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(考察)日銀のDXやデジタル時代の地方金融への観点
いつも見ている日銀のツイッターから先週3月29日に「ピロ~ン」と。
(日銀レビュー)わが国の銀行におけるデジタル・トランスフォーメーション(DX) https://t.co/wWxBgKTnL1
— 日本銀行 (@Bank_of_Japan_j) March 29, 2021
金融システムレポート別冊「デジタル時代の地域金融」 https://t.co/Nq4WsEKTht
— 日本銀行 (@Bank_of_Japan_j) March 29, 2021
ちょちょちょ。ずいぶんすごいものをしかも連続で放り込んできますね。これはちゃんと読まねば!
・『(日銀レビュー)わが国の銀行におけるデジタル・トランスフォーメーション(DX)』⇒ 8ページ
・『金融システムレポート別冊「デジタル時代の地域金融」』⇒ 9ページ
なんと!とても読者にフレンドリーなページ数ではないか。是非上のリンクをたどって金融やフィンテックに関わっている皆様には直接読んで欲しいが、実はこの2つレポートをまとめて読むととても面白い気づきがあるのでそんな点も含めてこのnoteがその読む気を出させるのに少しでも役に立てればと思い2つのレポートを考察してみようと思う。
(日銀レビュー)わが国の銀行におけるデジタル・トランスフォーメーション(DX)
こちらのレポート短いページ数ですごく良くまとまっていた。デジタル化の概念整理もとても良くまとまっており、
・デジタイゼーション:情報のデジタル化
・デジタライゼーション:業務のデジタル化
・DX:データを使った新しいサービスの提供・ビジネスモデルの変革
ここは理解されていそうでなかなか金融のプロセスでは特に理解されておらず、現在起こっていることは大抵業務のデジタル化どまりであって、まだデジタルトランスフォーメーション(DX)というステップではない。
また先進国 vs. 新興国のトレンドの整理そして
・個人向け
・中小企業向け
・大企業向け
という分類も金融の現場と同じで頭に入りやすい。
ここでも出てくる日本特有の「銀証ファイアウォール」の問題であったりも語られているが、何よりも
「金融分野のDXに関しては、世界的にみても明確な方向性は見えていないことから、当面はデジタイゼーションやデジタライゼーションをしっかり進める基盤づくりに努めることが、金融機関にとって優先課題」
という締めくくり方もすばらしく同感。是非なるべく多くの人に読んでいただき、コンセプトであったり日本の金融のDXの進捗を理解してもらいたい。
金融システムレポート別冊「デジタル時代の地域金融」
さて、こちらのレポートは年2回公表されている『金融システムレポートの』別冊で地域金融について掘り下げたもので上の日銀レビューとは直接関係ないものなのかな?でもこの二つを繋げるとなかなか面白い。
こちらのレポートでは注力分野として「業務効率化」「個人向け」「法人向け」「他業態との取組み例」に分類をしてヒートマップなどを出している。こちらが左から右へ
・紙情報の電子化(digitization)
・業務の自動化(digitalization)
・電子データを活用した金融サービス(digital transformation, DX)
と、日銀レビューと少し似たカテゴリー分けとなっている。そして業界として「業務効率化」や「個人向け」のエリアには手がついているが「法人向け」や「他業態との取り組み例」などにはまだ手がついていないと述べている。
業務効率化の面では業務プロセスの一部だけを自動化するのではなく、業務プロセス全体を一気通貫で自動化することが大きな効率化につながると説明しているところは、自分達が関わっている社内だけではなく社外もつながるプロセスの一気通貫の効率化でも見ているので理解しやすかった。
また「デジタル化に伴う戦略リスク」というセクションもあり、人材であったり経営資源に関してなど興味深いので是非このレポートを読んでみて欲しい。
この2つのレポートを読んで思うこと、金融でのDXとは?
日経でも今回のレポートをもとに
など書かれているが、実は「地銀DX」が遅れているということではなく2つのレポートを合わせて出ている絵というのは実は金融でのDXというのはまだまだこれからだという事である。ここからは少しポジショントークにもなるかもしれないが、最初に出てきた
① デジタイゼーション:情報のデジタル化
② デジタライゼーション:業務のデジタル化
③ DX:データを使った新しいサービスの提供・ビジネスモデルの変革
のステップはバラバラに起こるものではなく順序なのである。情報をデジタル化することにより、業務のデジタル化のアイデアが思いつき、業務のデジタル化をすることによってそれをどの様に繋いで新しいサービスやビジネスのモデルの変革を思いつけるのである。
この3ステップが長期的に順序を持って起こらないといけないこと、そしてまた「思いつき」などと書いたが金融でのDXというのは外からのプレッシャーだけで起こるのではなく、中から起こらないといけない要素が多いのである。中から起こらないといけないという事はなるべく多くの人材などが自分達で上の3つのステップをスピード感を持って試す経験を積まないといけない。その色々な知見をスピード感を持って学ぶ方法こそ以下だと考える。
金融でのDXを進めるために必要な経験
・色々なSaaSのサービスを使ってみて
・マニュアルだったプロセスをデジタル化してみて(① デジタイゼーション)
・今までの分断されていた業務をSaaSなどで繋いで自動化してみて(② デジタライゼーション)
・その社内や取引先・業者と効率化されたり、自動化されたフローから個人・法人顧客への新しいサービスの想像やビジネスモデルの変革へとつなげるチャンスの想像(③ DX)ができるのである。
金融の人材が業務を執行するだけの人材から企業のコンサルをできる人材に変わらないといけない、そのためのリカレント教育が必要だなどともいわれているが、中小企業などが必要としている知識というのも業務のデジタル化についてである。SaaSを自分で使ったことがなく、自分で考えて業務のデジタル化を試したことがない人にどれだけリカレント教育をしても企業に業務のデジタル化についてコンサルをすることなんかはできない。必要な知識は
金融人材が業務デジタル化について学ぶ必要がある経験
・なんでSaaSを活用することが大事なのか?
・今までの技術とどう違うのか?
・実際の企業での導入はどのような壁があり、どの様に超えることができるのか
・自分で使ってみての成功談そして失敗談
などを自分で試して学んでいることである。最低限でも上の経験を共有できる人材でないと顧客の企業に意味のあるアドバイスをすることはできない。お気づきになったであろうか?上の「金融でのDXを進めるために必要な経験」と「金融人材が業務デジタル化について学ぶ必要がある経験」というのは内容が酷似している。そしてそのニーズというのは都市金融でも地方金融でも同じである。何度も出すがこちらのステップが
① デジタイゼーション:情報のデジタル化
② デジタライゼーション:業務のデジタル化
③ DX:データを使った新しいサービスの提供・ビジネスモデルの変革
金融の内部から推し進めないといけない一連の流れであり、それを推し進めるSaaSなどをかなりの数を活用して使い倒す経験などが金融でのDXを進めるため、また地域金融のデジタル化を進めるためにも必須なのである。そのような経験を持った人間が今のスピード感ではなく、チャットで社内・社外とリアルタイムで色々な人達と意見交換をすることも大事だし、このnoteのようなプラットフォームで自分のアイデアを展開しフィードバックをもらうこともこれからの自社だけでなく色々な業界をつないだデジタル化を進める上では必須である。
(なので僕はnoteこれからも頑張り続けます。。。)
この内容を更に考えてまとめる機会を業界などに与えてくれている日銀には是非感謝したい。
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