ガッチョ

仕事して、音楽聴いて、酒飲んで、本読んで、そして旅に出る。備えあれば憂いなし。

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最近の記事

エセチャリダーとバス Vol.4

ベラクルスで自転車旅を続ける自信が無くなり、いつも通り自分に甘くなっていた。 しかし、自転車を止めるとなると移動手段だった物が、ただの荷物になってしまい面倒くさいなど最低なことを考えていた。しかも、荷物は自転車に積むことを想定した量であるため、バックパッカーの許容量を超えた重量になっている。50kg以上の荷物を背負って街を歩くのは現実的ではない。自転車に乗っている時よりも汗だくになって街を徘徊するなんて笑えない。 そこで、我が人生のターニングポイントとばかりに考え抜いた末、自

    • エセチャリダーとルチャ VOl.3

      プエブラまでの道のりで、自分の見立ての甘さに気付き、完全に意気消沈し、自転車旅を続ける気力が失せ始めていた。 でも、まだ自転車旅を始めてたった2日しか経っていない。流石にここで辞めてしまうと、何か自分の中の大切なものが失われる気がして、それだけが想いを繋ぎ止めていた。 しかし、街の平和な空気の中に身を置くと、何とも言えない気怠さと、サバイバルから解放された安堵感に、ビールとタコスと陽気な音楽のある世界に自我が揺れていた。 小さな窓とベッドが置かれただけの質素な部屋でIPodを

      • インプロヴァイゼーションと社会性

        リヴァプールのBluecoat Arts Centreで行われた、Derek Baily、大友良英という重鎮達による即興ライブを見に来ていた。 当時、インプロヴァイゼーション音楽にどっぷり浸かっていたため、現地の音楽雑誌の隅に、このライブの情報を見つけた時は胸が高鳴った。現在も即興はたまに聴くが、むしろ歳を重ねるごとに、様々な音楽を聴くほどに味わい深く聴こえる。 会場に着くと、エントランスに続く階段に開場待ちの列が出来ていた。しばらく並んでいると、下から二段飛ばしで階段を駆

        • エセチャリダーとプータ Vol.02

          相棒の自転車と、メキシコシティを力強く出発した時は、今から始まる大冒険に心が躍り、新しい出会いに胸が高鳴り、希望に満ちていた。 しかし、漕ぎ出してまもなく、大都会の洗礼を浴びる。車の排気ガス、自転車に優しくない交通ルール、街から出るだけで半日を要し、やっと田舎道に出て視界が開けた時は、顔はベトベトで太腿はパンパン、すでに脚は鉛のように重く、目標の街プエブラまで悠に100km以上の距離を残し、拷問以外の何者でなかった。 そして、まだ相当な距離を残した地点で、初の峠越えに挑戦

          エセチャリダーとロコ Vol.01

          メキシコの首都メキシコシティ、毎日毎日タコスとビール、たまにハンバーガーとフルーツジュースというナメ切った生活を送っていた。体重は増える一方、旅のバイタリティは減る一方。このままじゃダメだな〜と思っていたある日、突如自転車旅をすることになった。俗に言う、チャリダーである。 突然思い立ったということではなく、同じ宿に泊まっている人でチャリダーやバイカーが居て、バイタリティ溢れる人達の話を聞いている内に、影響されやすい私は自分でもやりたくなったのである。 しかし、メキシコでそれな

          エセチャリダーとロコ Vol.01

          音楽が人間に与える思考

          今までどれだけの時間を音楽に費やしただろうか。 音楽は人々に様々な作用をもたらせる。 高揚させたり、悲哀させたり、時には聴き流してみたり。人それぞれ好きなジャンルがあり、ファッションだったり、哲学となって現れる。 私も多分に漏れず、音楽に人生観を変えられてきた内の一人だ。 ある年の暮れ、南米最高峰の山アコンカグアへの登山に挑戦していた。約2週間の行程である。 装備は、ほとんどレンタルで済ませ、持参したのは調理器具、スノーピークのソロテントぐらいのものである。南米の至る所で

          音楽が人間に与える思考

          熱帯雨林の渇き

          東南アジアの片隅でのとある一日。 強烈な日差しが我が家の庭に突き刺さる。それでもサボテンは、今日も元気に反り立っている。人間がその日差しをモロに浴びようものなら、数十分でぶっ倒れてしまうだろう。 人間は黙って冷房が効き、BGMのリトル・ドラゴンでチル空間と化した部屋で、キンキンに冷えたビールを飲むに限る等妄想しながら、仕事なんてやってられないと悪態を吐きながら今日もデスクに向う。 そういえば、ビールのストックが切れていた。ロックダウンの影響で流通が滞っていて、近所で在庫

          熱帯雨林の渇き

          センチメンタルとノスタルジック

          10代の頃、マンチェスターに留学していた。 その日は、Flaming Lipsのライブがあった。開場時間より早く着いたため、イヤホンで音楽を聴いて、バス停のベンチに腰掛け時間を潰した。一台のバスが停まった。乗客がいないと判断し直ぐに発車、何気に去りゆくバスを眺めていたら、一番後ろの席に座っていた、自分と同じか年下ぐらいの白人の少年に中指を立てられた。彼が私を睨みつける。碧い眼差しは、純粋に白人がアジア人を嫌悪していると認識できるものであった。 ライブ終了後、夜遅く、いつも

          センチメンタルとノスタルジック

          生き方の曲がり角

          悩むのは無駄、と思っていても悩んでしまう。悩むのが趣味というくらい悩む。悩みの種は様々。いつも答えは出ない。 自分のすべてが仕事に覆われている感覚、幸せなのか否か、時間と共に薄れて行くと思っていた疑念、自問自答に拍車がかかる。ベッドに入り目を閉じ、出口のない思考の迷路へ。 変化する世界とは逆行するように変わらない日々。音楽を聴いたり、本を読んだり、バーボンをなめたりして気を紛らわせる。 ふと我に返ると、窓から午後の日差しが差し込む。サボテンの庭に雀のさえずり。Jose

          生き方の曲がり角