凛とした「知」があるか
美術史を専攻されている石川千佳子先生が退官される。FD研修会で、これまでの講義の歩み等をお聴きした。
すでに退官された竹井茂美先生もそうだったが、石川先生は、教養人であることを体現している人だと思う。真理に真摯に向き合ってきた、懐の深さのようなものが、お話される「知」ににじみ出る。学生に話る自分が軽く感じられてしまうのである。石川先生は、私が教務委員だったときの教務長であり、数々の問題に凛として向き合ってきた姿を見てきたので、なおさらそう感じるのかもしれない。
「美とは何か」という深遠なモチーフ、「鑑賞するとはどういうことか」というテーマに、何度も何度も問い直しながら考え抜く。一つ一つをていねいに手を抜かずに、考える。そうして内面を磨いてきた、豊かな生き方を伝えていただいた。日常の何気ない風景の見方が変わる。そんな講義だった。