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教員の無読者0(ゼロ)を目指す図書館
【図書紹介】高見京子・稲井達也『「探究」の学びを推進する高校授業改革 学校図書を活用して「深い学び」を実現する』学事出版、2019年。
本書では、小学校や中学校で実践されている辞典を引き、付箋を貼る学習には達成感があるという。言葉は文脈の中で使ってこそ定着する。高校学校で扱う評論はポスト・モダンの現代思想を扱っていて、難解だ。本書で提案されているのは、授業で読んでいる教材から新たな言葉集めをするというものであった。調べた言葉を1枚のカードに1語だけ大きく書き、その言葉が使われている文章を書き写し、辞書で意味を調べるという。
私は、調べる言葉が何かが重要に思えた。「身体」「経験」など、辞書に収まらない使われ方や意味があるのではないか。文章を書き写した後、意味を解説したり、要約したりする作業が必要に思えた。
おもしろいと感じたのは、岡山県倉敷商業高校の実践である。昼休み、放課後は生徒があふれ、いつも活気のある学校図書館には、先生も入れ替わり立ち代わり図書館に顔を出すという。「教員の無読者0(ゼロ)」を目指す目標が学校で共有されている。教師が変われば子どもが変わる。子どもが本を読むかどうかは、まわりの大人が本を読んでいるかどうかなのである。おとなは、本を読んでいる姿を子どもたちに見せているかが問われている。