オマリズマブの鼻茸合併副鼻腔炎に対する効果 JACI 2020

オマリズマブの鼻病変に対する第3相試験結果を紹介します。
J Allergy Clin Immunol 2020 Sep;146(3):595

PMID: 32524991
Efficacy and safety of omalizumab in nasalpolyposis: 2 randomized phase 3 trials

P:鼻噴霧ステロイドの効果が不十分な成人鼻茸合併慢性副鼻腔炎(CRSwNP)患者 (POLYP 1試験 138人とPOLYP 2試験 127人)

I:オマリズマブ+鼻噴霧モメタゾン(背景治療)

C:プラセボ+鼻噴霧モメタゾン(背景治療)

O:鼻ポリープスコアと鼻閉スコアのベースラインからの変化量はそれぞれ介入群と対象群で以下の通りであり、有意に介入群で改善した。

POLYP 1試験

 鼻ポリープスコア:-1.08 vs 0.06 (P<0.001)

 鼻閉スコア:-0.89 vs -0.35 (P=-.0004)

POLYP 2試験 

 鼻ポリープスコア:-0.90 vs -0.31 (P=0.0140)

 鼻閉スコア:-0.70 vs -0.20 (P=0.0017)


<個人的コメント>

今回の報告は喘息・花粉症の用法・用量でのオマリズマブ投与がCRSwNPにも効果があることを示したものです。こちらのnoteでも過去に紹介しましたが、デュピルマブがCRSwNPに効果があることは示されており(Lancet 2019. PMID: 31543428、LIBERTY NP SINUS-24 / SINUS-52試験)、実臨床でも保険適用で使用できるようになっておりますので、皆様の中にはその劇的な効果を実感されている方もいらっしゃるかと思います。

一方で、こちらも以前紹介しましたように、CRSwNPに合併しやすいことが知られる気道型アスピリン不耐症(AERD)にはオマリズマブの効果があることも示唆されています(AJRCCM 2020. PMID: 32142372)。

今回の研究ではAERDがある方はPOLYP 1では介入群で22%、対象群では16%であり、POLYP 2では介入群は39%、対象群で32%と1/5-1/3程度になっています。また、両研究ともに平均の鼻ポリープスコアで6以上、平均のSNOT-22スコアで約60と実質的なQoL障害のあるレベルの方がエントリーされており、過去に鼻茸の手術をした方が半数以上にのぼっています。

保険適用の面から見ても、現在の難治性CRSwNPの標準治療の1つにデュピルマブが検討されるのですが、患者さんに重症の喘息(特にAERD合併例)、花粉症、蕁麻疹があるのであれば、オマリズマブもオプションとして検討されうることが示唆されると考えます。(蕁麻疹の場合は用法・用量に留意)

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