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~前世の記憶がある子供 〜
皆さんは「前世」や「生まれ変わり」を信じますか? 、それとも、人間は死をもって無になると思っていますか?
前世の記憶について、実際にそれを研究する専門家も存在していて、前世の記憶を持って生まれた子供たちは、真実と思しき事例だけでも、現在までに世界40か国以上で5000件を超えて発見されているそうです。
今回は、日本の台東区にお住まいの『大室 僕人(おおむろ ぼくひと)』さん(32歳)と 『大室 梢(おおむろ こずえ)』さん(32歳)の間に、長男として生まれた『大室 裕輔(おおむろ ゆうすけ)』くん(4歳)のお話をしてみましょう。
この大室家は、夫婦と子供一人でマンション暮らしをしている一般的な家庭です。平穏無事に暮らしていたところ、息子の裕輔くんが、突然、おかしなことを言い始めたそうですよ。
大室梢:「ねえ、あなた。子供番組のフラダンスを観ていた裕輔が、何かを思い出したかのように、「本当のおうちは荒川区にあるの!」と言ってきたんだけど……うちは、代々、台東区出身だから、荒川区に縁なんて無いわよね?。これは、もしかして前世の記憶というものなのかな?」
夫は「あははは(笑)。そうかもね~、でも、テレビの見過ぎじゃない?」と言って、まともに受け取ってくれません。
梢:「どうしよう・・・。私、前世とかオカルト的な話って苦手で・・・。まさか自分の息子がこんなことに・・・」
夫は「まぁ、いいじゃない。子供の言うことだからさ。あまりシリアスに捉えない方がいいよ。」と関心が無いようです。
梢:「でも、裕輔は、両親が早くに他界して常に独りだったとも言っているし、絶対に、裕輔は前世の記憶を持って生まれてきたのよ・・・」
大室裕輔:「そうなの。お父さん!、ぼくの家は地主で、ご先祖様からいただいた土地を駐車場にして賃料で暮らしていたんだ。だから、まともに働いたことはないんだよ。マンションなんか嫌だよ。戸建てに住みたい。」
大室僕人:「あはは(笑)。裕輔!、日本人には勤労の義務があるんだぞ(笑)!。このマンションのローンも何十年と残っているんだから、変なこと言わないでくれよ。それに、どこでそんな言葉を覚えたの?。お母さんが心配するから、変な冗談は止めなさいね。そろそろ、お父さん、仕事に行ってくるからね!。」
裕輔:「はい!、いってらっしゃい!、でも、冗談ではないよ。本当なんだよ。ぼくの家は、古くて農家の家みたいに大きいんだよ」
梢:「あなた!、いってらっしゃい!。えっ?、裕輔ってば、まだ このお話を続けるの?」
裕輔:「ぼくは、駐車場の賃料を貰うだけの暇な生活だったから、全裸に腰蓑姿で、毎日、仕事もしないで女子校の通学路に立っていたんだ。」
梢:「うわあああああ!!、それって変質者じゃないのよ!!、なんでそんな日々をおくっていたの?。」
裕輔:「ぼくは、女子校生たちのパンチラが拝めるよう、腰蓑姿で、いつも神様に祈っていたんだよ!」
梢:「きゃあああああ!!!、うちの子、そんな変人が前世なの?!!」
裕輔:「身体も、こんなに小さくなかったよ。身長は190㎝、体重は150㎏はあった。よくサモア人とかハワイ力士に間違われていたんだ。それが、ぼくの前世の記憶なんだ」
梢:「なんで、そんな男が我が家の長男として生まれてきたのよ・・・」
裕輔:「たしか、前世では、ぼくは『厄災レベルの中年童貞』って呼ばれていたよ。」
梢:「・・・あ、あの、裕輔は、本当に私の息子なの?」
裕輔:「うん。お母さんは、今のお母さんだよ。ぼくの名前は、今は裕輔だけど、昔は『パイナップル番長』と呼ばれていたんだよ。その時のお母さんは、ぼくが3歳のころに死んじゃったんだ。」
梢:「生まれ変わりなんて、そ、そんなことありえない! 、それに、『パイナップル番長』って日本人の名前じゃないわよ。」
裕輔:「そうかな~、でも、間違いなく『パイナップル番長』と呼ばれていたんだよ。自分では誠実な真人間だと思っていたけどね。変質者なんだってさ。今、ぼくは令和生まれの4歳の男の子だけど、でも、前世は昭和40年代の生まれだったな。」
梢:「もう、やめましょうね。ほら、お母さんのこと、よく見て。あなたは私の子供でしょう?、私は28歳で裕輔を出産したんですよ。だから、昭和なんて関係ないのよ。」
裕輔:「それはわかるけど、ぼくの前世は昭和生まれの男だったんだよ。その時代には、VHSというのがあって、よく裏アダルトビデオっていうのを集めていたな。3000本以上はあったから、駐車料金の大半はエロビデオになってたんだ。3000本以上はあったから、終活で処分するのも大変だったよ。」
梢:「何をおかしなことを言っているのよ? ビデオテープのことよね? そんなの今の時代には誰も持っていないのよ・・・」
裕輔:「うーん、でも、確かにこの記憶は本物だぞ・・・。それから、ぼくには平成の時代の記憶もあるんだ。その頃は、アダルト無修正動画を毎日パソコンで観ていたんだ。ロリータ動画をダウンロードしてね。いつ警察に捕まるか心配だったな。」
梢:「もう!・・・そんな話聞きたくないわ!! あなたはどこの子なの!?」
裕輔:「ぼくは『パイナップル番長』の生まれ変わりだよ。今はお母さんの子供だけどね。」
梢:「わかったから・・・。もう、前世の話はしないで・・・」
裕輔:「ぼくの前世が『パイナップル番長』だってことは信じてくれたの?、ぼくは、お母さんに会うために生まれてきたんだ。だから、お父さんはライバルなんだよ。」
梢:「えっ?なにそれ。はいはい。もう、わかりました。それじゃあ、信じることにします。それで、これからどうしたらいいの?」
裕輔:「僕の生まれ故郷の荒川区に行ってみたいな。」
梢:「割と簡単な話ね。それなら、バスと電車に乗れば行けますよ。でも、荒川区の裏道は狭くて迷路みたいになってるから簡単に行けないかも・・・」
裕輔:「大丈夫だよ。ぼくは荒川区の裏道に詳しいから、どんな細くて複雑な道でも迷子にならないんだ。」
梢:「えっ!?・・・どうして行ったこともないのに詳しいのよ?」
裕輔:「前世では、荒川区の女子校の通学路を行脚しては、毎日のように女子校生のパンチラを求めていたからさ。いつだって彷徨って、裏路地を歩き回っていたんだよ。」
梢:「ひぃーっ!!やっぱり、息子が変質者の生まれ変わりだったなんて!!」
裕輔:「あと、ぼくの住んでいた家も見たいんだ。今は、どうなってるのかな。」
梢:「えっ!? この家でしょ!? あなたの家は台東区のマンションの一室ですよ!」
裕輔:「でも、ぼくの生まれた場所は荒川区だったんだよ。ぼくにとって、とても大切な場所なんだ。」
梢:「もう、仕方がないわね。そんなに言うなら、わかったわよ。行きましょう。でも、ちょっと待ってね。お父さんが出勤した後、明日の朝にしましょうね。」
裕輔:「やったぁ!」
(翌朝)
梢:「はい、お弁当を作って出発よ!。」
裕輔:「ありがとう!!。」
梢:「でも、本当に行くつもりなの?」
裕輔:「もちろんだよ。ぼくには前世の記憶があるから、懐かしくて仕方がないんだ。」
梢:「前世の記憶ねぇ・・・。本当なのかしらね。」
裕輔:「うん。前世では、ぼくは女子校生たちから石を投げつけられることもあったんだ。『腰蓑の変質者』って呼ばれてね。」
梢:「えっ!? 本当なの?」
裕輔:「ああ、そうだよ。みんながぼくのことを変態だと思っていたんだ。全裸に腰蓑姿だから。」
大室梢:「うーん、たしかに、そう言われると、お母さんが高校生の頃に、どこかでそんな変質者に遭遇したことがあるような記憶が・・・、気味の悪い全裸に腰蓑姿の色黒巨漢の記憶があるような・・・」
裕輔:「ねー、お母さん。ぼくは洋服を着たくないよ。全裸に腰蓑姿になりたい。」
梢:「だめです!、そんな服装は許しません!」
裕輔:「うーん・・・。でも、裸に腰蓑は、ぼくの誇りだったんだ。」
梢:「とにかく、そんな格好は許しません!」
裕輔:「そうかぁ・・・。でも、ぼくは腰蓑姿で女子高の通学路を歩くのが好きだったんだよな~。」
梢:「そんなこと言われても、あなたはうちの息子です。世間に恥ずかしいので、服は着てください。」
裕輔:「でも、ぼくは腰蓑姿で女子校生たちを待ち伏せしていたんだ。」
梢:「・・・・・・」
裕輔:「ぼくは、女子校生たちが通学する時間になると、通学路に仁王立ちして、全裸に腰蓑姿で、女子校生たちのパンチラを待っていたんだ。」
梢:「なんてことを・・・。」
裕輔:「でも、ぼくは未成年の処女が好きなんだ。」
梢:「えーっ!!4歳児の言うセリフじゃありません!」
裕輔:「ぼくはロリコンだったんだ。でも、残念なことに、ぼくが女子校生たちを待ち伏せしているときに、パトカーがやってきて、逮捕されたこともあったんだ。」
梢:「そんなことがあったのね・・・。でも、今は4歳の男の子なんだから、そんなことはしないでね。」
裕輔:「うん・・・。わかった。」
梢:「じゃあ、行きましょうか・・・」
裕輔:「やったぁ! ついに行けるぞぉ!!」
そうこう話しているうちに、バスに乗って、上野駅に着いた。
梢:「ここから、尾久駅まで電車に乗りますよ。」
裕輔:「やったぁ! 」
梢:「えっ!? そんなにうれしいの?」
裕輔:「うん。ぼくは前世では荒川区の戸建に住んでいて、都電の近くに住んでいたんだよ。」
梢:「へぇー、そうなんだ。」
裕輔:「それで、ぼくの家の庭には、家族として3匹の犬を放し飼いにしていたんだ。ぼくは天涯孤独だったから。」
梢:「へぇー、そうなの。」
裕輔:「それで、家族とは言いながらも、ロクに世話をしなかったから、庭中が犬のウンコまみれだったな・・・・・・、足の踏み場もないくらい。」
梢:「・・・・・・」
裕輔:「それで、犬が死んじゃった時、家族を失った事へのショックで犬の死体を庭に放置して、こっぴどく保健所に怒られたんだっけな。」
梢:「・・・・・・」
裕輔:「それで、慌てて、犬の死体を庭で火葬にしたら、今度は消防署と近隣住民に怒られたんだっけな」
梢:「・・・・・・」
裕輔:「それで、仕方なく自宅の風呂場で犬の死体を焼いていたら、今度は近所の人が火事だと勘違いして通報したんだよな・・・・・・」
梢:「・・・・・・」
裕輔:「そして、警察や消防が駆けつけてきて大騒ぎになったんだよな・・・・・・。それ以来、ぼくは、『ポリネシアの黒魔術師』なんじゃないかって近所から噂されて、その後、誰からも相手にされなくなったんだよ。町内会からもハブられていたんだ・・・・・・」
梢:「・・・・・・」
裕輔:「そんなことばかりだったけど、ぼくは荒川区が好きなんだよ。ご先祖様から承継された大切な土地の駐車場があるしね。ぼくが生きられたのは駐車場の賃料のおかげなんだよ。勤労意欲はなかったからね。」
梢:「・・・・・・」
裕輔:「やったぁ! とうとう、尾久駅に降り立ったぞ! ここから10分ほど歩いた場所が前の自宅だ。」
梢:「それでは、その家を目指して歩いてみよう。」
(10分後)
裕輔:「懐かしいな・・・・・・。ぼくの家は都電の大台駅の近くだったはずなんだけど・・・」
梢:「ねえ、裕輔!、都電の大台駅なら、あそこよ!。」
裕輔:「そうそう、たしか大台駅の裏道に、大きめな家があったはずなんだけど・・・・・・」
梢:「あっ! あれじゃない?」
裕輔:「えっ、あれじゃないよ。おや!?、えっ!?、嘘だ!!、ぼくの家も駐車場も無くなっている!!。信じられない!、その場所に、なんか見たことがないデッかいマンションが建っている・・・」
裕輔:「思い出したぞ!、そうか!!。そうだった!。ぼくは、生涯童貞で、身寄りが無かったから、自宅と駐車場を売って青梅市の老人ホームに死ぬまで入っていたんだ。ああ・・・・、ご先祖様、ごめんなさい・・・・・・(涙)。」
梢:「そうなのね・・・・。前世の記憶にあった自宅は、もう無いのね。それじゃあ仕方ない。生まれ変わりの証明はできなかったわね。じゃあ、帰りましょうか・・・・・。せっかくだから、王子駅まで都電に乗って帰りましょうね。それから、これで、もう前世の話はやめましょうね!。」
裕輔:「でも、ぼくが承継した自宅と駐車場がなくなったなんて、ニート生活の自業自得とはいえ、寂しい限りだな・・・・。ご先祖様が守り抜いた土地を失って申し訳ないよ。そして、ぼくは一人っ子だったから、ぼくの家は断絶したんだっけな・・・・生涯童貞だったしね。でも、そうとなったら、今度は青梅市の老人ホームに行きたいよ。『キワーノ施設長』、元気にしているかな。」
梢:「そんなこと言わないでよ!。いいかげん、怒りますよ!、青梅になんて、今からじゃいけないわ!、早くおうちに帰りましょう!」
裕輔:「帰りたくないよ!。だって、ぼくは恋愛経験ゼロの高齢童貞で死んだから、生まれ変わっても一生童貞だと思うんだ。」
梢:「もう、そんなこと言わないで!。あなたは私の子供なのですからね!」
裕輔:「うん。わかったよ・・・・」
裕輔:「でも、ぼくは、この人生でも、女子校の通学路に全裸で出没したいんだよ。」
梢:「えっ!? また全裸で女子校の通学路に?、いいかげんにしないと、怒りますよ!」
裕輔:「でもね。お母さん。女子校生は最高なんだ! ぼくは女子校生のパンチラが拝めるだけで幸せだよ。」
梢:「そんなの絶対にだめです!」
裕輔:「うーん・・・・。でも、女子校生たちは、ぼくの大事な宝物なんだ。」
梢:「もう・・・・。仕方が無い。じゃあ、お母さんも裕輔と一緒に通学路に行きます。」
裕輔:「やったぁ!! お母さん、大好きだよ!。」
梢:「お母さんも裕輔を大切に思っていますよ。だから、変なことはもう言わないでね。」
裕輔:「でも、お母さんは処女でも女子校生でもないよね?」
梢:「えっ? まあ、そうだけど・・・・。」
裕輔:「じゃあ、なんで ぼくと一緒に通学路へ行くの?」
梢:「だって、裕輔のお母さんですからね。」
裕輔:「うーん・・・・。でも、ぼくは未成年の処女しか受け入れられないよ。」
梢:「そんなこと、4歳の子供が言う話じゃありません!。あなたは私の息子ですからね!」
裕輔:「えーっ!? ぼくは女子校生と仲良くしたいだけなのに・・・・。」
梢:「とにかく、もう、この話は終わりです!!。」
裕輔:「でも、ぼくは女子校生と一緒に暮らしたいんだ!。」
梢:「そんな話ばかりしていると、将来は全寮制の男子校に強制的に入学させますよ!いいですね?!」
裕輔:「うーん・・・・。わかったよ。」
裕輔:「でも、ぼくは未成年の処女と暮らせるなら、全寮制でも構わないけどね。」
梢:「それはダメ!」
裕輔:「うーん・・・・。でも、ぼくの前世は、恋愛経験ゼロだったから、女性の扱い方に自信がもてないよ。男子校に行くなら尚更だよ・・・・。」
梢:「あなたは、私の大切な息子ですから、女の子の気持ちを大事にしてあげてください。それに、そんなことは4歳児が心配することじゃありません!」
裕輔:「うん・・・・。でも、ぼくは女子校生に甘えたり、抱っこしたり、膝枕されたりしたいなぁ・・・・。」
梢:「もう・・・・。人間として仕方がない子だわ・・・・。」
裕輔:「ぼくは女子校生と付き合いたいよ。」
梢:「はいはい、わかりました。でも、4歳で女子校生と付き合うなんて無理だからね。」
裕輔:「うーん・・・・。でも、ぼくは前世で69歳まで生きた記憶があるから、その分の知識はあるよ。」
梢:「ストレスがなさそうな生き方の割には、わりかし短命だったのね!?」
裕輔:「うん。ぼくは『成人病のパビリオン』と呼ばれていたからね。でも、ぼくが死の床についても、女性は誰一人として相手をしてくれなかった。老人ホームでも鼻つまみ者だったな・・・・。」
梢:「そうでしょうね!。」
裕輔:「だから、ぼくは、せっかく若く生まれ変わったんだから、この人生では、成人したらすぐ結婚したいんだよ。」
梢:「えっ!?、全裸に腰蓑の男になるなら無理じゃない?」
裕輔:「もちろん、相手は処女の未成年女性に限定だよ。」
梢:(理由は分からないけど、とんでもない前世をもった子供を授かってしまったようね・・・、どうにかして、前世の悪い記憶を消す方法はないのかしら・・・)
裕輔:「ぼくは、前世では、女子校生たちから石を投げつけられていたから、今度は女子校生たちに優しくするんだ。」
梢:「はいはい・・・。そうですね・・・」
裕輔:「でも、ぼくは未成年の処女が好きだから、女子校生とは交際したいんだよね。」
梢:「はい・・・、そうですね・・・。」
裕輔:「うーん・・・。でも、ぼくは未成年の処女と結婚したいから、全寮制の男子校に通うわけにはいかないんだよな・・・」
梢:「そうですね・・・。でも、必ず男子校に行かせます!」
大室梢が、裕輔と都電に乗っていると、前世を見ることができるという法力僧が住職を務めている『包茎寺(ほうけいじ)』の看板が目に入った。
看板:〔 あ な た の 前 世 が わ か り ま す 。 包 茎 寺 〕
梢:(もしかしたら、この寺に行って相談すれば、この子の前世の記憶を消してくれるかも知れない!、さっそく行ってみよう!)
梢:「ねえ!、裕輔!。途中下車して、お寺を参拝していきましょうよ!」
大室梢は、息子の裕輔とともに、都電を降りて、包茎寺の門をくぐった。
寺務所では、年齢70歳代と思われる小柄で威厳をまとった老人が出迎えてくれた。
梢:「突然に訪れてしまい申し訳ございません。私は、裕輔の母の大室梢といいますが……。息子の裕輔の前世の記憶のことで相談したくて・・・。」
僧侶:「おお、これはこれは、お悩みがあるようですな。私は、この包茎寺の住職をしている珍包大師(ちんぽうだいし)と申します。」
梢:「はい。どうしていいのか分からずに、このお寺に飛び込んでしまいました。私は、大変に悩んでおります。実は、うちの裕輔の前世が異常すぎる変質者だったようで、その記憶が蘇ってしまい、現世では女子校生と交際したいと言い出しまして・・・。」
珍包大師:「ほぉー、4歳児が、そんなことを・・・。確かに、大変な状況ですね。それでは、降三世明王様の御仏力を借りて、息子さんの前世を見て参りましょう!」
珍包大師:「オン・ニソムバ・バサラウンパッタ・・・!!!」
必死に、お経を詠唱すると、裕輔の頭上に光が現れ始めた。そして、光が消えると、そこには前世の風景が映し出されていた。
珍包大師:「ふむふむ? ええと・・・。なになに? サモア人のような色黒の巨漢中年が、全裸に腰蓑姿で通学路に仁王立ちしている・・・。そして、警察に職務質問されて、女子校生から石を投げられている・・・。そして、その男の自宅の半分は裏ビデオの山になっている・・・。」
梢:「やはり、裕輔が話していた前世の記憶は事実なんですか・・・なんで、こんな変態男が、私のところへ生まれてきたんでしょう・・・」
珍包大師:「ビックリしないでください。裕輔くんの前世の映像を見てみましたが、実は、私は、この前世時代の男を知っている。私の同級生の『パイナップル番長』と呼ばれていた中年童貞の変質者です。本名は『岩丼 泰好(いわどん やすよし)』と言います。たしか、5年前に青梅市内の老人ホームで自慰行為による心臓発作で亡くなったという話を聞きましたが。まさか、あなたの息子として転生していたとは!!」
珍包大師:「うーむ・・・。そうか!!、解ったぞ!、もしかして、あなたの旧姓は小木(おぎ)ではありませんか?、パイナップル番長は、還暦を目前とする年齢なのに、『小木 梢(おぎ こずえ)』という女子高生に恋をしていましたからね。パイナップル番長は、ストーカーのような精神で、あなたの元に、息子として生まれ変わってきたのでしょう。」
梢:「そんな・・・。あの腰蓑全裸の変態巨漢が裕輔の前世だったとは・・・。たしかに、私が女子校に通っていた頃には何度も目撃したことがありました。その『パイナップル番長』という変人に・・・。それと、確かに、私の旧姓は『小木』です・・・。」
珍包大師:「そうですか。やはり、あなたが小木梢さんですか。なるほど・・・。パイナップル番長とは、『厄災クラスの中年童貞』です。そして、おおぜいの人々に無意識で迷惑をかける『やっかいなタイプの人間』です。あなたも子供がパイナップル番長の生まれ変わりでは、気が気でないでしょう。この寺の本尊である大珍宝勃起天(だいちんぽうぼっきてん)様に加持祈祷すれば、お子さんの前世の記憶を消失させられるかもしれません。大珍宝勃起天様は、輪廻転生を司る御仏ですので、効果は絶大でしょう。」
梢:「えっ、本当!?、この子の前世の記憶を消せるのですか?!、ぜひお願いします。裕輔の前世がパイナップル番長だと思うと、それだけで息子を愛せなくなりそうで怖いんです。どうか、どうか、加持祈祷をお願い申し上げます!。」
裕輔:「待って!!、お母さん、嫌だよ。ぼくはパイナップル番長なんだ!。記憶を消したくないよ!。お母さん。梢ちゃん。アイラブユー!!!。助けてよ!」
梢:「もう・・・。わがまま言って仕方のない子ね。過去生の記憶なんてもっていても意味がないのよ。4歳なのに女子校生と付き合いたいとか言い出すし・・・。」
珍包大師:「そうだよ。裕輔くん。お母さんの言うとおりだぞ!。それから、過去生のパイナップル番長の記憶よ!、お前はどうして、死んだ後まで女性に迷惑をかけるんだ。同級生として恥ずかしいぞ!」
梢:「ねえ、裕輔。あなたは、前世でどんなことがあっても、この世では私の息子なの。だから、余計な過去生の記憶は消さなければいけません。いいですね!」
裕輔:「でも、ぼくは全裸に腰蓑姿で女子校生と付き合いたいよ。」
梢:(もう・・・。なんで変質者の生まれ変わりを身ごもってしまったんだろう・・・。しかも、前世の記憶が異常すぎる・・・)
珍包大師:「どうしましたか?」
梢:「あの・・・、その・・・・、ええと・・・」
珍包大師:「こらー!!、パイナップル番長の記憶よ!、大室さんが異様な状況に困っているじゃないか!!、今すぐ消滅しろ!!」
珍包大師:「大室さん?、裕輔くんの同意を待っていても不快になるだけのようですよ。一刻も早く加持祈祷をして、今すぐに、裕輔くんに宿るパイナップル番長時代の記憶を消しましょう!」
梢:「そうしてください。母親の私からお願いします。どうか今すぐに前世パイナップル番長の記憶を消して下さい。」
珍包大師:「承知しました!。始めましょう!、もう迷惑をかけるなよ、パイナップル番長よ!、いくぞ!、六根清浄急急如律令!!」
珍包大師は、金色の法具を手に取り、全身全霊をこめて、再びお経を詠唱し始めた。
珍包大師:「願わくば、元柱固具、八隅八気、五陽五神、陽動二衝厳神、害気を攘払し、四柱神を鎮護し、五神開衢、悪鬼を逐い、奇動霊光四隅に衝徹し、元柱固具、安鎮を得んことを、慎みて本尊大珍宝勃起天に願い奉る!!!」
裕輔:「助けて!お母さん!。梢ちゃん。アイラブユー!! 梢ちゃんと一緒に暮らしたいよ!だから記憶を消さないで!」
梢:「もう・・・。そんなこと言わないで!。あなたは私の大切な息子ですからね!、珍包大師様、早く前世の記憶を消して下さい!お願いします!」
珍包大師:「わかりました!。臨兵闘者皆陣列在前!!!、大室裕輔の前世の記憶を消したまえ!、唵、諸仏集来!、集万加護!、南無本尊大珍宝勃起天!、南無本尊大珍宝勃起天!、南無本尊大珍宝勃起天!・・・パイナップル番長の記憶を消滅せしめたまえ!」
裕輔:「うぎゃーー!!!、頭が割れるように痛い!!!、お助けぇーー!!!!」
珍包大師:「臨兵闘者皆陣列在前!!!、オン・マラボッキ・ソワカ!、オン・マラボッキ・ソワカ!、オン・マラボッキ・ソワカ!、・・大珍宝勃起天とその眷属神及び使徒よ、我が本堂に来集したまえ!!!」
裕輔:「うーーーっ!!!、苦しーーーーっ!!!!」
裕輔は、頭をおさえて苦しみ出した。
珍包大師:「万仏招来ぃい!!!。天星守護ぉお!!、秘術開眼!!!、いざ!、青龍!白虎!朱雀!玄武!勾陳!帝台!南斗!北斗!玉女!!!、悪星退散!、福星皆来!!、南無本尊大珍宝勃起天!、南無本尊大珍宝勃起天!、南無本尊大珍宝勃起天!・・・その御力をもって、大室裕輔の前世の記憶を消したまえぇぇぇぇ!!!!!」
その途端、裕輔は、「うぎゃーー!!!」と叫んだ後、眠るように気絶してしまった。
ようやく、静かな時間が訪れた。
珍包大師:「大室さん、これで大丈夫でしょう。目が覚めれば、裕輔くんは普通の4歳児になっているはずです。」
梢:「ありがとうございました。本当に本当に、ありがとうございました(感涙)」
裕輔が目をさますと、そこは自宅の寝室であった。
裕輔:「あれっ!? ぼくは何をしていたんだっけ!?」
梢:「あら、やっと起きたのね。もう、心配したわよ!」
裕輔:「あっ!? そうだ。ぼくは幼稚園に行かなくちゃ。スミレ組の桃香(ももか)ちゃんが待っているからね!」
梢:「ああ、普通の4歳児に戻ったみたいね。良かったわ。」
次の日、幼稚園から裕輔が工作を持ち帰ってきた。新聞紙で作った腰蓑だった。
裕輔:「おかあさん。ぼくが作ったんだよ。腰蓑だよ。似合うでしょ。」
梢:「ひぇ!?、似合っているけど・・・(汗)。南の島に関することはやめましょうね・・・(汗)。」
裕輔:「えっ!? じゃあ、何ならいいの?」
梢:「そうねぇ・・・。戦隊ヒーローの変身ベルトなんてどうかしら?」
裕輔:「ええっ!? ぼくは腰蓑のほうが好きなのに。」
梢:「だめよ。子供が、南の島に関することや、女子高生のお姉さんの話をすると、『パイナップル番長』という怖いオバケがさらいにくるのよ。」
裕輔:「ええっ!? そうなの!? わかったよ。ぼくはパイナップル番長にさらわれたくないからね。」
梢:「うん。そうそう。それでいいのよ。裕輔は私とお父さんの子供なんだから、ちゃんと仕事に就いて、結婚もできるわよ。大丈夫よ!!。」
裕輔:「うーん・・・。でも、ぼくは、やりたい仕事がないんだよね・・・」
梢:「大丈夫よ!。きっとやりたい仕事が見つかるから!」
裕輔:「うーん・・・。そうだね。ぼく、女の子だけの学校の先生ならやってみようかな。」
(数日後)
珍包大師(電話):「大室さん、その後、ご子息の様子はいかがかな?、記憶は消えても、前世の趣向は現世に影響されることが多いから、真っ直ぐに育つよう教育しなければいかんよ。」
梢(電話):「はい。わかっております。」
珍包大師(電話):「それと、大室さんも、パイナップル番長の存在は忘れて、お子さんに接しなければならないぞ。」
梢(電話):「えっ、どうしてでしょうか? 」
珍包大師(電話):「あの『パイナップル番長』は5年前に消滅したんじゃ。もう過去の存在じゃ。あなたのご子息は、パイナップル番長ではないのじゃ。これから、裕輔くんとしての素晴らしい人生がまっているからね!」
梢:「ありがとうございます。大変かもしれませんが、息子の可能性を信じて、頑張って育てて参ります!」
珍包大師:「あなたなら大丈夫じゃ。では、また何かあったら連絡してください。」
珍包大師と梢の会話後、大室家のリビングには、裕輔と梢の姿があった。
裕輔:「お母さん、お腹空いたよ。ご飯まだぁ~。」
梢:「はい。ちょっと待ってね。今、作るからね。」
裕輔:「ぼくは、お母さんの料理はなんでも大好きだよ!」
梢:「ふふふ。ありがとう。今日は手抜きでチャーハンとサラダとスープよ。」
裕輔:「やったー!!。ぼくはお母さんのチャーハンが大好きだよ!。」
梢:「はいはい・・・。じゃあ、作り始めるわよ。」
梢:(あらまあ、あの変態パイナップル番長の記憶を消してからというもの、本当に素直で良い子に育ってくれているわ!。あのパイナップル番長の記憶を持ったままの時は、この子の将来が不安で仕方がなかったけれど・・・。今は、息子の将来が楽しみでしょうがないわ!。)
こうして、自分の息子の前世がパイナップル番長だったという厄災を受けた家族は救われましたとさ。
***** お し ま い *****
この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。また、性的嗜好や差別(性別や外見等の一切)を助長させる目的で書かれたものではありません。
(注:この文章を読んでいるあなたの世界にも、あなたにしか見えないパイナップル番長が存在し、また、どこの世界にも必ずパイナップル番長は存在するのです。)