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日々読書‐教育実践に深く測りあえるために

相馬享『「学ぶ力」の鍛え方』東洋館出版、2023年。

 教師の働き方で変えるべきなのは、「自分のしてあげたいことが子どもたちのためになる」という思い込みである。教師の本位の思い込みで、子どもに不用意に近づいたり、一人勝手に頭のなかであれこれ思いを巡らせたりするのはやめたほうがよい。そうではなくて、子どものほうから、「わからないから、ここ教えて」とか、「ここで悩んでいるですけど…」「どうしたらいいかな、先生」と言ってもらえるようにするほうがずっといいと、本書は指摘する。

 あるいは、教師のお膳立てが完璧であるほど、子どもたちは自分発の力で学ぶことができなくなってしまう。子どもたちがパフォーマンスを発揮できるようにすればどうすればいいかを考える。これからは、「教師ががんばる授業」ではなく、「子どもががんばる授業」にしていくことである。

 ふだんの授業を観合うことも、授業改善のためというより、自分の弱さを知ってもらうことが大切であると本書は言う。自分の弱さを知ってもらえれば、いろいろなアドバイスをもらうようになるし、なにかうまくいかないことがったとしても助けてもらいやすくなるからだ。

 本書の提案は、「ゼロ秒思考」を教育活動にアレンジしたものだ。
・毎朝、朝の会に行う。
・A4の紙を3枚配る。
・なんでもよいのでテーマを書く。
・時間は3分。
・自分の書いたテーマに即して、自分の頭に浮かんだことを片っ端から書く。
・一文は、30~40字程度とする。
・子どもたちの書いた内容を教師は見ないと約束する。
・書いた紙はその場で破り捨ててしまってもよいし、家に持ち帰ってもよいことにする。
 「書くこと」自体を純粋に目的にしたトレーニングである。先生に認めてもらう「いいこと」ではなく、書くことに対する「思いこみ」や「不安感」に子どもたちが囚われないようにするものなのである。子どもがちゅうちょなく書けるようになると、教師はいくらでも褒めることができるという。

 本書には、できなさをさらけ出し合う関係性があふれている。

 

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