心化粧15 ― 瞼が閉じるその瞬間まで
明かりを消し、この部屋は暗闇に包まれた。闇は人や物の形を隠し、すべてを覆い隠す。闇は平等を象徴する一つのツールなのだ。一方、光は格差を浮き彫りにする。この闇の持つ平等性について、私は初めて考察したのかもしれない。
暗闇の中、睡眠薬が徐々に効いてきた。この静寂の中で、私は皆さんに伝えたいことがある。明日は必ずやってくる。それは避けられない現実だ。明日も、部屋を出て何かしらの活動をしなければならないだろう。仕事、学校、クラブ活動、あるいはママ友との集まりかもしれない。これは、人間の性として、じっとしていられないからだ。
しかし、あなたが今すぐそれを行う必要はない。あなたの代わりは存在するのだ。だから、無理に起きる必要はない。あなたが倒れても、別の誰かがその役割を果たすだろう。「かけがえのない存在」や「自分だけがこの仕事をこなせる」という自負。それは、自分が世界の一部であることを確認するためかもしれないが、大きな誤解だ。あなたの貢献は、存在そのもので評価されるべきであり、成し遂げた業績ではない。
富を築いた人々は、その富によって偉大さが測られるわけではない。その富を必要とする人々に分け与えて初めて、社会は成り立つのだ。あなたが生み出す富、価値、労働、生産物。それらはすべて社会の産物である。したがって、それらを独占することはできない。適切に分配する必要がある。現在、それは納税という形で行われているが、直接支援したい人々に届けるシステムがあっても良いのではないかと考える。
この「税」というシステム。決して軽視すべきではない。あなたの富は、分かち合うためにある。個人は共同体の最大化のために存在し、共同体は個人の多様性を極限まで認めるためにある。これによって、人類という種の存続に寄与するのだ。
これはコミュニタリアニズム的で、何とも即物的だと感じるかもしれない。しかし、考えてみてほしい。あなたの行動一つ一つに、どれだけ自由意志が関与しているのか。ここでは、自由意志の存在を問わないことにしよう。あなたの行動は、本当に自分の意志から来ているのだろうか。赤信号で止まる。それは、規範によって植え付けられたアルゴリズムではないか。ルール、道徳、倫理、規範、法令。それらはすべて、あなたを束縛するものだ。人間は、納得できる束縛があれば幸せなのだ。不当な束縛を感じたとき、人は初めて不幸を感じる。この差は非常に大きい。
したがって、真の自由を手に入れたとき、人はどうなるのだろうか。支配によって、あなたの安全は守られている。そして、あなたは規範に従うことで忠誠を示している。これを支配と呼ばずして、何と呼ぶのか。しかし、家から一歩も出ない人は、何の支配も受けていない。すべては彼の中にある。彼がすべきことは、外に出られない自分を嘆くことではなく、外に出ないと決めた自分の勇気を称えることではないだろうか。
まぶたが重くなってきた。今日の活動はこれで終わりだろう。しかし、明日には明日の風が吹く。より良い未来が訪れることを、ここに誓いたい。アーメン。