ざっくり語彙 ~スキマ5分の「スマホでボキャビル!」~ 029
【寓意(ぐうい)】
例えばそうですね…『アリとキリギリス』というお話を思い出してほしいのですが、あの物語に込められたメッセージって、
>アリは勤勉で素晴らしい昆虫だ。
とか、
>キリギリスは怠惰でけしからん昆虫だ。
などというものではないですよね。
素直に解釈するなら、
>勤勉の徳/怠惰の悪
を、僕たち人間にとっての教訓として述べているわけです。
つまり『アリとキリギリス』は、〈人間に向けた教訓を、昆虫の世界に仮託して間接的に述べた物語〉ということですね。
このように、〈伝えたい教訓や主張、思想などを、何か他のものにかこつけて間接的に表現する〉ことを、【寓意】と言います。
〜例文〜
その静物画は、対象の果物を単に写実的に描いたものではない。「生の儚さ」という、哲学的な寓意に満ちた表現なのだ。
〜関連知識〜
『アリとキリギリス』もそうですが、昔話や民話、あるいは近代以降に童話と呼ばれるようになる物語には、ストーリーテリングによって直接的に語られる内容のみならず、そのストーリーの一部や全体によって、何かしらの教訓や思想を暗示する…つまりは、【寓意】が込められたものが多くあります。こういう物語のことを、【寓話】と呼びます。
また、【寓意】と似たような意味の言葉として、【アレゴリー】という語もあわせて覚えておきましょう。