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タクシードライバーは低賃金なのか?

タクシードライバーの賃金が低いという話題はよく聞かれます。
実際にそうなのか???
現役タクシードライバー的に考察してみたいと思います。


まず、手元に2023年のタクシー乗務員の推計年収の資料がありますので、そこから抜粋して現実の数字をお見せします。

全国のタクシー乗務員の推計平均年収が「418万9900円」で、前年比57万6600円アップとなっています。

コロナ禍からの回復途上ですが、実感としてコロナが収束してタクシー需要が徐々に増え、収入も元に戻りつつあるなというのが率直なところです。

都道府県別では、トップは東京都の「586万円」。前年比160万円アップという驚異の回復を見せています。

ちなみに、全産業平均が「506万9400円」という数字が出ていますので、東京都のタクシードライバーの平均年収は、全産業の平均値を上回っている事になります。


ただし、この上記の数字というのは、あくまでも「年収」を基準にした数字です。

これが、私には?ハテナ?だと、いつも感じます。

というのも、タクシードライバーは、他の産業と比べて違う点がいくつかあります。

例を挙げれば、月間総労働時間。
タクシーでは「189時間」ですが、他産業では「178時間」。
平均年齢は、タクシーでは「59.7歳」で、他産業では「43.9歳」。
平均勤続年数でいえば、タクシーは「10.5年」で、他産業では「12.4年」。

このように、比較する時のベースが違うのに、年収だけで比べるのはどうなのかな???と、常々感じています。

また、働き方で言っても、いわゆる「正社員」という括りも他の産業とは違うところがあり、月の勤務日数や勤務時間が短い人でも正社員扱いのタクシードライバーを含めているので、平均年収は下がってしまうのだと思います。

プラス、「歩合給」という特殊な給料システムな上に、国の最低賃金すら支払わない事業所が多数あるのも問題かと思います。


私自身は、日本全国どこでも「タクシードライバー=低賃金」というのは間違いだと思っています。
やはり、地方などの需要が少ない地域では、タクシードライバーが低賃金であることは間違いないでしょう。
しかし、都市部や需要の多い地域では、タクシードライバーは一定の収入を得られる職業だと思います。
しかも、男女の差が無く、年齢の差も無い。
タクシードライバー1年目から、全産業平均を上回る年収を得られる可能性も大きくあります。


平均年齢が59.3歳というところからも見えるように、まだまだ若い方には選ばれにくい職業です。
しかし、実は収入という面では他の産業とそん色ない部分もあります。
また、業界のイメージもずいぶんと改善してきていると思います。

業界人として、そうした魅力を発信し、いつかは「子供がなりたい職業」と言われるようにしたいなと思っています。

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