シリーズ:ノルウェー人に聞いてみた~ノルウェーってジェンダー平等ですか?~
ジェンダー平等指数2位の国のノルウェー人が実際自国の「ジェンダー平等」についてどう思っているのか、実際に聞いたことをここにアウトプットしていきたいと思っています。(シリーズ化予定!)
今回のお相手は・・・
民間企業でフルタイムで働いてきた50代の女性ママ。子供は二人とも成人しています。ノルウェーでは彼女の世代でも共働きが当たり前で、「働かない」という選択肢はなかったそうです。前回の投稿でお話した通り、ノルウェーでは両立が比較的しやすい公共部門やパートタイムで働く女性が多い中、この方はそういう選択をせず、いわゆる「バリキャリ」を志向してきた方です。
ノルウェーはジェンダー平等の国だと思いますか?
まだ、道半ばだと思います。何故なら民間部門の管理職がまだまだ少ないと思うからです。
どうして少ないのだと思いますか?
公共部門に比べて、法の規制が遅れているからだと思います。ノルウェーでは1988年に初めて政治の世界にクオータ制度が導入され、4名以上で構成される委員会の場合、一方の性が40%を下回ってはならないという法律が制定されました。その効果もあり、どの政党も今では女性が40%以上が当たり前になっています。
続いて、公営企業のクオータ制(取締役が10人以上であればいずれの性別も40%を下回ってはならない)が2003年に導入され、続いて2006年に民間企業の上場企業に適用されました。つまり、いまだ非上場企業についてはクオータ制が導入されていないわけです。ただ、現在非上場企業についても適用を広げていく動きがでており、国会の審議待ちなので、ここからまた変わっていくかもしれませんが、、、
何故民間は出遅れたのでしょうか?
やはり、そこは「利益を出す」という目的がある程度優先された結果だと思います。公的資本が入っていない分、政府も強くはいえないという構造の問題だと思います。
ジェンダー平等政策で大事なことは?
ジェンダー平等政策においては「法的強制力」がとても大事だと思います。どうしても男性中心の世界は、似た価値観、視点、バックグラウンドがある男性を引っ張りがちなので、そこであえて女性を登用していくには「強制力」が必要です。ノルウェーの歴史を見ても、それは明らかだと思います。
どうやってクオータ制導入にまでこぎつけたのでしょうか?
ノルウェーは民主主義国家なので、市民の声があがればそれが国会にまで届きます。民意を反映した結果といえます。もちろんその民意を国会に届けるまでには多くのノルウェー人女性が戦ってきたのですが。
聞いてみて思ったこと
果たしてこのシナリオが日本でも通用するのか?どこまで日本政府がジェンダー問題について法的強制力を働かせることができるのか?現状の「努力義務」や「推奨」、「目標」ではなく「法的拘束力」をこの問題に導入することが可能なのか?
そのためにも、まず日本の国会に立つ女性の数を増やしていく施策が必要なのかもしれません。
ジェンダー平等を政治で引っ張る国ノルウェーと、政治が一番足を引っ張っている日本。国の成り立ち、構造、精神などから探っていく必要性も感じています。
※冒頭の写真は地方選挙の候補人一覧です。日本はおじさんの顔ばかりが並びますが、男女半々でとても自然な感じがしますね!