ライドシェア参入タクシー会社の思惑
2024年4月に日本版ライドシェアが始まり、当初は8地域からスタートしましたが、徐々に全国に広がっています。
タクシー不足地域という制限があるため、ライドシェア参入が認められる地域の多くが都市部や観光地などとなっています。
今回は、ライドシェアに参入しているタクシー会社側の視点で書いてみたいと思います。
まず、ライドシェア開始前は、多くのタクシー会社に「応募予定」という求職者の問い合わせがありました。
制度設計の詳細が決まらない中で「ライドシェア解禁」という事のみが先行して報道されたため、ウーバーイーツのような宅配事業のように気軽に副業出来るという認識だったのでしょう。
そして制度設計が決まり、実際にその制度の枠を提示して本採用しようとした時、求職者は激減しました。
ライドシェアドライバーになるためには「車両の規定」「保険加入」「事前研修」が必要など、自転車(バイク)一台と簡単な研修だけで参入できる宅配事業とは別物だったからです。
そんな中でも応募者に対して、タクシー会社は必要な研修をしたり車両や保険のチェックをして、ライドシェアはスタートしました。
では、タクシー会社はライドシェア事業の広がりを感じているか???
ライドシェア事業を、タクシーと同等に会社経営の柱にしていく事を考えているのか???
答えは「NO!」でしょう。
実際、始まって二か月とはいえ、ライドシェアの利用者は増えていません。
ライドシェアドライバーも、同様に増えていません。
正直、ここまでの準備に要した時間や費用もタクシー会社は賄えていませんし、今動いている数台のライドシェアを管理していく費用も賄えていません。
では何故、タクシー会社がライドシェア事業に参入するのか?
それは、ライドシェアドライバーを、タクシードライバーとして採用することを見越しているから。
どこのタクシー会社でも、ドライバー不足と高齢化は喫緊の課題です。
ライドシェアドライバーに応募してくる人は、比較的若い人に多い。
しかも、車の運転や接客に抵抗が無いから応募してきます。
そして、ライドシェアドライバーを経験することで、タクシードライバーとして働く予行練習にもなります。
また、イメージとして「低賃金」とか「重労働」というものがあるタクシードライバーですが、実際にタクシー会社のライドシェアドライバーをすることで、「タクシードライバーを本業にしても意外と儲けられるな」等と感じてもらう事も出来ます。
つまり、ライドシェアに参入することで、実はタクシードライバー募集という「裏の真意」があるのです。
そうでなければ、儲からない(というより、間違いなく赤字)のライドシェア事業に参入する意味はありませんからね。
今は、タクシー会社でも「時間給制」や「短時間」など、働き方を様々用意しているところもあります。
ライドシェアで時間や曜日を縛られるより、タクシードライバーとして採用された方が「魅力があるな」と感じてもらえたら、タクシー会社はラッキーです。
そうした窓口の一つが、今はタクシー会社にとってのライドシェアでしょう。
私自身は、タクシードライバーという仕事に誇りを持っていますし、魅力がある仕事だと思っています。
ライドシェアが入口だったとしても、この仕事の魅力に気づき、一人でも多くのタクシードライバー仲間が出来ることを望んでいます。