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ノルウェーの意外な女性の就労実態

前回の投稿に何人かの方が「すき」をつけてくださいました!ありがとうございます💛応援の気持ちと受け取り、少しでも多くの方に読んでもらえるようコツコツ投稿していきたいと思います。

さて、まずは私がノルウェーの男女平等についてリサーチしていて驚いた数字をいくつかご紹介したいと思います。

1.公共部門の70%が女性

Proportion of employed men and women (20 - 66 years) in the private and public sector
Source Indicators for gender equality in municipalities, Statistics Norway

ノルウェー政府の統計によると、多くの女性は民間ではなく、公共部門で働いているという事実がわかりました。民間の数字についてはここ10年変化はないとも書かれていますね。なかなかの偏りです。これは3年間住んでいても気がづかなかった事実でとても驚きました。

公共部門の定義は明確にはされていないのですが、表2からわかるのは多くの女性が医療(Helse)、自治体などの社会サービス(sosialtjenester)、教育(undervisning)分野で働いているということです。
※青棒が女性、緑棒が男性
※ノルウェーの病院や施設、学校、保育園は日本でいう国立や市立なのでほぼ公務員となります

表2 Number of men and women (15 - 74 years) in the various industries
Source: The labor force survey, Statistics Norway

ノルウェーは1988年にクオータ制(一方の性が40%を下回ってはならないという法律)が導入されて以来、政治分野での女性進出は一気に進みました。しかし、いまだ多くの女性はいわゆる自治体職員、教員、看護師、保育士などに代表される「ケア分野」の就労から抜け出し切れていない実態があります。そして相対的に公共部門のほうが賃金水準が低く、女性と男性の賃金格差もいまだ残る問題です。

2.パートタイム(Deltid)就労が35%

表3 Proportion of employed persons (15 - 74 years) who work full-time and part-time
Source: The labor force survey, Statistics Norway

そして、意外にも女性の35%がパートタイム就労であるという実態もみえてきました。男性のパートタイム就労は15%。ジェンダーギャップ指数2位の国でもいまだ男性がフルタイムで働き、女性がパートタイムという性的役割分担が残っていることに驚きます。

3.根強く残る性的役割分担

このような偏りはなぜ起きるのか。

公共部門はママにとっても働きやすいからと聞きます。定時であがれて、子供が熱を出しても休みやすく、家に帰れば仕事から一定の距離を置ける。また女性が多いからこそ家庭や子育てに対する理解がある職場が多いのでしょう。ノルウェーの保育園はどこも例外なく17時に閉まりますし、病院も急患以外は予約は早くて1週間後、歯医者は15時までしかやっていません!(ノルウェーの公共サービスのスローさ、不便さには目を見張るものがあります!)

一方で民間は収入も高いけど、仕事もハード。顧客の高い要求に応え続けることを求められるし、四六時中メールチェックをして対応しなければならない。そんなのはとてもじゃないけど、子供を育てながらは無理!と思う女性が多いのではないでしょうか。フルタイムではなく、パートタイムの女性がいまだ35%もいる理由もそこにあるのでは?

また女性=ピンク、女性=ケアなどの固定観念がノルウェーにもいまだあり、女性の職業選択にも影響しているのではないかと思いました。

4.まとめ

・男女平等が常に最適とも限らない。失うものもあるよね。
・子供と過ごせる時間は減ってしまうけどね
と寂しそうにいったノルウェー人のコメントが脳裏をかすめました。確かに両家庭とも両親がフルタイムで働くご家族だったのです。(公共か民間かはわかりません)両家庭とも日々のやりくりは本当に大変そうで、子供にしわ寄せがいくことをとても懸念していました。ノルウェーは女性でも党首になれる国ですが、子育てを理由に党首を辞任した女性党首もいる国です。

男女平等と子育ての両立。ジェンダー平等2位の国でも永遠の課題のようです。


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