消化器病/第43回/2022年(3月)
消化器病専門医試験
2022年3月予想
過敏性腸症候群について誤りを1つ選べ。
a. ストレスが関与する。
b. 就寝中の症状の有無も重要である。
c. ラモセトロンは女性には禁忌である。
d. 感染性腸炎後に過敏性腸症候群を発症する頻度は、約10%である。
e. 下痢型過敏性腸症候群はBristol便形状尺度におけるタイプ6、7が多い。
< ここから解答・解説になります >
解答
c
試験でのポイント
過敏性腸症候群は、2016年に診断基準も改定され、ここ数年で新薬が次々と保険収載されている分野である。内科専門医試験でも細かく出題されている。新薬についてはまずは下記表を参考に系統分類して覚えること。
解説
a. 正しい。IBSはストレスとの関係性が深く、心身症の一つと考えられている。
b. 正しい。2016年に改訂されたRome Ⅳ基準の診断基準には入っていないものの、IBSの特徴のひとつに、夜間の睡眠中には腹痛や便意がほとんど生じない、という点が挙げられる。就寝中にも腹痛が生じる場合には他疾患も鑑別に挙げる必要がある。
c. 誤り。下痢型過敏性腸症候群の男性にのみ処方可能であった5-HT3拮抗薬(セロトニン3型受容体拮抗薬とも呼ばれる)が、2015年5月に女性にも適応追加となった。薬剤はラモセトロン(イリボー®)。ただし,投与量は男性の半量の2.5μg、1日1回である。
d. 正しい。感染性腸炎はIBS発症のリスクを亢進させることが明らかにされており、感染性腸炎後IBSの頻度は、おおよそ感染性腸炎の10%に発症する。リスク因子としては、女性、若年、急性胃腸炎中もしくは前に心理的問題がある、胃腸炎の頻度が強い、などが報告されている。
e. 正しい。Bristol便形状尺度は、数字が大きくなると糞便水分量が多くなる。タイプ3からタイプ5までが健常の糞便の範囲であり、タイプ1とタイプ2が便秘の糞便、タイプ6とタイプ7が下痢の糞便である。下痢型ではタイプ6、7が多い。
参考
機能性消化管疾患診療ガイドライン2020 〜過敏性腸症候群〜改訂第2版
最近の便秘診療〔日本内科学会雑誌 109 巻 9 号 1945-1952, 2020〕
病気がみえるvol 1. 消化器 第6版 P151
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