やる気を出すには、どうすればいいか
日々読書‐教育実践に深く測りあえるために
宮口幸治『どうしても頑張れない人たち ケーキの切れない非行少年たち2』新潮社、2021年。
やる気を出すには、自分のなかに理由を探すのではなく、「誰かのために頑張る」ことがきっかけとなります。自分の欲望ではなく、人の幸せのために頑張ることが自分の幸せになっている、そうした人がいることが、やる気スイッチになることがあります。まだ出会っていないくてもいい。人が頑張れるのは、幸せにしたい他者がいるからです。
宮口幸治さんは、頑張っても頑張れないので、どうしても怠けてしまっているように見える子どもたちに向き合ってきました。友だちと同じようにできるようになりたい。頑張らないといけないことはわかっている。でも、できない、頑張れない。こんな自分のことを理解してほしい。
宮内幸治さんは、そうした子どもたちには、生きづらく困っているときに支えてくれる、安心の拠点となる人と、チャレンジしたいときに見守ってくれる、寄り添って一緒に取り組んでくれる伴走者と、二人の支援者が必要だと指摘します。
自分自身に見通しを持たせ、目的や使命感を共有し、行動の背景を考えて見捨てずに付き合ってくる。そうした支援者になりそうな人と、きちんと挨拶をすること、相手を固有名詞で呼ぶこと、お礼や謝罪をていねいにすること、まなざしを共有することが、やる気を出すための一歩を踏み出すことになります。こうしたコミュケーションの作法を、頑張らなくても使えるように練習することが、自分でできる始まりだというのです。