眩しくて推しを避けていた。
少し時間が経って何でモヤモヤしていたのか冷静になって考えて気づいた事があった。推しが嫌いになった訳じゃないのになぜか前のように追えない自分。あぁ、それは仕事を忙しくしている人でもちゃんとプライベートでは相手を見つけて人生の選択をしているのに、同じ月日で私は何をしていたんだろうと思ってしまったからだ。恋愛に対して臆病で自己肯定感の低い私は上手くできない歯がゆさから人の幸せが祝えないんだと気づいた。

時を同じくして、職場でも結婚する人達が増えた。祝いたいのにまたしても素直に祝えない自分がいた。でもそんなの悲しい。そんな自分を変えなきゃと思うようになった。世の中はまだコロナ禍で、一体どうして出会って、結婚まで行き着いたのか。中でも話しやすく私より6歳下の女の子に聞いてみた。「旦那さんとはどこで出会ったの?」と聞くと「実はかなり婚活頑張ってて、マッチングアプリで出会ったんです。」と教えてくれた。「へー!マッチングアプリで結婚ってイマドキだね!」マッチングアプリ婚ってコロナ以降、特にメディアで取り上げられて、出会いのきっかけのランキングで職場や取引先、友人知人の紹介に引けを取らないくらいだと言うことは知っていたけど、まさかこんな身近にマッチングアプリで出会って結婚までする人がいたとは。「何人かとやり取りして今の旦那さんと出会えて、同棲して結婚しました」と彼女は丁寧に答えてくれた。知らないところでそんな努力していたのかと思った。「でも、マッチングアプリってなんか…」私が少し戸惑っていたら、「出会い系みたいで抵抗ありますよね」とズバリ見抜かれてしまった!なんというかマイナスなイメージが先行して今まで遠ざけていたのだ。すると彼女は、「私も最初はそう思っていたけどやってみると意外と良くて。妹とか友達とか結婚しているし、そろそろ真剣に考えないとヤバいなと思って」その一言で心臓に矢がグサリと貫通した様な気持ちになった。出会いのきっかけランキングの上位を改めて考えてみた。職場や取引先の男性は全員既婚者。はい、1アウト!友人の紹介と言っても私の友達だってほとんど結婚して、家事や育児をしながら仕事をしている。20代の時に合コンを誘ってくれたりしたのに、無下にしたのは他でもない自分。忙しくしている人達に今さら誰か紹介してと言えない。はい、2アウト!じゃあ残るは…
「妖怪独り身にマッチングアプリのやり方を伝授してください」と意を決して言ってみた。「分かりました」と彼女は快く引き受けてくれた。推しより先に結婚は出来なかったけど、私も頑張れば結婚出来るかもしれない!やれることからやってみるしかない!それから私は、マッチングアプリに登録して、マッチングした後にやり取りをして、相手と会うことになった。まぁ、この後もいろいろあるのだけど。今年、メジャーリーガーの大谷選手が結婚した。あんなに忙しくて、しかも遠距離恋愛の末に結婚したのだから、コロナだから出会いがないとか、距離があるからと言うのは言い訳に出来ない。要は努力をするか、しないかなのだ。

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