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【書評】手間がかかるので私は導入したくない「探求型読書術」

編集工学研究所 著「探求型読書」

今回読んだ本の情報はこんな感じです。

・初版:2020年 8月 11日
・発行:株式会社クロスメディア・パブリッシング
・発売:株式会社インプレス

株式会社インプレスって、Web担当者Forumの運営会社ですよね。本の発売をしていたとは知りませんでした。

【総評】全体として営業感が強かった

全体を通して私が感じたのは「営業色が強いな」ということ。
第1章冒頭でも書かれていますが、この本のメインは第2章で、他は営業用コンテンツという感じです。

特に、章末特典?として添付されている「探求型読書ノート」のPDF版にはご丁寧に「Quest Link」という模擬セッションへの誘導があります。
まあ、さすがというか CTA までしっかりありますね。

また、第5章の対談に関しては、正直なところ読書術が学びたくて買った人には「いま読みたい内容ではない」という感じです。

それでも、役に立つところはいくつかありました。

読書とは「読前・読中・読後」の3ステップで構成される

探求型読書では、「読書をする」ということを「読前・読中・読後」という3ステップに分けて解釈しています。

探求型読書は、本屋さんで気になった本を手に取り、パラパラめくるところから「読書」であるとしています。
これが「読前」にあたります(読前ってふつうにうっても変換されなくて煩わしい)。

本書では、この「読前」がもっとも重要であるとしています。
ここで見るべきポイントは本の表紙や帯、カバーの中、表裏に記載されている要約、そして目次。
これらを見つつ、この本がどんな内容なのか仮説をたて、想像を膨らませていきます。

私も、この部分が結構重要かなと感じましたし、その実践の方法は「なるほど~」と思いましたね。
この方法を知っていれば、この本は買わなかったと思いますが(笑)

つまり、私にとって必要な本だったということ。

あとの読中・読後に関しては一般的な部分とユニークな部分が半々くらい。

例えば、本の中で重要である「キーワード」をピックアップする。それと関連性があると思われる「ホットワード」、そして「キーワード」と「ホットワード」から新たに自分で導き出す「ニューワード」を書き出す。
上記のワードたちをセットにすることで、本の中でのテーマや知識から、より幅広く創造できる、と書かれています。

面白いと思ったところもあるけれど、日常の中で、全部やろうと思うと手間が多すぎて、気が滅入るので私はしません。
時間がある人は実践してみても良いかと思います。

本の選び方に関するフレームワーク「知のレイヤー」と「本のタイプ」

もう一つ、私がこの本から学んだことは、本の選び方に関するフレームワークです。

本の選び方は、二つの指標によって選びます。
ひとつは知のレイヤーです。
これから学んでいく内容によって「世界知」「共同知」「個別知」のいずれかに分類します。

「世界知」:自然科学や資本主義など、人類の営みに関わるテーマの本
「共同知」:家族、組織、業界といった社会的なテーマを扱う本
「個別知」:個人的な事柄をテーマとする本

もうひとつは、本のタイプです。
大きく分けると「話題の本」「古典」「異色の本」です。

ご自身のテーマとは「ちょっと関係ないかな」と思える感じの、テーマとは少し距離がありそうな本もラインアップに加えてみることをおすすめします。そのような「異色の本」はもしかしたら、テーマに関する予想外の気づきをもたらしてくれるかもしれません。

上記、2種類の指標をもとに本を選んでいきます。
自分のテーマが、まずどの「知のレイヤー」に属するのかを考えて、そこから各本のタイプに属する本を3冊づつ選ぶ。
そして、自身のテーマを別の「知のレイヤー」にも当てはめてみて、それぞれまた3冊、計9冊を選べば、テーマの答えを見つけられるはず、ということですね。

まとめ

ということで、タイトルは結構けんか腰な感じで、クリック数を稼ぎに行っていますが、内容としては面白い、役に立つ部分は十分にありました。

今後の読書にぜひ利用させていただきたいと思いました。

ただし、一つ感じたことは、やはり「営業色」と「ノートの手間」です。
特に、「ノート作成の手間」は習慣化を妨げます。

私はIT系の企業に努める普通の会社員ですが、新しい仕組みやツールの導入はとても困難だと日々感じて過ごしています。
チームと個人では習慣化までの障害物の質は違いますが、「手間」というのは共通の問題です。

おそらく、「読書術」関連の本を買う方は、いままで習慣にできなかったとか、あるいは、知識量がもっと欲しいと考えている人です。
個人的には、もうすこし簡単にうまくいかないものかと駄々をこねたくなる内容ではありました。

以上です。この内容が、皆様のお役に立てば幸いです。

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