1212_男らしさ
「だって男の人だったら、コンピュータの後ろの配線とか電化製品の修理とか、車の運転とか得意でしょ?」
「全然。機械いじり全般が得意とかないから。そもそも、俺、ペーパードライバーだし。君が、それが冗談で言ってくれていることを願うよ」
「まったく全然男らしくないじゃない」
「稼ぎも君の方が上だからね」
「まあ、能力自体が違うものね」
「仕方ないさ。それも悔しいとも思わないけどね、僕自身も。それぞれ得意なところも違うんだから。でも、世間ではそれが許せない男も多いらしい」
「それはあるかもね」
「そもそも、君は僕よりも前に前に進んでいって、僕がそのあとを追っかけるのが基本的なスタンスなんだよね。ランニングの時もそう」
「私、せっかちなのよね」
「そう。あと、自分で決めたがる。それはとても、男っぽいというか、男性的な部分なんだろうね。僕は君と相談して決めようと思うけどね」
「だいたい、私の判断の方が正しいからでしょ」
「そういうことを堂々と言えること自体が男っぽい側面でもあると思うけどね。その分、僕が受け身でいられるから、その方が楽で助かってる」
「たぶんあなたが私のやり方にゴチャゴチャ言ってきたら、じゃあ勝手にしたらってなるわ。私は私の好きなようにやるからって」
「だから、僕らが一緒になるのは非常に合理的なんだよ。ある種、僕は男でいることを降りてるから」
「私もあなたが私の言うことを聞いてくれるから、ストレスが少ないわ」
「ウィンウィンだね」