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GiGOの業務支援ツールにおけるユーザビリティテスト

こんにちは!デザイナー、いつもポニーテールをしているponyです。
私は、GiGOの店舗業務支援ツール「GiGO NAVI」でデザイン業務を担当しています。

私の所属するデザインチームや、具体的な業務内容に関しては、過去の記事をぜひチェックしてみてください。

GiGO NAVIでは、新しい機能を開発して実装した後、リリース前にベータテストを行っています。
ベータテストの詳細は、プロダクトマネージャーの原田さんが書いたこちらの記事をご覧ください。

今回は、ベータテストの中の一つ、「ユーザビリティテスト」について、その実施方法をお話ししたいと思います。


ユーザビリティテストとは

主な目的・実施内容
アプリやUIのテスト
ユーザーの行動を観察する
操作ができるかどうかをチェックする

1) 大本あかね著. 菊池聡監修. UX DAYS TOKYO 監修.デジタルプロダクト開発のための ユーザビリティテスト実践ガイドブック,マイナビ出版,2023,p.62.

ユーザビリティテストと似た名称である「ユーザーテスト」の目的は「ユーザーの感情・心情を聞く インサイトを知る」ことで、インタビューやリサーチが当てはまります。

今回はユーザビリティテストを中心に、ユーザーテストの要素も混ぜながらベータテストを行いました。

テスト前の準備

①ユーザビリティテストについて学ぶ

私はユーザーインタビューの経験がありますが、ユーザビリティテストは初めてのチャレンジでした。そのため、社内の他プロジェクトでのUX調査の事例を調べて、どのような資料が作られたのか、そしてどんな結果になったのかを実施したメンバーに直接聞いて学びました。
また、一般的なユーザビリティテストの方法を知りたかったので、「デジタルプロダクト開発のためのユーザビリティテスト実践ガイドブック」という本を買って学習しました。本以外でも、他社の事例も調べて、GiGO NAVIではどのポイントに重点を置くか考えました。

②情報の共有とテスト内容の決定

学んだことを基に、GiGO NAVIのユーザビリティテストで行う内容を参加メンバーに共有しました。具体的には、テストの詳細をどうするか、誰が何をするかを相談して決めました。この事前の話し合いによって、テストの目的がはっきりし、スムーズに当日まで進めることができました。

関係者への連絡と事前ドキュメントの準備に関しては、ユーザビリティテストを実施する店舗への連絡は、プロダクトマネージャーにお願いしてアポイントを取得しました。

③テスト項目の検討

テスト項目は、デザイナー、プロダクトマネージャー、エンジニアそれぞれの視点から必要なものを選んで決めました。エンジニアの意見が入ることで、実装上の懸念点の解消にもつながりました。
当日は各メンバーが役割を忘れないように、共通ドキュメントを作り、説明に使う文書も事前に記載しました。

テストの計画手順

①実施日時の検討

GiGO NAVIのユーザビリティテストでは、実際の運用に近い状況でテストを行うため、店舗業務が実施される時間に訪問しました。実データでのテストができるように、エンジニアが事前に準備を行い、店舗スタッフに実業務を行うタイミングで実施してもらいました。

参加メンバーの役割も事前に整理しています。テストには3人以上が参加し、以下の役割を分担しました。

・モデレーター:スタッフへの説明や質問対応、テスターとのコミュニケーション
・記録者:議事録の作成やテスト項目のチェック
・撮影者:テスト時の動作を撮影(画面撮影は別途行うため、動作の記録に特化)

②店舗スタッフへの説明

今回のユーザビリティテストの目的は、開発した機能を初めて使う状況で、その機能をどれだけ直感的に理解できるかを測ることです。そのため、事前のテストの流れの説明に加え、機能に関しては「XX業務の⚪︎⚪︎のタイミングで△△の画面に遷移して利用してください」とだけ伝えます。

③テスト項目書の作成

テスト項目書には、想定・期待される操作を記載し、実施した内容がそれに合致するかをチェックします。例えば、日付の絞り込みを実施する項目では「日付のテキストフィールドをクリックし、ダイアログ内で日付を指定して決定を押す」としていて、その想定と異なる操作を行った場合は×とします。
達成率はパーセントで表現し、必須項目と任意項目を分けて集計しました。また、作業完了までの時間を測定して、実装した機能が業務に与える影響も評価しました。テスト後にはインタビューも行います。


テスト項目書の例

当日のテスト手順

①テスト環境の準備

テスト前に撮影の許可をもらい、実際に利用するPCで画面共有のお願いしておきます。さらに、テストを実施する場所を確保してもらい、通信環境もチェックします。

②テスト説明

準備が整ったら、テスターとなる店舗スタッフにテスト内容を説明し、疑問があればこの段階で解消します。この時点ではテスト結果に影響を与えるため、機能についての質問には回答しません。

③テスト実施

ユーザビリティテストを実施します。途中で疑問が出た場合は、すぐに質問せず操作を続けてもらいます。進行に支障が出る重大なバグやエラーが出た時のみ、フォローをします。

④インタビュー

こちらはユーザビリティテストではなく、ユーザーテストの要素です。事前に決めたインタビュー内容や気になったことを伺います。しかし、その場で新しく出てきた質問が機能改善に役立つことも多いです。

⑤質疑応答

こちらもユーザビリティテストではなく、ユーザーテストの要素です。テスターから機能やGiGO NAVIの開発に関する質問を受けたり、使いづらい点などの意見交換を行います。

⑥次のアクション決定

想定していた店舗での全てのテストが終了したら、達成率と改善項目の緊急度を分けて次のアクションを決定します。達成率が基準に達しない場合、または合格基準に達していても業務上の重大な問題がある場合は、早急に改善に取り組みます。

振り返り

①リリース前の不安の解消 

機能開発中には、職種によってそれぞれの不安が出てきます。「この仕様やデザイン、これで大丈夫かな?」と感じることもあります。デザイナーは「ボタンは目を引くところにあるかな?名称はわかりやすいかな?」と考えますし、エンジニアは「データを読み込んだときに想定外のエラーが出ないかな?」と心配します。
テストを実施することで、これらの不安を解消でき、想定外の箇所で改善が必要な部分も分かりました。

②新たな利用方法の発見

最も驚いたのは、店舗スタッフから「この機能を使うことで業務の効率を上げられる別の使い方がありそうだけど、どうでしょうか?」という提案が多くあったことです。現場で働いてる方、さらにアルバイトや店長など様々な立場からの視点からでないと発見できない意見も多かったので、すごく参考になりました。

③店舗スタッフの気持ちの理解

テストを実施すること自体も良かったですが、実際に店舗に足を運ぶことで、GiGO NAVIに何を期待しているのか、どんなふうに使われているのかを知ることができたのも良かった点です。GiGO NAVIではこれまでも利用者向けの定期アンケートを行っているため、ピンポイントで意見を確認することは多いのですが、深掘りして実際の状況や困ってることを具体的に聞けて非常に有意義な機会でした。

今後の展望

今回は、開発実装後にユーザビリティテストを取り入れたベータテストを実施しました。たくさんの良い点がありましたが、やはりそれなりの時間もかかりました。今後は機能実装が完了してからのテストだけでなく、デザイン段階でのアンケートやヒアリング方法を見直すことで、改善のスピードを上げられるようにしたいと思っています。

この取り組みの結果、GiGO店舗スタッフが開発側へ意見を伝えることで、GiGO NAVIのユーザビリティ改善への期待値が上がったという意見もあり嬉しかったです。

2024年は3〜4ヶ月で3つの機能に対するユーザビリティテストを行うことができました!2025年もユーザビリティ向上に努めていきます!

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