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ランクマッチのない時代、俺たちはどうやって対戦ゲームをしていたのか

シャドバの件で有名なちょもすさんがランクマッチというものに関してブログを書かれていたので読んだ。面白いので是非お読みいただきたい。

今では対戦型ゲームにはほぼ存在しているランクマッチ。
昔々はそんなものは無かったんだけど、そんな時代のことを知らないプレイヤーも多いのではないか?

一体どうやってマッチングしていたのか?ランクが無いのに何をモチベにやっていたのか?
そんな疑問を抱く人もおられるかもしれない。

では、筆者がその昔プレイしていたUnreal Tournament (UT)というゲームでは日常、どのようにプレイしていたのかっていうのを思い出してみたい。

はじめてのマルチプレイ

最初の頃、何も知らなかった筆者は、ゲーム内に実装されているサーバーブラウザを使い、やりたいゲームタイプ、あるいはPingや参加人数を見て行きたいサーバーにJoinしてプレイする、ということをしていた。

その頃はサーバープログラムは無料配布されており、誰もがサーバーを建てることができた。
UTのような洋ゲーでは、日本に公式サーバーなどあるはずもなく、全て有志がボランティアで建ててくれているものだった。

ただ、内部のものは使い勝手が悪かったので、しだいに外部のサーバーブラウザ、例えばThe All-Seeing Eye (ASE)などを使うようになっていった。
それをもとにしたGuwashi's yet another ASE (GyaASE)っていうものもあって、びっくりすることにまだ存在している。これを見てもらえば、雰囲気はお分かりいただけると思う。

そして、経緯は様々だが、大抵のプレイヤーはそのうちInternet Relay Chat (IRC)というチャットサービスを使うようになる。
筆者の場合は、ゲーム内チャットで他のプレイヤーから「ウチのクランのチャンネルに来ないか?」と誘われたことがキッカケだった。

有名なゲーム系サーバーはTri6といって、ゲーマーは皆ここにいた。びっくりすることにまだ存在している。最近Twitterもあることを知って驚いたが、新年のあいさつしかしていなくて笑ってしまった。

ランクマが無いことの弊害

と、ここまでたどり着くまでに辞めてしまった人も多数いると思われる。
なぜなら、ランクマが無い、ということは実力でプレイヤーが振り分けられるシステムが無い、ということだったからである。

初心者と上級者が一緒にプレイするのだ。
はじめはボッコボコにやられるのが当たり前だった。

勝てないから面白くない、辞める。
ランクマがあってもそうなると言うのに…。昔はもっとひどい状況だったのだ。とくに初心者にとっては。

ゲーム内ブラウザから適当なサーバーに入る。
知識が無ければ、Pingの高い海外サーバーにJoinしてしまうかもしれない。なんせプレイヤーは向こうの方が多い。
ラグい、プレイにならない、辞める。こういう人もいただろう。

運良く日本サーバーを見つけたとしても、わけも分からぬうちにやられまくる。
なぜ勝てない?考える、練習する。また負ける。立ち回りを変える。ちょっと勝てるようになる。練習する、考える。そうこうしているうちにだんだんと勝率が上がってくる…。

こういう人だけが生き残るという世界だった。そりゃ流行らんわな。

プレイヤーの日常

さて、それらを乗り越えて生き残った真の男達はどうしていたか?

当時は常時接続ではなかったので、テレホタイム(テレホ?何それ?っていう人はお父さんに聞こう!)になってから一斉にインターネットに接続する。
まずはIRCクライアントを立ち上げ、自分のクランややっているゲームのチャンネルに入る。

顔なじみに挨拶をし、チャットをしながらだべる。
この間、裏ではサーバーブラウザを使い、有志が建ててくれたいくつかのサーバーの様子を見ている。

「おっ!〇〇サーバーに人が集まってるな、ぶっ殺しに行こうぜ!」

「おっ!〇〇サーバーにクラン〇〇の奴らがいるぜ、ぶっ殺しに行こうぜ!」

「おっ!〇〇サーバーに知らない奴がいるな、ぶっ殺しに行こうぜ!」

どこの山賊かと思うが、こんな感じであった。
最後の”知らない奴”が初心者だったりすると、ちょっと切ないことになるわけだ。

逆に上手い、センスがあるとなれば「ウチのチャンネルに来ないか?」と声をかけることもあった。
こうしてグループやクランが生まれていった。

「今日は人が少ないな、みんなで〇〇サーバーに行こうぜ」
みたいな先入りパターンも当然あった。

テレホタイムは22時からだったので、深夜1時くらいからポツポツと眠る人たちが出てくる。
「誰もいないし、寝るか」
こうして一日が終わる。

モチベはどこにあったか?

ランクが無い世界でのプレイヤーに対する評価は、もっぱら噂であった。

「〇〇って奴、強いらしい」

「今、〇〇とやってきたけど、大したこと無かったわ」

そして時折ある大会。
当然、公式大会など無い。コミュニティ大会だ。
またはクラン同士のクラン戦。

そういった場で活躍する。すると、誰々が上手いぞ、強いぞということが数値でなく話として広まっていく。もちろんIRCで。
実際どうなのかは対戦して確かめるしか無い。

プレイヤー同士での評価、それを上げることがモチベーションだった。

「おっ〇〇サーバーに〇〇がいるな、ぶっ殺しに行こうぜ!」

こうして俺たちは毎日サーバーブラウザを見ては、相手を見つけて乗り込んでいった。

革新的な対戦システムがあれば…

ちょもすさんの仰る通り、「あいつに勝ちたい、あの人と遊びたい」という楽しみ方はたしかにあった。
ただこれはやられる方からすれば、粘着されるという意味でもある。気持ちの悪いやつに付きまとわれる危険性は生じる。

そして、初心者が残りにくいという問題だ。
あの世界を生き残れるのは超負けず嫌いだけなのだ。
ランクマというのは初心者救済のために生まれたのではないかと思う。

ただ、ランクマッチもブースティングやキャリーされて実力以上にランクを上げようとするもの。わざと人の足を引っ張るようなプレイをする、いわゆるトロールを生み出したりした。

どちらが良いかは、そう簡単に結論を出せないと思う。
なにか革新的な対戦システムのアイデアがあれば別だが…。

筆者はとりあえず、ランクに応じたシーズン報酬みたいのは撤廃すれば良いと思っている。こんなのがあるせいで、無理に上げようとする人が出てくるんではないか?

ランクは名誉だけ。それで良い。

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春日現八
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