巨大な黒船の襲来、Japan FinTech Festival(金融・フィンテックの祭典③)
神田明神でカンファレンス?しかも全てのセッション英語で同時通訳もなし?
日本で開催しているとは思えない常識を覆すセッティングだが、これこそがJapan Fintech Weekの中のメジャーなカンファレンスの一つJapan FinTech Festival である。今年三月に開催のカンファレンスの意義、そしてそこから見られる日本の金融でのイノベーションの起こし方など考察してみたい。
Japan FinTech Festival とは?
フィンテックの領域に関わって長い人達などは知っているかもしれない、世界中で一番規模の大きいフィンテックの祭典は毎年12月に開催されるSingapore FinTech Festivalである。シンガポール当局のシンガポール金融管理局(MAS)とエレバンディ(Elevandi)が主催し、戦略的国家プロジェクトとして毎年名だたる金融、フィンテック、テクノロジー業界のリーダーやイノベーターたちがこぞって登壇をし、金融やフィンテックの現在や未来について語るカンファレンスであり、毎年日本からも多くの人がシンガポールに訪れるイベントである。昨年の参加者は驚異の66,000人以上とのこと。
そのElevandiが日本法人Elevandi Japanを2023年に立ち上げ、日本起点としてフィンテック領域に大きなムーブメントを作るために日本でも開催したのがJapan FinTech Festival(以下JFFと表記)。
今年の参加者は2,300名以上で44%が海外からの来場者とのことで、特筆するのはその海外からの来場者の多さ。Japan Fintech Weekの中の2大カンファレンスが金融庁と日経主催のFIN/SUM(僕のFIN/SUMについて書いたnote:「FIN/SUM:日本のすべてに金融の興奮を(金融・フィンテックの祭典②)」参照)と、このJFFであるが
といったイメージである。誤解しないでほしい、どちらが大事というわけでなくどちらも必要な観点である。ただし今でもJFFのようなグローバルコンテンツによるディスカッションであったり情報発信というのはまだまだ機会が日本では少ないので、そこには重要な存在意義があり僕も微力ながら力になれればということで今年JFFのアンバサダーとして就任させてもらっている。
グローバルコンテンツには英語が必須
44%の来場者が海外からの来場者、そして内容もグローバルコンテンツとなるので自然と公用語も英語になる。ただ全てのセッション同時通訳もなしという割り切りには少し驚かされた。ただカンファレンスがプレゼンを聞く場所だけでなく、ネットワーキングやディスカッションなどをする場所と考えればその割り切りも納得がいくものであるが、
・グローバルコンテンツ
・多くの海外からの来場者
・英語オンリー
の組み合わせということもあり、実際の会場もとても多様性の富んだ参加者により世界の動向や、海外フィンテックによる日本でのチャンス、日本の世界での立ち位置などがとてもアクティブに英語で会話をされており、ある意味日本の金融・フィンテックカンファレンスへの「巨大な黒船の襲来」といった絵図でとても興味深かった。
黒船カンファレンス注目セッション
そんな黒船カンファレンスの中で僕が注目したセッションはこちら
金融機関だけでも、米系、欧州系、アジア系、日系と入り乱れていてとてもユニークな体験だった。AI、B2B決済、トレードファイナンス、資産運用、ウェルスと多岐にわたるトピックであるが共通の大きなテーマとして各セッションで多く聞かれたのが
やはり黒船側コンテンツはグローバルなディスカッションなので、どのようにユースケースやソリューションやプラットフォームを広く持ち、世界的な問題を一気に解決するか、というのがグローバルな視点のイノベーター達の共通の大事なトピックであった。
黒船のプレッシャーは意味があるの?
ただしここは日本である。日本はユニークな市場であるし、それなりに大きな国内経済を抱えている。こんな黒船カンファレンスで英語でディスカッションしても日本で起こってることには何も影響がなく意味がないんじゃないの?などという意見も聞こえてきそうである。
ここは声を大きくして言いたい、「ものすごく意味がある」。金融の世界は社内だけではなく社外ともワークフローが繋がっており業界横断のイノベーションは1社だけでは進められず、多社の参加が必要となる。そしてその場合金融市場に関わる業務フローやB2Bのフローなどだと多くで日系国内金融だけではなく外資金融の参加も必要になる。そして日系金融と外資金融はビジネスの分散や人材の配置など大きく違いがあり、両側の観点を理解し効率よく業界参加者が動くことができれば黒船のプレッシャーも追い風と活用して業界のイノベーションを加速することができるのである。
自分達も金融市場側での業務フロー高度化などのプロジェクトで採用していた手順は
このような手順を踏むことで
・テクノロジーのリソースが比較的多い外資金融が日本でも業務効率化の事例を他の金融に先駆けて他社に見せることができる(黒船のプレッシャー)
・目の前で全く同じ業務の効率化の事例を見ることができ日系金融も含めた他社も社内で説明、自社でも前進がしやすい。日本で良くある「自分の業務と全く同じ事例見せて」「全く同じ事例でないと自分の業務をどう高度化するのか想像できない」(命名:事例見せて地獄)のループからの脱出が可能。
など、黒船のプレッシャーも活用して業界の業務フローの高度化を進めることができるのである。
日本の市場はそれなりのスケールがある上に多くの日系金融機関だけでなく、多くの外資金融機関も活躍するユニークな市場である。そのような市場で、イノベーションや業界の変革を進めるときに黒船のプレッシャーが有効な手段の一つであることは間違いない。JFFはそのような意味で金融・フィンテックのカンファレンスの角度から素晴らしい黒船のプレッシャーを作ることをスタートしているので、そのプレッシャーからどのようなイノベーションなどが生まれるかこれからも楽しみである。
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