第1回内科専門医/第146問(呼吸器)/2021
第1回内科専門医試験
2021年度予想
66歳の女性.咳嗽を主訴に来院した.
現病歴:3ヵ月前から咳嗽を主訴に近医を受診し, 感冒との診断で内服薬を処方されたが,症状が改善しないため受診した.
既往歴:特記すべきことはない.
生活歴:喫煙は10本/日を20年間.
現 症:身長161cm,体重60kg.体温36.5℃.脈拍76/分,整.血圧126/72mmHg.呼吸数14/分.SpO2 96%(room air).表在リンパ節は触知しない.心音と呼吸音とに異常を認めない.腹部に異常を認めない.
検査所見:血液所見;赤血球439万,Hb 12.9g/dL,白血球7,000,血小板31.9万.血液生化学所見;総ビリルビン0.8mg/dL,AST 18U/L,ALT 18U/L,LD 384U/L(基準176~353),クレアチニン0.8mg/dL,CEA 40.7ng/mL(基準5以下),SCC 0.6ng/mL(基準1.5以下).CRP 0.1mg/dL.
気管支鏡検査で腺癌細胞が認められた.PET検査では両肺に集積を認めたが,胸郭外には集積は認めなかった.全身状態は良好(PS 0).胸部X線写真, 肺野条件の胸部CT, および縦隔条件の胸部造影CTを示す.精査の結果、Ⅳ期肺腺癌の病気診断となった。遺伝子検査でEGFR exon 19欠失変異を確認し、チロシンキナーゼ阻害薬(EGFR-TKI)の内服を開始した。EGFR-TKIを開始して1週間程度で1日5行程度の下痢を認めた。患者自身は食事など問題なく摂取できているが、下痢の回数が多いことを気にしている。
この患者の今後の対応として、正しいものを1つ選べ。
a. ロペラミドを投与し内服は継続する。
b. 食事を中止し、輸液投与で経過を観察する。
c. 24時間以上、同程度の症状が続けば休薬する。
d. EGFR-TKIを中止の上、減量して再開する。
e. EGFR-TKIを中止し、抗がん薬を変更する。
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解答
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