【現代文の地図】第5講 読解の「読」⑤助詞、接続語、指示語、主述
現代文が苦手」をこの世からなくす!を目標にYouTubeやこのnoteで情報発信をしているヤマモト健太です。
YouTubeで発信している情報を、noteで文字としても残して置くことで、ウェブで勉強法を調べている受験生の子やその親御さんなどの目にも触れられるかと思いますので、書いていきたいと思います。
私がこのような活動を行うに至った経緯や考えはこちらの記事をご覧ください。
「読むための道具」のラスト5つ目、「助詞、接続語、指示語、主述」
第0講を読んでない方はまずそちらへ!
今回は読解の「読」、読むための道具の5つ目「助詞、接続語、指示語、主述」です。
もしまだ第0講や過去の記事をご覧になっていない方は必ずそちらの記事を読んでから今回の記事を読むようにしてください。
ちなみに今回の内容の動画はコチラになりますので、動画再生が可能な環境にいる方は、ぜひ動画をご覧いただけますと幸いです。
助詞1つで意味は変わる!
日本語において助詞はめっちゃ大切!
今回扱う4つの項目は文法項目とも言えるものですが、がっつり文法の知識は必要ないので安心してください。
文章を読んでいく上で使うものだけをピックアップしています。
ちなみに入試問題で文法問題というのはほとんど出ないので、自分の志望校で独立した文法問題が出題されない場合は、勉強する必要はないと思います。
それではさっそく1つ目の助詞から説明していきます。
助詞とは「は」や「が」などのことです。
「てにをは」などとも呼ばれます。
日本語において助詞というものはとても大切です。
それを説明するために、一度寄り道をして英語で考えてみたいと思います。
Tom loves Mary.(トムはメアリーを愛している)
Mary loves Tom.(メアリーはトムを愛している)
使われている単語はまったく同じにもかかわらず、意味が逆になっています。
このことは英語という言語が「置く場所が大切」だということを示しています。
「箱」をイメージするといいかもしれません。
一番最初の「箱」に入れた「名詞」は「主語(『〜は』と訳す)」になります。
2つ目の「箱」に入れた「動詞」は主語が行う「動作(『〜する』と訳す)」を表します。
3つ目の「箱」に入れた「名詞」は「目的語(『〜を』と訳す)」になります。
どこに置いたかで意味が確定するわけです。
この置き方のルールですが、英語では5つしかなく「5文型」などと言われます。
※ちなみに英語を勉強する上で、あらゆる文法項目の中で最も大切なのはこの文型と品詞の理解です。そして英単語の勉強だけではダメな理由もこのことが関係しています。先の例文2つでは使われている単語がまったく同じにもかかわらず、意味が全然異なります。つまり単語が訳せても文型を把握しないと、話が分からなくなるということです。また、場所で意味が決まるからこそ「並べ替え問題」が成立します。
では日本語ではどうなのでしょうか。
トムは 愛している メアリーを。
メアリーを 愛している トムは。
先の例文と同じように単語を並べてみました。
違和感はありますが上の文も下の文も意味するところは同じです。
つまり「日本語では並べ替え問題が作れない」ということになります。
ではどのようにして意味を決めているのでしょう。
その大きな役割を果たすのが「助詞」なのです。
例えば助詞の「は」はその前についている名詞が主語であることを表します。
「を」ならばその前が目的語であることを表します(日本語の文法では「目的語」ではなく「連用修飾語」になりますが、英語との比較をわかりやすくするためにあえて「目的語」という表現を使っています)。
試しに「は」と「を」の助詞を入れ替えると意味が逆になります。
トムは 愛している メアリーを
トムを 愛している メアリーは
たった一文字ですが大きく意味を変えるのです。
読解の上で必要な助詞
これらの「助詞」は普段日常会話をしている皆さんからすれば、特に違和感なく意味を掴むことができると思います。
ここでは読解において大切な助詞を2つ紹介します。
「も」
「も」…同じことを表す
例)俺もカレー食べるわ。
この文だけを見ても、「誰か他の人もカレーを食べている」ことが分かります。
「も」は同じことを表すわけです。
「は」
「は」…それ以外と異なる
俺はカレー食べるわ。
この例文であれば「他の人はカレーを食べていない」ことが分かります。
「は」はそれ以外と異なることを表すのです。
ほとんど同じような文ですが、助詞が1文字異なるだけでそこに含まれる意味が大きく変わるわけです。
たった1文字にそこまでの情報が含まれているのです。
文章を読んでいく際にそれがヒントになります。
意識して使ってみてください。
接続語は論理の目印
内容を繋ぐものが接続語
次が「接続語」です。
「接続語」というのは「しかし」「けれども」「例えば」など前後の内容をつなぐもののことです。
これも文法的には「接続語」という品詞はありません。「接続詞」や「副詞」、「助詞」なども含まれます。
ここではとにかく「前後をつなぐもの」を「接続語」という広いくくり(文法的には文の成分)で扱います。
読解における接続語の魅力は「つなぐものの関係性が予測できる」ということにあります。
AしかしB
であれば、「B」には「A」とは「反対の内容が入る」だろう
AなぜならB
であれば、「B」には「A」という「結果」の「原因・理由」がくるだろう
A例えばB
であれば、「B」には「A」の「具体例」がくるだろう
このように接続語を見るだけで後ろに来る内容が分かるのです。
これは接続語のほとんどが、ただ単純につなぐだけでなく、論理的なつながりの意味を示す力を持っているからです。
設問として文の一部が空欄になっていて、接続語を入れるような問題もありますが、これも前後の意味の関係がその接続語によって決まるからこそ作ることのできる問題です。
主な接続語
・順順…原因→結果になる
だから、したがって、すると など
・逆説…反対の内容になる
しかし、ところが、だが、でも など
・例…具体例を挙げる
例えば、具体的には など
・要約…内容をまとめる
つまり、すなわち、要するに など
・並べる…同系統のものを並べる
また、または、もしくは、さらに、しかも、一方 など
・転換…話題を変える
さて、ところで など
※「そして」には注意!
よく使われる接続語として「そして」がありますか、これには注意が必要です。
そしてはよく「順接」の接続語だと思われがちですが、実はただ単純に「文と文をつなぐだけ」で特に意味を加えることはありません。
空欄補充の問題などでは、どこにでも「そして」が入ってしまうように感じる場合も多いですが、ただ単純に繋ぐだけなので本当に入ってしまう場合も少なくありません。
そのため、「そして」を先に入れてしまうと、間違いの場所に入れてしまった場合、芋づる式で点数を落としてしまいます。
他の選択肢の接続語を見て、その中に答えがない場合、最後に「そして」を入れるようにしましょう。
指示語をスルーするな!
前の内容を指す指示語
「指示語」とは「これ」「それ」などのように前に出てきた内容を指すもののことです。
まれに後ろにその内容がくる場合もありますが、基本的には前にある内容を指します。
文章で指示語を見た際、「なんとなく前の内容を指してるんだな」ぐらいに考えてスルーしてしまう人が多いです。
しかし、指示語はその指示内容を必ず確定させて読む癖をつけましょう。
次の例を見てください。
私は高校3年間サッカー部で頑張った。
①この経験がなければ乗り越えられない壁がいくつもあった。
②この期間は本当に地獄だった。
③これは自分にとって初めてのチームスポーツだった。
それぞれ文の一番はじめに指示語がありますが、指している内容は微妙に違います。
①この経験がなければ乗り越えられない壁がいくつもあった。
→サッカー部で頑張った経験
②この期間は本当に地獄だった。
→高校3年間
③これは自分にとって初めてのチームスポーツだった。
→サッカー
このように指示語の指示内容というのは同じ文の後にきていても、その時々で中身が変わります。
特に①と②に関しては、どちらも同じ「この」という語ですが、指す内容が変わっています。
指示語がどこを指しているのかのヒントは後ろにある!
では、どのように指示語の指す内容を確定させれば良いのでしょう。
先の例で考えてみると分かりやすいのですが、すべてヒントは「後ろ」にあります。
指示語を確定させる際には「後ろを見て」何を指してるのか考えてみましょう。
幅広い指示語
指示語の中には指示内容が広い「幅広い指示語」というものがあります。
「このように」、「そのように」などが「幅広い指示語」にあたります。
この幅広い指示語は「内容をまとめる」ので後ろに大切な内容がきます。
チェックしておくことで文章の強弱の「強」の部分が分かりやすくなります。
読解する上では見逃さないようにしておいてください。
主述関係、侮るなかれ
文の主役「主語」と何をしたかを表す「述語」
最後が「主述関係」です。
主語と述語の関係を主述関係といいます。
主語(主部)…文の主題。「何がどうする」「何がどんなだ」の「何」の部分
述語(述部)…主語の動作や状態を示す。「何がどうする」「何がどんなだ」の「どうする」「どんなだ」の部分
ここでも厳密な文法的な主語と主部の違いなどは気にしなくてOKです。
読解するうえで大切なのは、主語と述語に常に注意を払うことです。
特にこれは長い文などで注意が必要なのですが、1つの文が長くなると何の話をしていたか(=主語がなんだったか)を忘れてしまいがちです。
長い文章や難解な文章では、文の骨組みとなる主語・述語だけを見るようにすると内容が掴みやすくなります(これは実際に演習問題を行うと体感してもらえると思います)。
主語と述語のねじれに要注意!
自分で文章を書くような記述問題、小論文などで気を付けなければいけないのが「主述関係のねじれ」です。
これは主語と述語の関係がおかしくなってしまうことです。
文章が長くなればなるほど、その文の主語がなんだったかを忘れてしまってねじれやすくなってしまいます。
主述関係のねじれが起こらないように、なるべく1文を短くするのがポイントです。
まとめ
少しボリュームがありましたが、どれも読解するうえでは避けては通れないものばかりです。
必ず皆さんの読解の力になってくれるので、きちんと使いこなせるようになりましょう。
今回で読解の「読」の道具がすべて揃いました。
ここからは何回かに渡って、これらの道具を使いこなすための演習問題を解いていきましょう。
実はこの演習こそが私がやりたかったことの集大成です。
実際の文章を読みながらどう考えるべきなのか。
読める人の思考回路に近づくための一番良い方法が、一緒に文章を読んでいくことです。
この演習を終える頃には「『読む』ってこういうことなのか」とはっきりと実感してもらえていると思います。
楽しみにしていてください。
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