メポリズマブ、ベンラリズマブ
今回は好酸球を劇的に減少させる薬剤であるメポリズマブ、ベンラリズマブについて、代表的なエビデンスをピックアップしました。
ただ、臨床では「好酸球性重症喘息」に対してベンラリズマブを投与して好酸球がゼロになったとしても必ずしも症状や増悪頻度もゼロにはならないというのが難しいし興味深いところかと思います。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32241829/
フランスでのメポリズマブ投与患者146人の後方視的解析:ベースライン時にはほとんどの患者(92.8%)が経口ステロイドを使用していたが、24ヵ月後は34.7%であり安全性も良好だった
Eur Respir J. 2020 Jun 25
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33971168/
メポリズマブ投与中の喘息増悪有無と喀痰好酸球(2%が閾値)で定義された増悪の表現型の比較:増悪には①感染症が原因の非好酸球性でCPRが上昇する増悪と②好酸球性の増悪があり、前者と後者はFeNOで区別できる(英国)
Lancet Respir Med. 2021 May 7
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33872587/
鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎に対するメポリズマブの第3相臨床試験(SYNAPSE試験):内視鏡的鼻ポリープ総スコアは、メポリズマブとプラセボを比較して、52週目にベースラインから有意に改善し、49~52週目の鼻閉VASスコアも有意に改善。安全性問題なし
Lancet Respir Med. 2021 Apr 16
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33486140/
メポリズマブとベンラリズマブの臨床効果はベースラインのFeNOレベルに依存しない。FeNOが高い重度の好酸球性喘息患者では,ベンラリズマブはFeNOの低下と関連しており,好酸球や好塩基球などのIL-5受容体発現細胞が IL-13の供給源かもしれない?(英国)
J Allergy Clin Immunol Pract. 2021 Jan 21
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33545399/
リアルワールドにおいてメポリズマブ投与後12ヵ月間で45%の重症喘息患者が経口ステロイドフリーを達成(オーストラリア)
J Allergy Clin Immunol Pract. 2021 Feb 3
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33364788/
重症喘息に対するメポリズマブのリアルワールド試験。OCSの減量効果が示された(米国)
J Asthma Allergy. 2020 Dec 16
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33606277/
重症喘息に対するメポリズマブ投与1か月で、ベースラインと比べ制御性T細胞が増加した(イタリア)
Scand J Immunol. 2021 Feb 19
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32093447/
経口ステロイド依存性の好酸球性重症喘息・鼻茸副鼻腔炎合併患者に対するメポリズマブ治療の短期的有効性を評価した初の臨床試験。40%で経口ステロイドが中止でき、喘息増悪が減少し、ACTが増加し、鼻症状が改善した。
Turk J Med Sci. 2020 Apr 9
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33726827/
ステロイド抵抗性の再発・難治性EGPA患者16人へのメポリズマブの効果を後ろ向きにみた解析:同薬により疾患活動性の低下、寛解率の増加、OCS減量効果あり(産業医大)
Arthritis Res Ther. 2021 Mar 16
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33357499/
ベンラリズマブの24週間投与はプラセボと比較して増悪リスクを49%減少させ、呼吸困難スコア(SGRQ)、1秒量、喘息症状(ACQ-6)、鼻症状(SNOT-22) 早期(1~4 週目以内)に改善した(国際共同研究)
Lancet Respir Med. 2021 Mar
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33609624/
重症好酸球性喘息に対するベンラリズマブ投与(SIROCCO/CALIMA試験)の最長3年間延長結果:
重篤な有害事象発生率は8%, 喘息増悪がない患者の割合は69%、1秒量のベースラインとの変化量は約+0.32 Lであり、いままでの知見と一致していた(米国、カナダ、スウェーデン)
J Allergy Clin Immunol. 2021 Feb 17
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33486140/
メポリズマブとベンラリズマブの臨床効果はベースラインのFeNOレベルに依存しない。FeNOが高い重度の好酸球性喘息患者では,ベンラリズマブはFeNOの低下と関連しており,好酸球や好塩基球などのIL-5受容体発現細胞が IL-13の供給源かもしれない?(英国)
J Allergy Clin Immunol Pract. 2021 Jan 21
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?