後継者問題とM&A
一昨日、初めてnoteを書いてから、何人の方からスキのリアクションをいただき嬉しかったです。
僕の記事を読んでいただき、反応をもらえるのは、やっぱりすごく嬉しいですし、励みになることですね。
これからも皆さまから、『興味深い』、『学びになる』など感じていただけるような記事を発信していければと思います。
ぜひ、よろしくお願いします。
日本の後継者問題
さて、今日のnoteで取り上げる内容は、今、現実に日本で起こっている『後継者問題』についてです。
後継者問題。皆さんの中にも、この問題を聞いたことがある方もいるのではないでしょうか。
今、全国にある会社の数は、だいたい360万社あると言われています。
この360万社のうち、2/3にあたる約245万社の経営者が2025年で70歳をむかえ、さらに1/3の約127万社で後継ぎがいない、という問題が顕在化しています。
後継ぎがいないということは、会社の存続に関わる問題ですよね。
もし、この127万社が全部会社を閉じてしまったら、実に、日本のGDP22兆円、そこで働く従業員650万人の雇用が失われる、という統計も出ています。
この問題が日経新聞でリリースされたのが、2017年10月6日。
あれから、政府も事業承継税制を改革したり、引き継ぎ先が買いやすいようなM&Aの制度を導入したり、官民あげてさまざまな取り組みがなされ、少しでもこの問題が落ち着くような取り組みが行われています。
しかし、まったく実は追いついていないというのが現状です。
日本は少子高齢化の影響で、どんどん人口は高齢化していますが、子どもの出生率は年々下がってきており、若い世代の人口が少ない現代の日本において、今ある企業を誰に引き継がせるか?という問題は、依然として解決していないんです。
事業承継の4つの選択肢
そもそも、事業承継するには、4つの選択肢しかないと言われています。
①親族への承継
②従業員・役員への承継
③新規上場(IPO)
④第三者への承継(M&A)
ひと昔前は、親の作った会社を息子が継ぐという世襲制が一般的であり、親が事業をやっていた息子が後を継ぐというのは、かなり多かったです。
しかし、今では時代も変わり、先行き不安定な現代にあっては、むしろ安定した大手企業に勤めたほうが幸せという子どもの心境の変化や、業界が先細りになるなら、子どもに継がせるよりも株式を現金化して相続したほうが子供のためになるのではないかという親心の変化などもあって、必ずしも、親族への承継ばかりではなくなってきた、というのが現状です。
また、従業員や役員が会社を引き継ぐ場合も、代表者が背負ってきた金融機関からの借入金の連帯保証まで引き継ぎたくないという考えや、そもそも会社の代表という責任に耐えられないという人も多く、よく会社のことを分かっているからといって、従業員・役員が代表に上り詰めるという事例も多くありません。
それならば、残された事業承継の選択肢は自ずとM&Aという第三者への承継が最も現実的で、この選択肢を採る代表者は年々増えてきています。
新規上場できる会社がほんの僅かである現実を考えれば、事業承継の選択肢はあまり多くないのです。
M&Aの闇と光
しかし、M&Aにも問題はあります。
M&Aというのは会社の売買であり、一般的には売買できる取引では非常に高額になります。動く金額も、数千万~数億という規模になります。このうち、M&A業者はだいたい5%程度の手数料をもらうことが多いのですが、取引金額が多くなればなるほど、手数料も多くなります。
さらに、このM&Aを手掛けた担当者には、10%~40%くらいの多額のインセンティブが入る場合があり、これが無理なM&Aを強引に進めたり、最悪な場合は、詐欺という犯罪行為に発展する事例も散見されています。
人間のやる取引行為ですから、倫理観やモラルが低い人間がM&Aにかかわると、目の前の「お金」というインセンティブに目がくらんでしまうわけです。
不動産の場合は、きちんとした免許制になっており、売買金額の3%という分かりやすい仕組みがありますが、M&Aの業界には免許制もなければ、分かりやすい制度・ルールもほとんどないのです。
そこで、悪質な業者も中にはいるというのが、M&A業界の闇、課題となっています。
でも、この記事をご覧になっていただいている方には誤解してほしくありません。
「M&Aってこわい」、「だまされそう」、そんなイメージは持ってほしくありません。
実際に「M&Aで人生が変わった」、「M&Aで救われた」。こんなお声をいただいた方も本当にたくさんいます。
僕が手掛けたクライアントさんで印象に残っているのは、脳梗塞をわずらい、半身まひな状態になり、信頼していた営業責任者の方にも裏切られ、新進ボロボロになりながらも、会社で働く従業員や取引先に迷惑をかけまいと、最後まで難しい交渉や決断を重ね、最終的には会社を心から信頼できるパートナーにM&Aで引き継いでもらい、調印式では涙を流しながら手を握って喜んでいただいた思い出です。
そのときの社長の興奮した様子と手のぬくもりは忘れられません。これは、僕がM&Aアドバイザーとして活動していたころの出来事ですが、今でも、M&Aは経営者の人生や想いを賭けた決断をお手伝いできる素晴らしい仕事だと思います。
それに、買い手側の立場から見ても、企業の成長戦略には、M&Aは非常に有効です。
「M&Aは時間を買う」と言われるように、ゼロから新しい事業を作るよりも、すでに出来上がっている事業を買うほうが、圧倒的にスピード感があります。
事業成長に有効であれば、そこで働く従業員の給料も上がる可能性もあります。
このように、M&Aという経営戦略は、売り手の事業承継という視点からも、買い手の企業成長という視点からも、非常に有効なのがお分かりいただけたのではないかと思います。
それをお手伝いするM&Aコンサルタントやアドバイザーの倫理観、モラル、経験値、実力・実績。
素晴らしいM&Aアドバイザーも多数いますので、これからM&Aを検討される売り手側、買い手側の担当者は、このようなM&A業界の課題も頭の片隅に入れつつ、取引を進められると良いのではないかと思います。
もちろんこの記事をご覧いただいている方の中に、何かM&Aでお困りごとをお持ちの方がいれば、なんでも僕にご相談になってくださいね。
今日も最後までご覧いただいて、本当にありがとうございました。
それでは、また!