見出し画像

「たったひとり」になったことはない

日々読書‐教育実践に深く測りあえるために

原田真知子「同僚と共にみつけた『同僚性』」『教育』2021年10月号、国土社、40‐45頁。

 妻は小学校の教員です。

 毎日、学校であったことを私に話します。でも、私は、妻と一緒になったころは、じっくりと聴いていることができなくて、あれこれと妻にアドバイスをしがちでした。今も、そういうときがときどきあります。

 妻が同僚とうまくいかず滅入っていたときも、いくらアドバイスをしても妻は日増しにやつれていったこともあります。どうしようもなくなって、ふたりで県外まで講演を聴きに行ったこともあります。講演会を主催した先生方が、講演後に講師との飲み会をセッティングしてくれました。講師の先生は、妻の話をていねいに聴いて一言、「傷ついたんだね」と包んでくれました。私と妻は思わず、顔を見合わせました。私はなんだか目の前がひらけたように思えるとともに、自分に足りなかったことを教えてもらったことを覚えています。

 助けてくれる同僚は必ずいるし、あなたも助ける同僚になれるはずだ、と原田さんは語りかけてきます。

 いつも話を聴いてもらえる。自分のクラスの話も語ってくれる。いっしょに悩み、いっしょに「どうしていいか」を考える。子どもの言動の理由がわからないから、子どもたちに働きかけながら、みんなで語り合いながら、わかろうと努める。

 本当に「たったひとり」になったことはない。原田さんの断言は、子どもと向き合う教師に希望を与えてくれます。

いいなと思ったら応援しよう!