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「俺らが子供の頃は食べ物もなくて、脱脂粉乳もご馳走だったよ。でもみんなして必死になって耐えてたもんさ。戦争さえ終わったんだから、世の中必ず良くなるもんだからって」
戦争が終わって、大変な時代を過ごした我々よりも上の世代。せめて次の世代だけは良い世の中になってくれるようにと願いを込めて文字通り身を粉にして働いたと思う。
実際、いろんなタイミングが重なり、日本は戦後のボーナスタイムに乗ることができ、高度経済成長という大きな対価を得ることができ、戦前とは比べ物にならないくらい豊かな生活ができるようになった。
今の年寄り世代は戦前のとんでもない貧しさと同じくらい極端に豊かなバブル期を体感してしまった。一番ひどい時と一番良い時を順番に味わってしまったあとになって、何が正しかったのか、何が間違いだったのか価値観ごと大きくパラダイムシフトさせられてしまった。
その結果、未来の世代に自分たちがいったい何を残すべきなのか、指針のような重心のようなものを見失ってしまったのではないだろうか。
だから、今さえ良ければ良い、自分たちの生きている間さえ良ければ、というマインドで、未来の世代に負担や課題を押し付けるような形になっている。
借金や負の遺産ばかりの山の上に若者は立たされて、途方にくれているというか、なす術もないような無理ゲーだと嘆いている。現に勘のいい奴は、年寄りには何の期待もせず見限って、取り返しのつかなくなる前にさっさと日本を脱出している。
日本は今、そうな風に見えないだろうか。