冒険について考える
〜あるドイツ人家族の物語~
2016年・夏、ある家族が知床を訪れた。彼らの目的は、40年前・1976年の夏に知床で遭難したドイツ人青年ゲロ・シュミット氏(当時24才)の慰霊であった。
「長い年月が経った。全ての疑問に答えが出ないのは承知している。ただ、私たち家族の長い物語のページを閉じるためには、ここに来る必要があった。」
1976年 遭難
事故当時の情報を整理すると、遭難発生は1976年8月12日だったらしい。ゲロ氏と友人のゲオルク・シラー氏(当時29才)の2名のドイツ人が、知床連山の縦走の途中