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保険業界の解体新書:ホケンノミライ(金融・フィンテックの祭典④)

Japan Fintech Weekには保険にフォーカスしたイベントもあり。


さて今年の金融庁企画の壮大なJapan Fintech Weekについてnoteを書いてきたが、今回のホケンノミライのイベントが4部作の最後である。今まで書いてきたnoteはこちら。
壮大なJapan Fintech Week(金融・フィンテックの祭典①)
FIN/SUM:日本のすべてに金融の興奮を(金融・フィンテックの祭典②)
巨大な黒船の襲来、Japan FinTech Festival(金融・フィンテックの祭典③

さて、Japan Fintech Weekというとトピックとしてはフィンテック(AIやブロックチェーン、暗号資産を含み)、銀行、証券の話が多い。その中でもホケンノミライはGuardTech検討コミュニティという保険業界での協業・共創を推進する有志団体により企画された保険のイベントである。(注:僕はGuardTechに参画している。)このイベントが「なにかすごい保険イベントをやろう」というノリでの企画のスタートという秘話は以下のインタビューに書かれている。こちらもオススメ。

「保険」ってどれくらい興味を持たれている?

ちょっと寄り道をして、Japan Fintech Weekの中だとフィンテックや銀行や証券寄りのイベントが多く、そこにホケンノミライが保険のイベントということで異色なのだが、「保険」はどれだけ興味を持たれているのだろう?

ちょっと雑な分析ではあるがGoogleTrendsで1)銀行、2)証券、3)保険、4)フィンテック、5)AI の過去5年の検索のトレンドを見てみる。

GoogleTrendsより

ふむふむ。
銀行:圧倒的にこの5つのキーワードの中では検索が多い。そのトレンドは5年間大きな変化はない。
保険:銀行の次に検索が多い。こちらもトレンドに大きな変化はない。
証券:保険に続き3番目。この5年間で上昇のトレンドがある。
AI:4番目であるものの2022年以来大きな上昇トレンドがある、というのはとてもわかりやすい動き。
フィンテック:他の4単語と比べるとその検索のトレンドは小さすぎて計測不能(こちらフィンテック勢としては悲しい結果)。

では各キーワードの関連したクエリを見て実際に何に興味あるのか、などが少しでも分かれば。

銀行

GoogleTrendsより

なぜSMBCが色々な形で検索のトップに上がっているのかはちょっと気になるがトレンドとしてはやはりATMやオンラインポータルを探すためであろうか?大手から各銀行が検索されているように見える。

証券

GoogleTrendsより

証券も個社名の検索が多いが、ここで見られるトレンドはオンライン証券会社が検索されているということ(大手対面ではなく)。確かにオンライン証券のポータルに行き、売買などのアクションにログインする必要があるからと想定される。また過去5年間で上向きのトレンドがあるのは貯蓄から投資への動き、もしくはNISAや新NISAなどの影響だろうか。

保険

GoogleTrendsより

ここで面白いのが保険になると個社名はトレンドに全く出てこない。これが
・保険会社の顧客接点が少ないから、なのか
・「保険」という単語が「保険会社」よりも「保険のプロダクト」と繋がるから、なのか
・保険業界が顧客接点よりもプロダクトアウト(注:作り手の理論や計画を優先させる方法)、なのか

その理由はこの時点では分からないが、銀行や証券と検索のトレンドが全く違うことはとても興味深い。

ホケンノミライに戻って

さて当日のカンファレンスだがとても豪華なセッションが並んでおり(リンク)、保険業界の今、現在のトレンド、重要なテクノロジー、そして未来についてなど保険業界の中の人たちが情熱を持って話すとてもユニークな場だった。

「ホケンノミライ~何が変革を阻むのか~」

「ホケンノミライを、デザインから考える」

「有志コミュニティ・越境人材が切り拓くホケンノミライ」

「DeFi型保険の最新動向と保険会社が押さえるべきポイント」

「アルムナイネットワークを活かせ!~企業代理店2.0への道~」

「“保険+非保険”時代の予想絵図」

「生理痛を体験。男性も上司もマストで知るべきFemtech(フェムテック)の基礎」

「マッチングアプリ成婚者の保険加入動向調査報告!」

「なぜ盛り上がらない?『金融サービス仲介業』」

「日本のWeb3.0政策と世界の規制スマートコントラクト保険の現状」

「ホケンとUXのミライ」

変革を阻む要因

やはりその中でもインパクトが大きかったのがキーノートのこちらのセッション。

ホケンノミライ〜何が変革を阻むのか〜
保険業界の変革を阻む人材面、システム面などの内部要因、技術の進展、市場の動向、規制などの外部要因について、何が保険業界で起きているのかをテーマにします。変革を阻害する課題を克服し、業界を発展させるために各分野の知見を持つ専門家が洞察とホケンのミライを提案します。

Speaker:岸和良(住友生命)、木田浩理(三井住友海上)
Moderator:温水淳一(GuardTech検討コミュニティ)

生損保会社を内部から変革するリーダーたちが赤裸々に業界内部の変革を阻む要因であったりをカンファレンスの最初からフルパワーで話す、というある意味業界にいる人たちからは恐怖さえ感じるのではないかと思われるセッションであったが、それは登壇・進行したリーダーたちの強さだろうか良いテンポ、そして笑い戻りながらカンファレンスの最初に変革の必要性を参加者の頭に植え付けて1日を過ごすために良いセッションだった。

UXのミライ?UXがミライ?

一つとてもショッキングだったのが、以下のセッションに保険会社に勤務の方が一人もいなかった、という小さな事件があった。

ホケンとUXのミライ

業界を問わずにその重要性が叫ばれているUX。“ホケンノミライ”を語る上でも欠かせません。保険会社とサービスプロバイダー、双方のバックグラウンドを持つ2名をパネラーに、小規模会場ならではの参加型のディスカッションを開催します。ホケンのUXを探求しましょう!

Speaker:桑山晃一(UXインテリジェンス協会)、戸田典宏(電通デジタル)、東山勇介(セールスフォース・ジャ​パン)

2セッション同時進行だったので、もう一つのセッションが人気セッションだったというのもあるかもしれないが、とても興味深いセッションでこれからの顧客接点を考える上でとても大事なディスカッションだった。この小さな事件が

・保険業界がプロダクトアウトで、顧客接点に興味が低い

ということの表れでないことを祈る、というのが当日の会場でのプチ笑い話だった。

他のセッションも興味深いもの多く、保険業界を現在と未来を含め色々な角度から切り刻んだ、初の保険業界の解体新書のようなイベントだった。GuardTech検討コミュニティ代表の温水さんもホケンノミライは2030年まで開催するとコミットしているので引き続き楽しみである。

金融xエフェクチュエーションのミライ(今週の注目イベント)

そして今週はいよいよホケンノミライからのスピンオフのこちらのイベント。

エフェクチュエーションは現時点でのコントロール可能な手段を重視する手法で、正確な予測と、そこから逆引きした手段の選択を重視する従来型の手法(コーゼーション)とは異なり、不確実性の高い状況で偶然性も味方につけてプロジェクトを成功させる手法として近年注目されています。
キーノートセッションは、前半が早稲田大学ビジネススクール樋原伸彦准教授の講演。後半は住友生命エグゼクティブ・フェロー岸和良さんも加わったパネルディスカッションです。
そのほか、金融・保険業界を中心としたご登壇者による多彩なセッションを予定しています。全セッション終了後のAfter Partyで登壇者や参加者間のネットワーキングをお楽しみいただけます。

不確実性の高い今の世界でエフェクチュエーションはとても大事なトピック。でも自分もまだまだ理解して体現できているわけではないのでこちらのイベントは楽しみ。

(あとがき)フィードバックも金融業界の効率化などの仲間も募集しております

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