移住初日。ベルリンの洗礼を受ける

2022年7月。ちょうどワーキングホリデーを検討していた矢先に発生したコロナによる待機期間を経て、ようやく私とパートナーはベルリンの地を踏んだ。

これまで二人ともベルリンはおろかドイツにも来たことがなかった。
移住先として選んだのは私の10年来の友人が一足早くベルリンに住み始めていて、街や人の様子をいろいろ教えてくれたからだった。

その友人、インドネシア出身のリサとパートナーのドイツ人のクリスチャンが親切にも空港まで車で迎えに来てくれた。

5年ぶりの再会、しかも出発直前まで何度も電話でやりとりしてきたのでとうとう直接会えたのが嬉しすぎて空港で大喜びした。そしてお互いのパートナーとは初対面、なるほどこんな人と付き合ってるんだねって感慨深く思ったり。
私もリサも学生時代はあまり恋愛に希望を持っておらず、我々が誰かパートナーを見つける日は来るんだろうかと語り合ったこともあったから。

一段落したのち、さてあなたたちの車はどれ?と目で探して、小さな赤い車を指さされたとき、思わず笑い出してしまった。

それは日本の軽自動車よりも小さな車で、後部座席の背もたれの後ろにわずかばかりのスペースがあり、そこがトランクだった。
私たちは大人4人、みんな決して小柄とは言えない。
荷物は極限まで減らしてきたものの大きなスーツケースが2つ。

諦めが早い私は一瞥しただけで無理だと悟った。
荷物だけ載せてくれたら私たちは電車で移動するからというのには耳を貸さず、クリスチャンがごそごそとトランクをその場で片付け始めた。
座席の位置を極限まで詰め、各人が膝の上にまで荷物を載せると、身を縮こめるにしてなんとか4人収まることができた。

この小さな車の収納量に感嘆しつつ、いざ市内へ向けて出発。
いろいろベルリンを案内してくれた。

2ヶ月だけサブレットで借りた家の近くにあったクラシックカーの博物館。
入場料はかからなかった気がする。乗り物好きの人にはとてもおすすめ。

途中でベルリン名物カリーブルストの出店(焼いたソーセージにカレー粉入りのケチャップ)も食べたよ。

※(あれから何度も食べたけど、正直あまりカレー風味は感じない。つまりはほぼ普通のソーセージ。そして日本のソーセージのほうが美味しい気がする…これって名物って言っていいの…?ずっと疑問に思っているけど口に出したことはない。今書いちゃったけど。)

到着したその日はベルリン最大のレイヴパレード、通称「ラブパレード」(前身はRave The Planet)の日だった。
行ってみる?って気軽に聞かれて、うん!って気軽に応えた我々は無知だった。

あれはパレードという領域じゃないと思う。
テクノクラブがそのまま行進しているかのようだった。見渡す限りキメッキメに決めた人々。ベルリンの人々の本気のおしゃれって本当にすごいのよ。露出、網タイツ、レザー、色とりどりの髪色、タトゥー、その間を流れる大麻の濃いにおい。
みんな踊り狂いながら、爆音のスピーカーを搭載したトラックについて行く。

圧巻だった。
十数時間のフライト後の時差ぼけ、寝不足の身に重低音が染み渡る。

東京のクラブからも遠ざかっていた私はベルリンの洗礼を受け、そのせいか分からないけれどその後日発熱した。知恵熱ってやつかな。

そんなこんなでスタートした私たちのベルリン生活。
この文章を書いている現在、丸二年が経った。
これまで新天地で生活を築いていくのが本当に大変で、まとまった文章にする体力が取れなかったのだけど、ようやくなんとか書けそう。
異国で生活する感じを楽しんで読んでもらえたら嬉しいです。

次回!【私がその店で働くきっかけになったのは、一杯のコーヒーだった。】


※友人の名前はすべて仮名です。


プロフィール
日本で抜毛症のボディポジティブモデル&ブロガーとして活動したのち、ベルリンに引っ越し。
現在はエッセイスト、ライター、バリスタ、ダイバーシティーモデルとして活動中。
インスタ遊びに来てね▶ Gena_2046

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