私の不倫日記:4章「葛藤、そして決断…」
恋に落ちてしまった…
だんだんと彼女の虜になっていく自分に、私はとまどった。
たいしたことは無いが、社会的な身分も持っている。
不倫など私にとってはドラマや小説でしかお目にかかったことのない、遠い世界の現実感のない話だった。
だが、彼女の存在が私の頭の中で大部分を占めるようになっていた…
美しく、可憐な人妻…
「彼女の存在」は私にとっては「ただの主婦」のはずだ。
道で会ったら「こんにちは、暑いですね」と会話を交わす程度の存在のはずだ。
私は社会人なんだ。
夫も子もある人妻に対して何を考えているのか…
悩んだ……
くそくらえ…
人の倫などどうでもいい…
彼女が好きだ
俺が知った時には、彼女はすでに他人の妻だったんだ…
仕方ないじゃないかっ! 俺のせいか?
あの時…
テレクラでかかってきた一本の電話…
何で取ったのが俺だった?
他の奴が取ってれば…
彼女を知ることはなかった…
いやだ… 他の奴に彼女を渡すなんて我慢できるもんか…
運命?
彼女を知らなかったなら…
悩むことなどない、平凡なたんたんとした生活…
今なら引き返せるな…
彼女をあきらめるだけだ…
やはり彼女に言おう
「もう逢わない」
それで終わる…
また元の生活…
またテレクラ通いで安全な相手を探そう…
セックスだけの割り切った関係…
一度限りの性の売り買い
性欲の処理…
彼女を忘れれば苦悩せずに済む
くそくらえっ!
嘘をつくなっ!
私は彼女と知り合ってしまったんだ
そして彼女に恋をした…
もう彼女のいない生活など考えられない
もう、平凡な生活に戻ろうとは思わない
彼女が好きだ
彼女に逢いたい…
彼女の顔を見たい…
彼女の声をそばで聞きたい…
そして…
彼女に触れたい…
彼女が欲しいんだ
人の倫など踏み外してもいい…
私は終局への扉を自分自身の手で開き
悲しい結末までのカウントダウンのスイッチを押してしまった…
もう…
引き返せない…