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イシュー 無能な働き者は・・・
イシュー解くべき課題の設定
恥ずかしながら「イシュー」という言葉を知りませんでした。この考え方を知ってから、問題解決の質が変わったので書き残しておきたいと思います。
イシューは「解くべき課題の設定」です。「何を課題とする」のか、が非常に重要だと言われます。「課題の設定」がない、または「課題の設定」を間違うと間違った答えが出ます。
優秀でロジカルに仕事が出来る決定力のある人が失敗するパターンは、取り組む課題を見誤ることで、全く無駄な結果を出してしまいます。
自分は福祉分野を生業にしていますが、実際にあったイシューの設定について書いてみます。
ケース① 忘れ物が多い現場
入所、退所の時に荷物の忘れ物が多く、ご家族、ご利用者からのクレームが絶えませんでした。
そこでいつも謝罪対応していた職員から「現場の職員は簡単に考えすぎている。意識が低い」と課題にあげていました。
対応策として、忘れ物に関与した職員が直接ご家族に謝罪する様にして、ことの重大さを自覚して貰うというものでした。
現場の状況を確認した所「お荷物の管理方法の属人化」に課題を感じました。荷物の管理方法が経験に頼る部分が多く、ベテラン職員は出来るが、比較的新しい職員にとっては、ミスをし易い環境でした。
確認方法の見直し、チェックリストの改善、誰がいつ確認するのかを明らかにし、マニュアルを作成しました。
それからは、忘れ物が激減する結果となりました。「対応する職員の意識の低下」が原因ではなく、「荷物の管理方法の属人化」が問題であったケースでした。
ケース② 成績不振の入所施設
成績不振の入所施設があって、対応に苦慮していました。「その管理者の営業力がない」と指摘されていました。それから数人の管理者の変更がありましたが、結果的に黒字にはなりませんでした。
状況を調査すると、その施設で入居はコンスタントに入るのですが、退去者が多く、経営が安定していませんでした。退去に至る大きな原因として「職員の対応力不足」が問題ではないかとイシューの変更をしました。
結果、適材適所に3名の職員を入れ、1名の職員を違う部署に異動させた所、半年で満床となりました。
ケース③ 介護事故
ある部署で介護事故が多く問題の部署がありました。その部署のリーダーに理由を聞くと「スキルが足りていないのが問題なので、今から1人1人教えていきます」と答えました。
実際に確認してみると、細かい決め事が多く、またその決め事が出来る様になるまで、かなり時間がかかる様なやり方をしていました。
「スキルがなくても、誰もが対応出来る仕組みを作れていないことが問題」だと感じました。
作業の難易度を下げることで、スキルが無くても出来る様に業務の改善を行いました。
ケース④ 妻のイライラ
私の妻のイライラがピークに達しており、今後こんな人とはやっていけないと思っていました。
しかし妻のイライラの原因を「子育てと仕事の両立で、タスクがオーバーフロー」しているんじゃないかとイシューを変更しました。
そこから、家事の役割の変更、時間的な効率を考えた家事の順番の入替え、メンタル面の相互理解を深めることで、何とか正常な関係に戻りました。
この様に、何を解決するのかを間違うと、結果が全然違ってきます。妻のケースでも、妻個人の責任にしてしまうと妻を変更するしかありません。妻を変えるのではなく、環境を変えることで、平和な家庭を取り戻すことが出来るのです。
「ゼークトの組織論」
ドイツの軍人ハンス・フォン・ゼークトが提唱したとさせる「ゼークトの組織論」を思い出しました。
・有能な怠け者
・有能な働き者
・無能な怠け者
・無能な働き者
この4パターンの中で、戦場では何をさせるべきか説いたものですが、
有能な怠け者は「指揮官」
有能な働き者は「参謀」
無能な怠け者は「前線の駒」
無能な働き者は「銃殺」するしかない
決定力がある人こそ、何を課題とするかが重要だと思います。
無能が決定してしまうことが一番危険です。
すぐに問題を解くのではなく、”何を課題とするか"を慎重に考える必要があるということです。
何を課題とするかは、徹底的に情報を集めて慎重に設定するべき事項です。情報が偏った中で決定すると間違った結果を生み出すことになります。