アレルゲン免疫療法 主要論文ピックアップ

花粉症の症状もピークを超えたという方がほとんどかと思います。

アレルゲン免疫療法には舌下免疫療法(SLIT)と皮下免疫療法(SCIT)があり、ともにスギ、ダニの標準化製剤が保険適用で処方可能です。

アレルゲン免疫療法はアレルギー疾患に対する唯一の積極的な根治的治療であり、効果も高く副作用も許容される範囲となることがほとんどですので、花粉症の症状がひどかった方や、抗ヒスタミン薬を飲むと集中力が落ちてしまうような方を中心に使用を検討してはどうでしょうか。

最近のアレルゲン免疫療法についての研究報告を以下に簡単にまとめました。

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33905129/
標準化された樹木花粉SLIT剤(12SQ-Bet)の忍容性および安全性の国際共同評価試験:アレルギー性鼻結膜炎患者を対象に12SQ-Bet群471人、プラセボ群458人に割り付け。副作用は口腔内の痒み(被験者の39%)と喉の炎症(29%)で軽度または中等度。喘息のリスク増加誘発なし。
Allergy. 2021 Apr 27

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33819508/
舌下免疫療法(SLIT)と皮下免疫療法(SCIT)の2年間の治療と治療後1年の鼻腔および全身のチモシーグラス花粉特異的抗体反応を比較すると、SLITではIgA1/2が、SCITではIgG4が誘導され、その作用機序に違いがあった(米国)
J Allergy Clin Immunol. 2021 Apr 2

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33781958/
アレルゲン免疫療法ではIgE依存性のマスト細胞の活性や組織の好酸球増加などの2型炎症が抑制される。機序にはTregの早期誘導、局所および全身のIgG、IgG4、IgA抗体の誘導、IL-35産生Treg、Breg、TFR細胞、IL-10産生ILC2などがある(英国)
J Allergy Clin Immunol Pract. 2021 Mar 26

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33754932/
アレルギー性鼻炎(AR)へのダニ舌下免疫療法によりアレルギー症状が1段階以上改善した患者の割合は、鼻75%、眼62%、皮膚16%。喘息合併患者の75%が気管支症状が1段階以上改善。AR薬と吸入ステロイドは有意に減少。アナフィラキシーなし(米国)
Curr Med Res Opin. 2021 Mar 23

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33754932/
アレルギー性鼻炎と診断された患者にアレルゲン免疫療法(AIT)を行ったところ、AITの維持期に達した患者は、AITコホート全体よりも総費用が少なく(10,431$ vs. 11,612$)、入院費(698$ vs. 1,281$)、総医療費(7,950$ vs. 8,989$)も減少した(米国)
Curr Med Res Opin. 2021 Mar 23

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33753219/
皮下アレルゲン免疫療法(SCIT)のリスク評価。致死反応は720万回の注射につき1件。Grade 3および4の全身性アレルギー反応の50%は重症喘息患者で発生していた。コントロールされていない喘息患者にはSCITは行わないことがリスク回避に有用(米国)
Ann Allergy Asthma Immunol. 2021 Mar 19

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33662672/
アレルギー性鼻炎/喘息に対してアレルゲン免疫療法を行うに際し、モバイルヘルスケアツール(mHealth)であるMASK-airのデータをmHealthバイオマーカーとして効果予測に利用することができる可能性がある。
J Allergy Clin Immunol Pract. 2021 Mar 1

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33652134/
ダニ(HDM)の舌下免疫療法の成人アレルギー性喘息への効果をみた試験は背景や方法などにより結果が異なるが、HDMに感作のある喘息患者への追加治療として有効であり、個別化医療のアプローチを取り入れる際に検討される(英国)
J Allergy Clin Immunol Pract. 2021 Feb 27

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33633455/
アレルゲン免疫療法の臨床効果を正確に反映した信頼性の高いバイオマーカーで、まだ広く用いられれいるものはない(キプロス)
J Asthma Allergy. 2021 Feb 18

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33583050/
アレルゲン免疫療法(AIT)に関する信頼性の高いリアルワールド・エビデンスの評価と整備のための欧州アレルギー学会の提案と取り組み。
Allergy. 2021 Feb 14

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32342352/
カバノキ花粉のアレルギー性鼻炎患者に対して同花粉の舌下免疫療法を1年間行うと、Patient Benefit Index for Allergic Rhinitis (PBI-AR)で評価した身体症状と治療負担が改善した(ドイツ)
Adv Ther. 2020 Jun

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