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データ×BizDev GENDAを成長させる職種横断のシナジー プロジェクトPAOの裏側

ゲームセンターにおける象徴的なアーケードゲームであるクレーンゲーム。実はクレーンゲームを運営する上では、プライズと呼ばれる景品の発注や在庫管理に関する課題がありました。

GENDAのデータチームとGENDA GiGO Entertainment (以下GGE)のマーケティング部が手を組み、プライズの在庫と発注の最適化を行うプロジェクト(プロジェクトPAO)を進めました。その結果、わずか数ヶ月で劇的に数値を改善できたそう。今回のGENDA noteでは、HRBPの萩原美緒が聞き手となり、プロジェクト成功のキーパーソンである松沼雄祐・戸松真太朗に、チーム横断でのデータ活用について聞いてきました。


プロフィール

松沼 雄祐
株式会社GENDA 経営戦略室 BizDev&データアナリスト 兼 GENDA GiGO Entertainment マーケティング部部長
2012年3月に大学卒業後、株式会社サイバーエージェントへ新卒入社。メディアマネタイズを軸にAmeba広告部門のセールスリーダー、広告商品開発を経験し、AbemaTVの広告事業立ち上げのタイミングで出向。広告事業を軌道に乗せるまでを経験。2017年4月にウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社に入社。ライセンスビジネスから自社テレビ局のデジタル広告の商品・営業の責任者に就任。その後、2019年より立ち上がった動画サブスクリプションサービス「Disney Deluxe / Disney+」事業に参画し、事業戦略とビジネスインサイトの抽出に従事。2023年5月に株式会社GENDAに入社。

戸松 真太朗
株式会社GENDA IT戦略部データチーム Data Scientist
2019年3月に大学院(修士)修了後、横浜市立大学データサイエンス学部の研究補助業務に従事。2020年6月からX(旧Twitter)のデータを取り扱うベンチャー企業で分析、研究開発業務を経験。機械学習、自然言語処理、ネットワーク分析、統計モデリングを担当。2023年8月に株式会社GENDAに入社。

データ分析を受けて一気に進んだ検証プロジェクト

ー萩原:7月にデータチームとGGEのマーケティング部の協業で大きな成果が出た、という話を様々なところで耳にしました。ぜひ、何が起きたのか、どんな成果だったのか教えてください。

松沼:ご存知の方も多いゲームセンターのGiGOですが、現在、全国に約300店舗あります。どのお店にも当たり前のようにクレーンゲームがあり、ゲーム機の中には「プライズ」とよばれる景品が入っているのですが、この発注作業が実はとても大変なんです。

例えば、池袋にある『GiGO総本店』のような大規模で、たくさんの景品を消化できる店舗は、一定の予算もあり、お客さんが求める景品を発注することができます。一方で小規模店舗や郊外の店舗ですと、そこまで予算がなく、且つ大量に発注しても捌き切れない。そのため大規模店舗から余った在庫が回ってくるという事態が起きていました。

 右:松沼(経営戦略室 BizDev&データアナリスト) / 左:戸松(IT戦略部データチーム Data Scientist)

加えて、大型店の場合は、景品を事前に大量発注することで不良在庫を抱えてしまうといった課題が、小規模店の場合は、そのタイミングでベストな景品をうまく用意することができないといったそれぞれの課題がありました。小規模店では景品を用意できないため、ゲーム機を埋めることに一苦労という状態だったのです。

しかし、実際にデータを見ると、お客さんは流行の景品が欲しいので、良い景品を用意することができれば売り上げは上がるんです。データ分析から、もし仕組みを改善することができれば、売り上げアップが見込まれることが見えてきて、一気に全店舗で効果検証をしました。

ー萩原:え!?一気にですか?Speed is Kingにもほどがありますね... (驚)

戸松:そうなんです。実際に「こういう課題があるよね」と分かったのは、松沼さんがGGEのマーケティング部部長に就任した2月でした。その後データチームと連携し、テクノロジーを駆使することで改善できそうか探り、3月にはキックオフを行いました。

実際の景品割り振りは5月から始まったので、かなりのスピード感でしたね。

松沼:キックオフから結果が出るまで、実質2ヶ月でしたね。私が出向したことでGGE側の方々も同じチームに入ってくださったので、とても進めやすい環境でした。

キックオフから2ヶ月...チーム一丸となって進んだ結果、驚くべきインパクトが

ー萩原:今回、データチームの貢献も非常に大きかったと聞いています。

戸松:はい。GENDAのデータチームはデータの品質が重要であると考えています。普段からしっかりとデータ基盤やメタデータ管理を行っているので、様々なデータにすぐアクセスできるんです。

今回のプロジェクトに必要なデータも、すでに品質が高い状態に整備されていたので、素早く着手することができました。

また、GGE側の方々も全面協力してくれました。チーム一丸となってオープンにプロジェクトを進めていこう!という雰囲気ができていましたね。

ー萩原:関係者も多く、全店舗にまたがるプロジェクトですが、もう少し後回しにしようという雰囲気はなかったのですか?

松沼:なかったです!実際、GiGOの売り上げの多くはクレーンゲームで生み出されていたため、そのボトルネックを解消すればもっと売り上げは上がるはず、という意識が皆にありました。

また、発注や店舗間の振り分けの精度を上げることで、店舗に出すことができなくなった景品の廃棄率を減らすことができますし、成功のイメージが明確にあったんです。一方で、扱うべきデータの量が膨大なので人間の処理能力には限界があります。以前は、数万件におよぶ各店舗への景品割り振り作業が人力で行われていたんです。そのため、解決したいけど一体どうしたらいいんだ...という課題意識も共通して存在していました。

そこに対して「GENDAのデータチームと協業する」ことで、具体的な解決の道標が見えました。「店舗 × 景品の割り振りロジックを作成し、自動化することで、各店舗の「店舗ごとの景品発注計画」に対する「実際の割り振り」の乖離率を是正する」というプロジェクトはこのように始まりました。皆の協業のおかげで、予算消化率のばらつきが大きく改善しました。
戸松:「景品」に関していえば、例えばそもそもの発注ロジックを見直すという手段もあったかと思います。でも、今回は振り分けのポイントにフォーカスしました。その背景には、GENDAデータチームリーダー小宮山さんの、「データ整備の観点で、こちらから着手した方がいいんじゃない?」というアドバイスも大きかったです。

そんな風に各チームが協業した結果、今回は課題と施策の切り分けを非常に早く行うことができました。

ー萩原:まさに「Speed is King」「Enjoy our Journey」を体現していますね!実際に結果が出るまではどのような気持ちでしたか?

戸松:私は、データサイエンティストとしてプロジェクトに着手はしたものの、最初はまだまだ人力の方が精度が高い状態でした。そのため、少し時間をかけてでもロジックを強化し、精度を上げていけたらと思っていました。

松沼:不良在庫を抱えることは、大きな問題のひとつだったんですね。在庫廃棄はもったいないですし、廃棄にあたって費用もかかります。加えてお客さんも目当ての景品がないと再来店をしてくださらなくなる。負のスパイラルです。ここを解消することでwin-winになる未来は見えていました。

「楽しさの総量を増やす」に直結する結果に

ー萩原:今回の成果について、関係者の皆さんはどのような反応でしたか?

松沼:大喜びしてくださいました!プライズ調達課の皆さんは、月の数日は丸々割り振り作業にかかりきりになっていたんです。数万行のExcelファイルに向き合っていた時間を別のことに使えるようになったことは、私たちも嬉しく思います。

また、各店舗に良い景品が届くということは、日本全国で楽しさの総量が増えている、ということですよね。これもチーム一同、嬉しかったです。

戸松:大喜びされている様子を自分も見て嬉しかったです。テックチームとしては、これまで『GiGO NAVI』や『デジちゃいむ』でのDX経験もあったため、その延長線で成果に繋がったので、良かった!という雰囲気でしたね。

松沼:これまではこのような業務課題に対して、どこまでアウトカムに繋がるか?という視点はまだ足りなかったように思います。データを整えることがゴールではなく、そこからいかに売り上げを伸ばすかが本来やるべきことです。これができたのは、データチームの事業成果に向き合う意識が高かったことも大きな要因のひとつだと思います。これからも戸松さんをはじめ、データチームの皆さんと様々なプロジェクトを進めていきたいと強く思っています。

戸松:データチームの今期目標は「事業インパクトへの貢献」です。まず成果をあげたいと思ったときに、今回の課題はまさに渡りに船でした。周囲の皆さんの理解もあり、注力できる環境だったことは幸運だったと思います。

松沼:成功の要因として、チーム間の関係が非常に良いことも、挙げたいです。この課題を「説明可能な状態にする」BizDevと、その課題を「具体的に、高い能力で解く」データチーム。どちらが欠けても実現しないプロジェクトでした。今回は、タッグを組み、双方のチームが力を発揮すれば、成果を出せることが証明できたこともとても嬉しかったです。

戸松:そうですね。でも個人的にはまだまだこれからだと思っています。メインディッシュどころか、前菜も出ていない状態ですね!

ー萩原:今回の事例を踏まえて、これからやりたいことを教えてください。

戸松:GENDA IDがリリースされたこともあり、今後GENDAが持つデータはよりリッチになります。それらのデータに加えて、現在検討しているAIカメラ等の施策により、より発注や景品割り振りの精度が上がることが期待できます。GENDA全体でタッグを組み、さらに大きな成果へ繋げていきたいです。

松沼:そうですね。そして私は、データを使ってエンタメを科学していきたいです。GENDAには、GiGO以外にも、様々なエンタメ事業がありますが、まだまだアナログ業務な部分も多いです。そこをデータチームと一緒に解き明かし、世界一になる道程を歩んでいきたいですね。エンタメの長い歴史の中でもぐっと深淵に触れていくことになりますが、成功している企業はあまりないです。GENDAがまさに第一人者になりえるということですね。

今回の事例はGENDAの経営陣にもとても喜んでもらえました。GENDAの一の矢であるM&A、そして二の矢であるシナジーの創出。そこに三の矢が出てきた、と認識いただいています。

これからも様々な企業が増えていくと思いますが、「GENDAに入るとこんなふうに業績にインパクトがあり、ナレッジが活用できるのか!」という好事例になったと思います。今後グループとなる企業や、すでにグループにいらっしゃる企業に対して、引き続き、貢献していきたいと思っています。

ー萩原:お二人とも、ありがとうございました!今後もたくさんの「三の矢」を打ってくださることを期待しています!

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