組込型保険 = フィンテック? ~「Embedded Insurance 2.0」の考察~
Finatext河端さんが以下の組み込み型保険(Embedded Finance)に関する記事で素晴らしい考える機会をくれたので共有。
Embedded Insurance 1.0と2.0
記事の中でEmbedded Insurance 1.0とはシームレスに保険のプロセスを埋め込むことを可能にし、時には「保険の存在感を極力なくして意識を向けさせない保険加入」ともある。
そしてタイトルにもある「もうからない」の視点も興味深く、確かに単価の低い保険を扱えば薄利多売ビジネスなので収益の貢献に関わるのは構造的に難しいかもしれない。わかりやすい類似したモデルで例えると、航空会社の収益が
・数の多い、しかし薄利多売のエコノミークラスの席ではなく
・数の少ない、しかし収益性の高いビジネスクラスの席に支えられている
のと同じ絵である。
そして次のステップであるEmbedded Insurance 2.0の趣旨とは
とある。ここでハッと気づいたのがこの1.0から2.0の動きは、保険の隣で動いている金融とテクノロジーの組み合わせの「フィンテック」の歴史と実はとても類似しているということ。
フィンテックの2015年からのフェーズ
金融とテクノロジーは常に相性が良くフィンテックの定義というのは色々あるものの、日本でFintech協会が発足したのが2015年で、そのあたりからフィンテックの社会的な認知度も上がり数多くのスタートアップやソリューションが世に出ることになる。カテゴリーとしてはいかに分かれる。
決済、送金:PayPayなど
貯蓄、投資:ウェルスナビなど
調達:CAMPFIREやMakuakeのクラウドファンディングやソーシャルレンディングなど
管理、PFM(Personal Finance Management):マネーフォーワード、freeeなど
そしてこのようなソリューションが金融機関などと協力して、ある意味金融のAPIをこじ開けることとなり、個人向けの金融ソリューションが便利になることに大きく貢献することになる。
そしてフィンテックの次のフェーズ
ただ個人向けの金融ソリューションが便利になっても、金融の中のプロセスにはまだまだマニュアルで非効率なプロセスが数多く存在する。そしてそのようなプロセスは低単価な商品でなく、高単価な個人向け(B2C)または法人向け(B2B)の商品などに存在することも多い。そこを解決しなければあたかも金融の外の「がわ」だけ綺麗になっていて中のプロセスが全く自動化されていないのと一緒である(以下、イメージのための自動改札機の中身が完全にマニュアルだったらというビデオ)。
そのような複雑な商品やビジネスプロセスをデジタル完結だけではなく、オフラインや対面の体験も交えて提供というところでは河端さんの記事で語られているEmbedded Finance 2.0の趣旨と類似しているのである。
金融のためのテクノロジー(#Tech4Fin)
自分が所属するSymphonyはもともとこの複雑な金融商品の組成や流通などの効率化を目指しており2014年の設立以来、金融の市場部門などで活用できるセキュリティ・コンプライアンスのレイヤーを基盤と持った社内・社外が繋がるグローバルなプラットフォームを展開している。このような技術もフィンテックの一部と呼ぶこともできるが、自分達は #Tech4Fin (Tech for Finance - 金融のためのテクノロジー)とカテゴリー化している。
以下自分達の取り組みの例である。10年や20年など変わっていない金融機関同士の複雑で膨大な額の取引量が日々動くB2Bの業務フローをまずはデジタル化・効率化、そこから自動化になど進めている。
また最近大きなニュースにもなったデジタルアセット市場の「ナショナルインフラ」の構築を目指しているProgmatの動きなどもこちらから見ると #Tech4Fin のカテゴリーに近いと思われる。『圧倒的な利便性を実現するためには、ネットワーク参加者同士の「共創」が鍵となります。』というコメントが以下のプレスリリース内からも読み取れます。
まだまだ保険の将来に期待
そんなフィンテック側での動きを長いこと見ている立場であることもあり、Embedded Insurance 2.0の動きにはとても期待が持てる。河端さんの記事の中のもEmbedded Insurance 2.0拡大のカギは「エクスチェンジ」(取引所)であり、目指すイノベーションの形が連携(コラボレーション)であるというのも金融側でワーキンググループなどを持ち「非競争領域」を定義して業界の前進をコミュニティで進めている自分達からはとても分かりやすい。
フィンテックと並行で金融のためのテクノロジー(#Tech4Fin)が必要なように、Embedded Financeと並行して保険のためのテクノロジーへの注目、コラボレーションでの業界の前進などの絵が大事と思われる。そのような意味で自分達も面識があるが三井物産インシュランス・ホールディングスが展開し始めている「企業代理店2.0」のコンセプトはまさに今まで話してきたコンセプトと近いと思われる。
自分達もこのような保険の将来への動きを評論家として横から見ているだけでいるつもりはまったくなく、是非自分達が持っている金融向けプラットフォームをフル活用してプレーヤーとして貢献していきたい。
(あとがき)フィードバックも金融業界の効率化などの仲間も募集しております
いかがだったでしょうか?是非このnoteへのフィードバックも聞きたいし、こんな目線での金融業界の効率化など一緒に仕事をするパートナー企業や個人募集しております。
意見交換をしたい、一緒に仕事をしたいなどお声がけしていただければとても嬉しいです。SymphonyでGen Ueharaまでメッセージを送っていただいてもかまわないし、こちらどちらからコメントでもフォローもよろしくお願いいたします。
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では楽しい世界をみんなで頑張って築き上げましょう!
(注、記事の上の絵はChatGPTに「Embedded Insurance 2.0」をイメージしてお絵描きしていただきました。)