タクシーメーターの仕組み
分かっているようで、実はよく分からないタクシーメーター&運賃の仕組み。
タクシーで「同じ場所で乗って、同じ場所で降りてるのに、いつも運賃が違うのはなぜ?」って思う事はありませんか?
ドライバーとしても、お客様からそのような疑問を聞かれたり、場合によってはクレームやトラブルになることがあります。
この記事では、なるべく分かりやすく説明させていただきます。
何故、タクシーは乗車のたびに運賃が違うのか???
その根本的な原因は、タクシー運賃は「距離」だけでなく「時間」もカウントしているからです。
専門用語でいえば「時間距離併用制運賃」と言います。
「距離」は分かりやすいですよね。
タクシーのドアの所にも「初乗り1km600円」等と書いてあります。
初乗り分の距離を超えると「爾後(じご)250m90円」等と、走る分だけ運賃が上がっていきますね。
これとは別に、実は「時間」もカウントされています。
例えば「100秒90円」等。
※完全に止まっていなくても、時速10km以下になると時間メーターが作動します。
この二つを合わせて「時間距離併用制運賃」となっていて、例えば「タクシーが走って250m進んでも90円上がりますし、信号などで100秒止まっても90円上がります」。
一般道を走っていれば、信号や踏切で止まることもありますし、渋滞で止まってしまうこともあります。
そういう時は、同じ距離を走っても、通常より運賃が高くなってしまいます。
途中でコンビニなどへ立ち寄ったりすれば、その時間分も上がります。
渋滞などでノロノロ走る時、250m進むまでに100秒過ぎてしまうと、そこで90円上がります。
信号や渋滞の全てをドライバーではコントロール出来ませんので、この運賃の差はお客様にご理解いただくほかありません。
ここまでを理解できると、「最短距離=一番安い運賃」とはならない場合があることも分かりますよね。
「すごく渋滞する最短距離」より「空いている少し遠回りの道」の方が、運賃が安くなるケースは間々あります。
地理をよく知っているタクシードライバーなら、お客様を「少しでも安く、少しでも早く」目的地へ輸送したいと考えますので、後者の道を選択するんですよね。
しかし、お客様からは「遠回りした」とクレームが、、、なんてこともあります。
まぁ、道が混んでいるかどうか等は結果論になることもあるので、一概に安くて速い道がどのルートかとは分からないんですが、これは本当にドライバーの経験値になります。
現役タクシードライバーの立場から言わせてもらえば、目的地までの最短ルートはほぼ分かりません。
道は直線や直角に曲がっているところばかりではありませんし、細かな路地もたくさんあります。
厳密にこちらのルートが10m近いとか、誤差の範囲の距離は絶対にあります。
また、時間に関してはもっと分かりません。
余程のベテランなら信号の流れがよいルートを把握していますが、それでも交通の流れで上手くいかないこともあります。
たまたまその道で工事している事もあります。
誤差だけでなく、致し方なく時間がかかってしまう事は間々あります。
それらを含めて「タクシー運賃」であることは、ご利用のお客様にはご理解いただきたい事になります。
この記事を読んで、「信号に引っかかると運賃が上がるから、黄色になっても止まるな!」とは言わないでくださいね。
タクシードライバーは、基本的にはなるべく安く輸送したいと思っています。
「歩合給だから、わざとメーターが上がるようにしてるだろ!!!」と言われることもありますが、わずかな金額でお客様とトラブルになる事の方が面倒だとドライバーは分かっていまから、故意にそのようなことはしません。それよりも、お客様を法令順守で安全に目的地にお送りする事が第一使命なんです。
ご乗車の際は「安全運転でお願いします」と申し添えていただけますと、ドライバーは「このお客様は上客様だな」と感じますよ。
最後に、タクシーメーターの仕組みの説明をします。
時間距離併用制運賃を、タクシーメーターはどのようにカウントしているのか?
「距離」については、タイヤの回転数でカウントしています。
必ず1年毎にタクシーメーターの検査が行われ、きちんとカウント数とメータが上がるタイミングが正しいかもチェックしています。
「時間」については、メーターの中に時計機能が装備されています。
1秒ごとに、きちんとカウントしています。
※時計機能があるために、深夜割増なども自動的に切り替わるようになっています。
タクシーメーターは、実はかなり精密に出来ているんですよ。
ちなみに、近未来のメーターとして、タイヤの回転数で距離を測るのではなく、GPS機能を利用して距離を測るものも開発されています。
そうなると、タクシー運賃の仕組みが大きく変わるかもしれません。