どうしてもやる気が出ないとき、どうしていますか?
10月2日付の宮崎日日新聞に掲載された「げん先生の悩む前に尋ねてみよう」に提出した原稿である。中学校2年生の生徒の質問に応えたものである。
私ですか?!
いろいろ工夫したのですね。
寝るか、身体を動かすか。どちらも、やらなくてはならないことをいったん忘れようとする作業をしています。忘れるということは、大切なところだけを残し、余白をつくるということです。頭がいっぱいいっぱいのときは、もがいてしまって、前へ進まないからです。努力するという足し算ではなく、整えるという引き算をします。
でも、尋ねたいことは、どうしてもやらなくてはならないのにやる気が出ないときにどうするか、ですね。やらなければならないことをやりたいことにも変えられない。しかも、断念することも、締め切りをのばすこともできない。
やめようとしてもあきらめきれない自分を自覚することです。やる気が出ない自分ではなくて、思い切れないもう一人の自分を励ますしかありません。反省に反省を重ねるのではなく、「がんばった。ありがとう」と自分に言い聞かせながら、あがいて、もがいて、唇をかみしめ、覚悟するしかありません。スマートにできる方法はないのです。
ところで、やらなければならないことが、なぜぎりぎりまで残ってしまうのでしょうか。やる気が出なくなる前に、やらなければならないことを片付けられないのは、なぜでしょうか。
わたしたちは、重要だけど時間がかかることより、あまり重要ではなくてすぐにできることを優先しがちです。少しずつ取り組まないと達成できないことを後回しにしてしまいます。しかも、そうした見通しがなく意志が弱い自分を好きにはなれません。
まずは、人間にはよくあることだと気づくこと。そして、自分の弱さをいつくしむこと。重要なことであればあるほど、困ってしまう前に「ねえ、助けて」「お願い、手伝って」と誰かにヘルプを求め、自分独りで何とかするのではなく、人に支えてもらうことを後回しにしないことが大切だと思います。