【実践版】物理的に分散されていても活躍できる「新常態」で必要な組織の作り方
知らず知らずのうちに実行されていたリモートのメンバーであろうが在宅勤務のメンバーがいようがそれともメンバーが海外にいようがちゃんと活躍できる組織の作り方、情報を共有をしたいと思います。現在Symphonyというシリコンバレー発のフィンテック企業に勤めていますが、フルリモートでも全くチームのパフォーマンスには影響がなかった。
日本の組織にこれからさらに必要になる「多様性」であったり「柔軟な働き方」などのヒントになれば。賛成・反対もあると思うのでご意見は是非教えていただければと思います。
2020年4月世界中の働き方のシフトからの悲鳴
2020年2月、3月、4月コロナウイルス対応で世界中が急速に在宅勤務へとシフトした。そして世界中(特に日本)が試したことのないスケールの在宅勤務からの組織のストレスと悲鳴でいっぱいになった。
・誰がオフィスにいて誰が在宅だかわからない
・どうやって同僚に連絡してよいのかわからない
・物理的に見えない人を管理できない
・全く業務が進まなくなった
自分がいるチームは世界中の企業と仕事をしており、世界中での悲鳴も聞いたが1ヶ月ほど経ってから明らかになったのは日本は世界の中でも悲鳴が多く長い期間続いていた国であった。今でも続いている。
パフォーマンスに影響がなかった組織、何故??
当たり前のように仕事をしていてしばらく気が付かなかったのだが、自分がいる会社も世界のすべての拠点(シリコンバレー、ニューヨーク、ロンドン、東京、香港、シンガポールなど)100%在宅勤務になったが、自分の周りであまり業務の効率などにインパクトは出なかった。特に「人が見えなくなったので管理できなくなった、プロジェクトへのタイムラインが全くわからなくなった」などの問題は全く無かった。「あれ?何故だろう?」と考えたときに今まで気づいていなかったちょっと衝撃の事実に
もう10年以上同じセットアップだったので気づかなかたんだけど、前職でも現職でも上司が同じ国にいた事がなかったし、自分のチームも他の国にバラバラだった。なので毎年のパフォーマンス評価もそうだし出張で顔を見なければ上司やチームメイトとの会議もすべて電話越し。これが何を表しているかというと慣れてしまって忘れかけていたけど、今世の中が悲鳴を上げている在宅などの分散されたチームで働く厳しい環境で普段から仕事をしていたという事。なので今回はあまり影響を受けなかった。普段から泥沼の中で平地と同じスピードで走っていたので今回平地が急に泥沼になったときに影響を受けなかったというようなイメージ。
では分散されたチームで仕事をするコツは?
ちょっと前置きが長くなりましたが、ではその「泥沼」の中で平地のスピードで走るためには何をしていたのか。
コツその1: ミッション、ミッション、ミッション - 何故その組織・製品は存在するのか?
すべてはここから。チームが分散されているということはメンバーはマネージャーの目線を気にせずに仕事ができる。素晴らしいように聞こえるけれども、これがとても難しくてメンバーばいくらでもサボろうと思えばサボれる。そこでメンバーが自発的に動く理由は一つ、組織のミッションに賛成をしているか。その組織が何の為に存在をして何を進めようとしているのか、ということに賛成をして自分がそのイニシアティブの一部になりたいと思わなえれば自発的に動けない。自分の今の仕事だと「金融業界の効率化を可能にし、顧客や業界の収益に貢献をすること」そして各エリアに特化した製品のラインアップなどがありその存在価値を理解しないといけない。
このミッションを理解・賛成させるには方法は一つしかなく、ミッションについて定期的に話して理解してもらうしかない。効果的な方法の例としては以下の物があるが、これがうまくいっていなければ他のことはあまりトライしても意味がない。これがすべての始まり。
1)全体会議やチームミーティングで定期的に話す - その会議で話されているプロジェクトや製品のアップデートなどとつなげて、それらがどのように組織のミッションに貢献するのかなどを話すと有効。
2)チャットなどでリーダーが噛み砕いて定期的に発信する。グループ全体チャットルームでも、チームごとのチャットルームでもなど、色々なレベルで噛み砕き、ちゃんと質問を受けられるようにすることが必要。
3)組織には新しいメンバーが入るのでこの部分は新メンバーのオンボーディングや研修などでかなり集中して最初に理解度を上げること大事。
4)このステップがすべてのスタートなので、定期的に「この組織のミッションは?」などとメンバーがちゃんと理解しているかの確認も必要。あなたは聞かれたらすぐ答えられる?
コツその2: 目標、成果で管理
物理的に離れているということはマネージャーが目を光らせて監視をすることはできない。ここで間違った管理がサボらないようにパソコンでのアクティビティやもっとひどい場合椅子などで監視をすること。せっかく#1を成功して自発的にできるメンバーを監視なんかで子供扱いしてはいけない。僕の上司も僕がオフィスに何時に来ているかなんて全くわからないし、僕もコロナの前から香港やシンガポールのメンバーがオフィスに来て仕事をしていたかなんて知らなかったし、そんなことはどうでも良い。何故どうでも良いか?そのメンバーの目標や成果がわかっているから、メンバーが共有されている目標に向かってどこにいるかがわかっていればその人が一日5時間働いていようが16時間働いていようがどちらでも良い。ここですることは
1)自分の目標は上司に公開されていること。今の組織では6ヶ月ごとの目標を立て、それに対する成果を少なくとも3ヶ月ごと共有している。僕の現在の目標にはアジアパシフィックの営業成績、製品のブランディング、チームのプロセスの成長、顧客との対話の質の向上などがありそれぞれにKPIが設定してあり、3ヶ月に1回定義されたKPIに対しての成果を上司にも、チームメンバーにも共有している。最も最近でのレビューでは6つのKPIのうち3つが問題なし、2つが懸念点はあるもの進められそう、1つが問題ありなどの自分での評価だった。上司とは電話で話し説明をし、チームメンバーとのチャットルームで概要の共有をしているのでメンバーも僕が何に興味を持って時間をかけているかがわかる仕組みになっている。
2)同じようにチームのメンバーも目標があり、それに対する成果を常にメンバーに開示してもらうことにしておくこと。この目標づくりのプロセスでそのメンバーが組織のミッションを理解しているかというのもわかる。また目標は定期的に見直すもので状況が変わり数値が途中で変わったりするのも問題ではない。
繰り返しにはなるが、そのメンバーを信じているのであれば就業時間、退社時間などでがんじがらめに管理しては絶対いけない。ミッションを理解していれば個人たちが自分でクリエイティブな仕事の仕方を見つけれくれる。
コツその3: コミュニケーションはこまめに
距離があるのでコミュニケーションがちょっと面倒くさくなりそうだけど慣れればそんな大変でもない。
1)やはり対面も大事。リモートで仕事をする相手でもできれば仕事新しくチームに入った時点で対面で最初にいくらかの時間を過ごすのは大事。ビデオなどの技術は対面の会話の補足にはなるが、まだ完全な代替ではない。一度距離感がわかれば、そのあとはまたしばらくリモートでも平気。でも1年に3,4回ぐらいは対面で会えるのがベスト。
2)その人によってベストの方法で。ほとんどチャットで済ましてしまうのが好きな人もいるし、音声やビデオがあった方が良い人もいる。グループでいっぺんに話してしまって効率が良いこともあるし、1:1で話した方が良い会話もある。すべてにセオリーが決まっているわけではなく、その時その時また相手によってベストな方法を選ぶ必要あり。前職では色々なメンバーとの定期的ミーティングが設定されていたのが現職ではあまり定期的ミーティングというよりは必要なときに連絡を取っている感じ。どっちが良いという訳でもなく組織のスタイルの違い。現職はコミュニケーションがほとんどチャットルームなのでタイムリーな情報の共有がそちらで出来ているからかもしれない。
もうすぐ気にしなくて良くなることでは?
でもこんな事を長々と書いたけど、もうすぐ緊急宣言が解除されればみんなオフィスに戻って仕事することになるからいらない情報でしょ?そうではない。在宅やリモートで仕事をできるインフラまた組織の文化は一過的なものではなく恒久的に必要になります。この分散したチームで仕事をできるようになれば
1)もっと自由な仕事の仕方をサポートできる。午前中に子供の保育園のイベントがあるのを罪悪感を感じずに行っても良いし、夕方に何かイベントがあるのであれば行けば良い。ミッションが分かっていればメンバーが勝手に必要な事は代役を立てるなどコーディネートして問題ないようにしてくれる。これがか可能にすることは、メンバー達の職場でのハッピー度が上がる事、そしてワーキングマザーであったりオフィスから家が距離がある人など色々なバックグラウンドの人が一緒に働ける環境をつくれる。
2)同じように海外でもしくは海外からのメンバーの採用も可能。日本だけの世界だけではなく世界の人材のプールから優秀な人を探せるというのは大違い。
3)そのように多様性を持った組織を作ることができれば、そこから出てくるアイデアというのは色々な角度から考えたものが出てくる。
メンバーのハッピー度が上がって世界の人材プールから優秀な人を探せる多様性を持った組織になれる手段があるのに、それをすべて捨てて閉鎖的な仕事の仕方に戻りますか?この分散したチームでも柔軟的に働く環境を作れるかが、これからの日本の社会、企業が新常態で活躍できるかを左右すると思う。
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