川口由一さんの苗床作り
2021. 02. 22.
自分の田んぼの苗床作りと籾播きをした後で川口さんを田んぼに見かけたので挨拶に寄ったらその場の流れ(なぜか苗床に散らばった籾殻を拾い集めていたので)手伝うことになり、作業をつぶさに見られたのでまとめておこうと思う。
普段、川口さんは「手伝いましょう。」と言っても「いいから。いいから。」と手伝わせてはくれない。
それは、手伝わせて悪い、というのもあるのだろうけど、自分以外の者の手が入る事で自分の意識が行き渡らなくなるようなことを避けたいのだと思う。
さて、ぼくが見たのは表土5cmほどを削ぎ終わったあたりだったが、その土は黒く、じっとりと湿っていた。粘土のようにみえるが、これが「亡骸の層」なのだという。この湿った土を拳でバンバン叩いて、平に締めていく。それはまるで三和土のようだった。こんなに固めて根が入っていくのですか?と尋ねると、粘土は乾くと硬くなるがこの層は乾くと柔らかくなる、とのこと。
この土の上に籾を播く。
ぼくが見た苗床はこんな感じだった。
図の上の部分が4m幅の畝なのだが、この端に溝で囲まれた苗床が作られていた。四辺300mmの縁を作るので、幅(長辺)は3400mm、短辺が1200mmの苗床(4.08平方メートル)だった。長辺3400mmを6等分し、一区画は560mm x 1200mm (0.672平方メートル)となり、そこに1勺の籾を播くという。
6区画、6勺の籾から育てた苗で約3畝の田をまかなうそうだ。
ぼくは籾播きを始めたところで時間切れとなり、そこを離れたが、その後は覆土、草かけ、鍬での鎮圧、鳥除け設置となるそうだ。
草は非常に細かいものを薄く播いていて水やりが必要だそうだ。これはオケラ対策とのこと。オケラの被害が出るようになったのはここ3年くらいで、それまでは草を厚く撒き、米糠も振っていたそうだ。
気象の異常か、土が豊かになったからなのか、オケラが出るようになった原因はわからないとのこと。
4平方メートルに6勺というのはかなり少ない、というか、まばらな播き方だ。ぼくは播いた様子を見られなかったが、4cm間隔くらいか、ということだった。昨年はオケラへの警戒もあり、播き方がずっと密で半分近くの苗が余ったので、今年は思い切って疎にしているのだそうだ。自著に書いてあることとは随分違っているが、この人は実験の人なのだ。播く籾を疎にし、苗をのびのびと育てさせると、稲は大きく育つとのこと。移植は50cm x 45cm 間隔だそうだ。
吉田さんの苗床
3畝の田植え用に1m 幅 x 5m 長の苗床に3cm 間隔で籾を播いた。
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