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(Web3)NFTホワイトペーパーを読んで

皆さんNFTホワイトペーパーは読んだだろうか?「Web3.0(ウェブスリー)時代の到来は日本にとって大きなチャンス。しかし今のままでは必ず乗り遅れる。」とスタートする日本の成長戦略にとても大事な草案だと思われる。ちなみにこの記事のサムネールおよびタイトルの写真は僕が実際にこのホワイトペーパーを読みながらメモを取っていた実物の印刷物である。

ちょちょちょ、ちょっとまって「うぇぶすりー?なんじゃそれ?」という人はWeb3の解説記事を以前書いているのでぜひ参考にしてほしい。

このホワイトペーパーの背景には、やはり「日本が遅れている」という焦りがある。アメリカで3月に出た大統領令というのがかなり話題になったが先進国各地ではWeb3に対するコミットメントがある程度出ているが日本はまだはっきりとは出ていない。このホワイトペーパーがその0.5歩目の提言という位置づけだと理解している。

また平議員がABEMA PRIMEの番組でも語っていたが

“大人の事情”から“NFT”がついたプロジェクトチーム名になり、私も平井さんから担当として指名されたが、ブロックチェーン、暗号資産、NFTの先にはメタバースはもちろん、DAO(分散型自律組織)とかDeFi(分散型金融)のような実社会と同様なものが出てくる世界観になってきた。

「NFTだけに注目していると見誤る。暗号資産やNFTの先にはメタバース、DAO、DeFiが来る」自民・平将明議員が語る「新しい資本主義」と「Web3.0」
https://times.abema.tv/articles/-/10022674

ということで、このホワイトペーパーこそ「NFTホワイトペーパー」と名付けられているものの、設計図として作ろうとしている世界はブロックチェーン、暗号資産、メタバース、DAO、DeFiなどを含むWeb3の世界であり、NFTに限った話ではない。

一人で考えるよりも「集合知」のClubhouse

このホワイトペーパーの緊急性、そして読んで考えるのが大事なことは分かった。そして実際のホワイトペーパーへのリンクはこちら。

NFTホワイトペーパー(案)Web3.0時代を見据えたわが国のNFT戦略
NFTホワイトペーパー(案)Web3.0時代を見据えたわが国のNFT戦略(概要版)

とは言っても政府のプロジェクトチームが書いたホワイトペーパー。専門用語もたくさん出てくるし、一人で読んでも煮詰まってくる。さて、そんなときは一人で考えるよりも「集合知」。毎週のDXを語ろう!のClubhouseでこのトピックについても土曜日の夜にひたすらディスカッションしてみた。

このホワイトペーパーは以下の6点の課題意識と提言をしている。
① Web3.0の論点につき、時代を見据えた国家戦略の策定・推進体制の構築② NFTビジネス発展に必要な施策
➂ コンテンツホルダーの権利保護に必要な施策
④ 利用者保護に必要な施策
⑤ ブロックチェーンエコシステムの健全な育成に必要な施策
⑥ 社会的法益の保護に必要な施策

縦割りからの脱却は可能?

面白いことにClubhouseでのディスカッションではいきなり①の「国家戦略の策定・推進体制の構築」の部分で早速活発なディスカッションになった

・Web3.0担当大臣を置くことが正しいのか?
・省庁横断の組織など機能するか?
・デジタル庁で横ぐし、横断的な組織は失敗したのではないか?

確かにデジタル庁に関しては最近不穏なニュースが流れており苦しんでいるようにも見受けられる。
「会議に出たくない」 デジタル庁、民間出身職員が反発(日本経済新聞)
デジタル庁職員、職場に不満 「激務」「風通し悪い」(共同通信)

ただこの「苦しみ」は構造的に一般企業のDX推進と同じ苦しみに見える。

・デジタル推進部を作ったが、現在の収益を出している既存のビジネスのグループの協力を得られない
・デジタル推進部がフロントのビジネス再構築の部のはずなのにITインフラ部の仕事をしてしまっている
・上の理由などで横断的な組織が機能せず何も進まない

などここ2年DXを進めようとして苦しんでいる一般企業の姿である。ただここには特効薬は存在せず、一度で成功しなくても何度でもトライして横断的組織を成功させて、縦割りの組織を壊して決断できプロジェクトも進められる組織になるしかないのは一般企業だけではなく政府も、という構図である。

つまりデジタル庁、またWeb3担当の横断的組織の構築と成功はある意味政府自身のDX変革といえるかもしれない。これに関しては政府、各省庁、関係者にはぜひ頑張ってほしい。

「個」が強い世界は究極の格差世界?

さて視点を政府から我々個人に戻そう。ホワイトペーパーの残りの

② NFTビジネス発展に必要な施策
➂ コンテンツホルダーの権利保護に必要な施策
④ 利用者保護に必要な施策
⑤ ブロックチェーンエコシステムの健全な育成に必要な施策
⑥ 社会的法益の保護に必要な施策

ではどのように各プレイヤーの権利などを保護しながらクリエイターエコノミーを作れるか、などの議論がされている。ここで大事なのが「保護しながら」という観点。保護しながらということなので、まずはルールをしっかり作ってからでないといろいろな商品の扱いや取引ができないといった順序になる。

ここで当然出てくるのが

・日本のルール作りや決断は遅い
・まだ形がはっきりしていないものにルールを作ってしてからしか取引ができないのはナンセンス
・他の国ではできることを日本でも出来るようにしてほしい
・日本のルール作りや税制の理由で日本では効率よくビジネスをスタートできずグローバルなタレントが海外に流出する

などのフィードバックである。すべてその通りであるが、ここで意識しておかないといけないのはこの「保護」が少なくなるもしくはなくなるということは個人の責任が増える、ということである。

・今よりも市場やルールが確立していない商品を作り出したり取引したことができるようになる
・今よりハイリスクな商品に個人が投資することが可能になる

このようなことを考えると、この「保護が少ない世界」「個人の責任が増える世界」への前進というのは大成功も大失敗も今より簡単になり、今より極端な格差社会への一歩かもしれない。ただ既にWeb3または「個」が強い世界へのムーブメント進んでおり、繋がった世界の中で完全鎖国でもしない限りその動きから逃げることもできないと思われる。

ここで「中央集権がいやだ」「もっと個の強い世界を作りたい」と思うのであれば「政府や当局がすべて決めるのを待とう」というのはナンセンスな中央集権頼りなので

・民間が自分たちでどのように不必要に激しい格差社会になどならないようにルールなどを考え政策提言を出す
・政府の取り組みなどにも興味を持ちフィードバックを出す

など、自分たちに影響するものを自分たちの「個」の力や「個」の集大成である程度のことは自分たちで考えて進めたり、声をあげたりすることが大事な世界感なのではないだろうか?既にそのような活動をしている方たちもいっぱいいるがもっともっといろいろ考えて、発信して、政策提言などをしてということをする人たちが必要だと思われる。

グローバル人材不足に対する施策

そして自分たちが声を上げないといけない「個」が強い世界に向けてということで、ここは個人的な見解なのだがフィードバックも取れればと思いClubhouseのセッション中にも紹介した自分の意見をここでも共有しておく。日本が縦割りな組織から脱却できない、他国と比べて暗号資産系スタートアップにやさしくない税制から脱却できない、他「日本的」なしがらみから脱却できない理由の大きな一つは日本の働き手の多様性不足だと思っている。グローバル人材の不足などが語られ

・世界で活躍できる人材が少ない
・日本人の英語のレベルが低い

などの問題をいまだに抱えながら、これを教育を変えるという形でこれから将来の世代で解決というのでは今の変化の多い世界に対して遅すぎる。そこで自分が考えるのが今の日本の働き手や企業を変えていくということで

日本企業の人材の多様性の向上をサポートするために、企業での日本人以外の雇用をある程度の%のガイドラインを設けること

である。このある意味「多様性を強制する」方法というのは実は効果的で日本の社会はこのようなことに対応することはある程度得意であるイメージがある。既に女性雇用の件や障がい者雇用の時にも同じような施策は取られているが、そのたびに社会や企業は数々のルールの見直しなどを行い対応してきている。ある程度の定義のブラッシュアップは当然必要であるものの企業での日本人以外の雇用を進めることにより、例えば

・職場での英語の活用の促進
・終身雇用に対する疑問と人材の流動性の促進
・インターナショナルスクールや教育環境に関する施策の必要性
・東京だけでなく地方でも対応の必要性

など色々な問題が表面化し、対応が必要になるがこれこそが日本にグローバル人材を増やすため、日本をグローバルな舞台で競争力を上げるために必要な施策であると思われるので前進への加速になるはずである。

ちょうど東証の市場区分も見直されプライム市場、スタンダード市場、グロース市場と再編されており、特にプライム市場は「グローバルな投資家との建設的な対話を中心に据えた企業向けの市場」とあるので、まさにこのようなグローバル人材の雇用にコミットするのはグローバルな投資家との対話に向けて近道であるといえる。これが実現すれば日本の「グローバル人材不足の問題」を学生の教育側と働き手である企業側両方から挟み撃ちですることができる。

この件は自分でも進められるところで進めてみようと思っているので、ぜひフィードバックも聞きたい。

ここでNFTホワイトペーパーを読んでディスカッションしての考察は終了。何かの「答え」を求めていた人には少し物足りなかったかもしれない。そしてもちろんこのnoteを読んだけど実際のホワイトペーパーを読んでいない人には是非少しの時間をとってホワイトペーパーに目を通して、自分の既存のビジネスへの影響やどのように前進するかなどを考えてほしい。これからの「個」が強い世界が構築される中で、それを理解して自分の意見を持って表現することはとても大事なスキルであること間違いない。

ちょっと宣伝:「メタバースと国際金融都市 〜メタバースは世界を変えるのか〜」

やはり世界をつなぐWeb3の世界感と国際金融との関連性というのはとても面白く、来る2022年5月26日に日本橋兜町の Book Lounge Kable にて以下のイベントにパネリストとして登壇いたします。

豪華なパネリストたち(僕以外へのコメント。。)
上原 玄之 Symphony アジアパシフィック地域 戦略・企画担当
東海林 正賢氏 一般社団法人オルタナティブデータ推進協議会 代表理事
前田 順一郎氏 立教大学大学院客員教授(人工知能科学研究科)。公認会計士・税理士・行政書士。マンチェスター大学MBA。
増田 雅史氏 森・濱田松本法律事務所 パートナー弁護士
・(モデレーター)牧之瀬 mumu JIAM エキスパート 福岡Global Finance Center (GFC) 責任者

そしてパネルの後にはジャズのライブもあるのでぜひふるってご参加ください💪。

フィードバックもDX加速の仲間も募集しております

是非このnoteへのフィードバックも聞きたいし、こんな目線での業界のDXなど一緒に仕事をするパートナー企業や個人募集しております。

意見交換をしたい、一緒に仕事をしたいなどお声がけしていただければとても嬉しいです。SymphonyでGen Ueharaまでメッセージを送っていただいてもかまわないし、こちらどちらからコメントでもフォローもよろしくお願いいたします。
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では楽しい世界をみんなで頑張って築き上げましょう!


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