不動産賃貸業なら知っておくべき重要ワード「現状回復ガイドライン」とは?|不動産賃貸管理に便利な情報記録・共有アプリ「GECHO」
今回は不動産賃貸業でトラブルの起こりやすい、退去時における「原状回復」について考えていきましょう。
原状回復ガイドラインとは?
原状回復ガイドラインとは、正しくは「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」のことで、国土交通省が定めている「入居者に対して生じる原状回復義務の範囲」について記載されているものです。
賃貸退去時の引き渡しでは、管理会社の方が実際に物件に来て、入居していた方がいる場面で確認をしますが、その際に見つかった傷や破損について、「どこまでを入居者の過失とするのか」「どこまでの原状回復が必要なのか」を明確にしておかないと、責任の所在が明確にならず、トラブルが起こります。それを防ぐため、また、早急な解決のためにあるのが、この「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」です。
このガイドラインの内容を良く理解しておくことは、不動産賃貸会社の方以外にも、一般の入居者にとっても大きなメリットがあります。
例えば、退去時に敷金が不当な理由で変換されなかったり、説明なしに高額なハウスクリーニング費用を請求されるなどのトラブルに、慌てず対応ができるようになります。
「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」には、過去のトラブル事例もまとめられているため、トラブルが起きた際、正しく判断できるように知識として入れておくと、トラブルの早期の解決に繋げられます。
とはいえ、「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」は150ページ以上もありますので、なかなか自分一人ですべてを理解・把握するのは難しいかと思います。
最近では、ZOOMなどで、原状回復ガイドラインについての解説をしてもらえるセミナーも開催されているため、新人さんへの研修や、改訂された内容がある際にはこういったセミナーを活用しながら、チェックするとよいでしょう。
ガイドライン上の「原状回復」の定義
ガイドライン上での原状回復は、「賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失。 善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損を復旧すること」と定義しています。
これまで「原状回復」のトラブルで起きた際、裁判所での「原状回復」の定義は、①建物の通常損耗分をもとの状態に回復することではなく ②賃借人の故意・過失等による劣化の回復を意味する との判断がされてきましたが、その考え方を受けてガイドラインは作られています。
これは賃貸借契約の対象となる建物の価値は、そもそも時間の経過により減少するものであり、賃借人が物件を定められた使用方法に従って、社会通念上通常に使用していれば、賃貸借契約終了時に当初の状態よりも建物の価値が減価していたとしても、そのまま賃貸人に返還すればよい、という考え方に基づいています。
建物の通常損耗分は、賃貸人としては、建物の減価が進行する過程で減価償却費や修繕費用の必要経費分を賃料に含めて支払いを受けて回収してきているので、原状回復の対象となるのは、賃借人の故意・過失等による劣化分ということです。
大家(管理会社)と入居者の責任範囲
▼大家さんや管理会社側が修繕
・経年劣化による壁紙の日焼けや備え付けられた設備の破損
・一般的な使用法で発生する汚れや破損
▼入居者の責任
・賃借人の故意や過失による破損
・善管注意義務違反
・一般的ではない使用法で発生する汚損や破損
原状回復ガイドラインの変遷
原状回復をめぐるトラブルが急増したことを受けて、トラブルを避けるために、また、トラブルが起きた時の対応のためにガイドラインが作られ、改訂されてきました。
定期的にガイドラインの改訂がないかのチェックをして、情報をアップデートしていきましょう。
【ガイドラインの大きな改訂の流れ】
平成10年3月:当時の建設省が原状回復に関するガイドラインを公表
平成16年2月:その後の裁判例等を踏まえた改訂
平成23年8月:国土交通省が原状回復ガイドラインの一層の具体化を進めたほか、原状回復のためのルールを普及させるために手順を明確化させるなどの内容を取り入れ、原状回復ガイドラインを再改訂
※参考記事:全宅管理 原状回復基礎知識
トラブルを起こさないための「原状記録」と便利なアプリ
原状回復が必要ということは、物件を入居者に引き渡す前と退去した後で比較できるように、「原状」をしっかり記録しておく必要があります。
その記録に便利なアプリが【GENCHO】です。
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