見出し画像

はじめての本づくり① 構成案→取材→構成案

●取材を進めるための構成案

 みなさん、こんにちは。
 私は出版社・現代書林で編集の仕事をしている O です。よろしくお願いします。
 さあ、それではいよいよ、ライターを使って自分の著書をつくるやり方について解説していきましょう。

 基本的には、ライターに自分の思いや考えを伝えていくわけですが、そのために必要なものがあります。それが構成案(コンテ)です。
 これは、事前に著者であるあなたから、何をテーマにするか、それを誰に伝えたいか、具体的にどのようなことを言いたいかなどなど、話を伺って、出版社がつくるものです。あくまでも大枠なのですが、それでも出版社がつくるものですから、何となくうまくできています。

 ここで注意してほしいのですが、この構成案に流されないようにしてください。あなたの本の骨格ですから、真剣にイメージしてよく見てよく考えてください。で、何か違和感やこうしたらどうなるかといったことが浮かんだら、すぐ指摘してください。

 最終形ではないですから、ここですべてが決まるわけではありませんし、大枠として捉えていただいて構わないのですが、それでもここで根本的なズレがあると上手くいかないことが多いので、とにかく真剣にイメージしてみてください。そして、まだわからないなら、わからないということを出版社側に伝えるようにしてください。それだけでも、違います。
 とにかく、何となく見て「まあ、いいです」っていうのだけはやめてください。 

●取材では本にならないことも大事になる

 構成案ができ上がったら、それに沿って取材をしていきます。ライターと編集者があなたに質問をして、それに答えていただくのです。だいたい2時間×4回くらいでしょうか。

 本の内容に関わることをライターと編集者がいろんな角度から質問しますから、あなたはただ思い出していろいろ話してくれればいいです。「こんなことは関係ないかな」とは思わず、何でも話してください。また「これは書いてほしくない」ということも、「書いてほしくないけど・・・」と伝えてもらった上で話してもらうのがいいです。

 取材では、とにかく幅広く、数多くお聞きします。そして、それを集約して原稿にします。これができると、内容の濃い本になります。100聞いて100書くのでは薄い内容になってしまうことは覚えておいてください。周辺の内容もしっかり聞くことで、本に深みが出てくるのです。とにかく何でも答えてください。

 さらに、取材でお話ししていただく以外にも、そのことについて自分で書いたものとか、あるいは他の人の参考資料とか、動画や図解したものなど、参考になりそうなものは何でもいただきたいです。他の人の図や写真は著作権があるので、そのままでは使えないですが、つくり変えたり、イラストにするなどして、内容を補足することも出版社は考えるので、遠慮せずにいろいろ提供してください。このあたりは、出版社に任せて関連しそうなものは何でもおっしゃってください。
 
●最も重要になる「実際に書くための構成案」

 こうして取材が終わったら、いよいよライターが執筆をするのですが、その前に大事な工程があります。ここを適当に済ませると、行き違いによって本が進まなくなる可能性もありますので、よく覚えておいてくださいね。

 前に構成案をつくって取材に臨むと言いましたが、そもそも前につくった構成案通りに書けることはそんなに多くはないのです。なので、ふつうは出版社が取材内容をしっかり反映した、「実際に書くための構成案」をつくります。ここを飛ばす出版社もあるようですが、それだとできた原稿とあなたの要望やイメージにズレを起こす可能性が大きいので、ここはしっかりつくってもらいましょう。

 そこには、詳しい内容も書かれていますので、本全体の内容がよくわかるはずです。それをしっかり見て検討して、変えてもらいたいところや気に入らないところはちゃんと指摘しましょう。ここはとてもとても大事ですし、出版社もここで言ってくれないと、書いた原稿が無駄になるなど、大きなトラブルになります。ですから、しっかり詰めましょう。
 ここでお互いが納得できればいよいよ執筆に入ります。

現代書林 O